妊活中に抗生物質(抗菌薬)を処方されたら、薬名と処方の目的を確認し、妊娠の可能性や不妊治療中であることを医師・薬剤師へ伝えましょう。妊活中だからすべて避ける、一般的な薬だから誰でも安全、と一律には判断できません。
感染症の治療と、薬の影響を一緒に考える
妊娠中でも、感染症を適切に治療するために薬が必要な場合があります。たとえば英国UKTISの患者向け資料は、アモキシシリンなどのペニシリン系抗菌薬を、医師が勧める場合に妊娠中も使用できると説明しています。ただし、病原体や感染した場所に適する薬か、アレルギーや持病がないかなどを確認した処方が前提です。
同じ系統の薬でも、薬剤・投与方法・量・使用する時期や期間で考え方が異なります。薬の名前だけの「安全・危険」一覧から、処方を自分で替えないでください。厚生労働省も、妊娠の可能性がある場合の使用は医師・薬剤師へ相談し、使用中や使用後に妊娠がわかった場合も、自己判断で中断しないよう案内しています。
処方を受けるときに伝えること
- 妊娠を希望していること、最後の月経、妊娠の可能性や検査結果
- 採卵・人工授精・胚移植などの予定と、不妊治療で使っている薬
- 薬のアレルギー歴、肝臓・腎臓などの病気
- ほかの処方薬、市販薬、サプリメント
妊娠のごく初期には、症状がなく妊娠検査が陰性となる場合もあります。まだ陽性でないから妊娠の可能性はない、と決めずに状況を伝えてください。歯科や内科などで処方を受ける場合も、不妊治療中ならそのことを共有します。
飲み始めた後に妊娠の可能性に気づいたら
一度服用しただけで、赤ちゃんへの影響が決まるわけではありません。反対に、すべての薬で問題がないともいえません。製品名・成分・1回量・回数・飲んだ日を整理して、処方医、産婦人科の担当医、薬剤師へ相談してください。
今後の服用、妊娠までに必要な期間、追加の確認が必要かは、薬と本人の状況によって判断します。「抗菌薬なら翌月は全員待たなくてよい」「この系統なら必ず何日空ける」といった共通の期間を自己適用しないでください。相談のために薬の現物やお薬手帳を用意すると伝えやすくなります。
採卵・胚移植の前後は、治療担当医にも確認する
不妊治療中に別の診療科で抗菌薬が出た場合は、感染症の状態と処方内容を不妊治療の担当医へ伝えます。治療予定を変える必要があるか、併用や採卵・移植当日の服用をどうするかを確認してください。「着床に悪いはず」と自己判断で中止したり、感染症を放置して予定を優先したりしないことが大切です。
抗菌薬の残りを使う・他の人の薬を飲むことは避ける
東京都の薬剤耐性菌Q&Aは、感染症ごとに必要性・種類・量を医師が判断するため、以前の抗菌薬を自己判断で使わないよう案内しています。症状が軽くなったという理由での中止や、効かないと考えての増量も、処方元へ相談してください。
飲み忘れや嘔吐があった場合も、薬ごとの説明を確認し、わからなければ薬剤師に聞いてください。別の人の治療と同じ間隔で飲む、余った薬をパートナーへ渡す、といった使い方はしないでください。
息苦しさや顔・口・喉の腫れなど、重いアレルギー反応が疑われる症状がある場合は、服用を続けて様子を見るのではなく、直ちに医療機関へ連絡し、緊急時は119番へ連絡してください。副作用が疑われる場合の中止・受診についても、処方時の指示を確認します。
性感染症では、治療の完了と再開条件を確認する
性感染症が疑われる場合は、検査した病原体・部位・症状に沿った診療が必要です。パートナーの検査や治療、性交を再開する時期、治療後の確認検査の必要性・時期を担当医へ聞きましょう。病原体の名前が似ていても、すべて同じ薬や日数で治療できるわけではありません。
感染症の治療終了と、妊活再開や不妊治療の予定は分けて確認します。結果が陰性だったという一点だけで判断せず、いつ何を検査したのかも含めて相談してください。
旧FDAカテゴリーやサプリメントだけで安全性を判断しない
米FDAは、処方薬の妊娠中の表示を改め、従来のA・B・C・D・Xという文字カテゴリーを廃止しました。古いカテゴリーがBだから安全、Cだから危険、と判断することはできません。国内の添付文書や最新の情報、使用した条件に基づいて確認します。
乳酸菌やビフィズス菌などのサプリメントを足せば、薬の影響を打ち消せる、妊娠率が上がると決めつけないでください。下痢などの症状やサプリメントの使用を含め、必要な対応は医師・薬剤師に相談します。
相談先と確認した資料
薬の使用が心配な場合は、まず処方元・薬局へ相談します。妊娠中や妊娠希望の薬の相談には、国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターと拠点病院の案内も利用できます。申し込み方法や費用などは公式案内で確認してください。
- 厚生労働省:妊娠と薬・使用前と妊娠判明時の相談
- UKTIS BUMPS:ペニシリン系抗菌薬(2025年6月・医師が勧める場合)
- 東京都感染症情報センター:抗菌薬の自己中止・残薬・併用への注意
- 米FDA:妊娠・授乳の表示と旧文字カテゴリーの廃止
- NHS:抗菌薬の副作用・重いアレルギー反応の受診
- 国立成育医療研究センター:妊娠と薬情報センター
2026年10月23日に関連箇所を確認。薬剤ごとの処方量や安全性の順位を示すものではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。