ホルモン補充療法(HRT)は、閉経前後のほてりや発汗などを軽くするための治療の一つです。症状への効果だけでなく、病歴や治療によるリスクを確認して選びます。「更年期なら全員に必要」「何歳でも同じように安全」とは考えません。
HRTで何を改善したいかを決める
HRTはエストロゲンを補う治療です。のぼせ・ほてり・発汗などへの使用を検討します。眠りや気分の不調がある場合も、背景の病気や症状との関係を確認し、HRT以外の治療を含めて考えます。腟の乾燥や性交時の痛みが主な場合は、局所の治療を検討することもあります。
心臓病や認知症の予防だけを目的に始める治療として勧めることはできません。英国NICEは、その目的でのHRTを勧めていません。骨の健康も、骨折リスクや他の治療を含めて別に評価します。症状のない人が若返りを期待して自己使用するものではありません。
飲み薬・貼り薬・塗り薬と、腟の薬はどう違う?
| 使い方 | 確認すること |
|---|---|
| 全身に作用する飲み薬・貼り薬・塗り薬 | 症状、子宮の有無、血栓症などの病歴、皮膚の状態に合わせて選ぶ |
| 腟に使う局所の薬 | 診断した病気、国内製品の適応・禁忌、使う量と期間を確認する |
子宮がある人の全身HRTでは、子宮内膜への影響を抑えるため通常は黄体ホルモンを組み合わせます。子宮を摘出した人でも、手術内容や病歴に応じた判断が必要です。局所の腟剤まで同じ組み合わせが必要だと決めず、処方ごとに確認してください。
皮膚から使う薬にも副作用や注意点があります。「貼れば血栓症リスクはない」という意味ではありません。海外で紹介される剤形が、日本でも同じ製品・適応で使えるとは限りません。詳しくは腟に使うホルモン薬を参照してください。
開始前に伝える病歴と、治療中に注意すること
乳がんなどの治療歴、血栓症、肝臓の病気、原因のわからない出血、子宮内膜症、妊娠の可能性、服薬・喫煙などを伝えます。使用できない場合や、専門医との相談が必要な場合があります。開始年齢や閉経からの期間によってもリスクの評価が変わります。
乳房の張り、吐き気、不正出血などが起こることがあります。気になる症状は処方元へ連絡し、出血を「HRTのせいだから」と自己判断しないでください。乳がんなどのリスクは薬の組み合わせ、期間、本人の背景で異なり、「5年未満なら心配ない」といった一律の境界では説明できません。
いつまで続ける?中止は必ず少しずつ?
全員に共通する終了年齢や年数はありません。症状への効果、副作用、健康状態、希望を診察で見直し、続けるか、変更するか、中止するかを相談します。定期診察や検診の内容・間隔も、治療内容と本人の状態に合わせて確認してください。
中止方法には段階的に減らす方法と中止する方法があり、全員に減量が必須とは限りません。自己判断で量や休薬日を変えず、再び症状が出たときの対応まで処方医と決めましょう。
診察で聞きたい4つのこと
- いま困っている症状のうち、何への効果を期待する治療ですか。
- 私の病歴では、使えない薬や特に注意するリスクはありますか。
- 薬を忘れた場合や、出血・副作用が出た場合はどう連絡しますか。
- 次の診察で何を確認し、継続や中止を判断しますか。
HRTを希望しない場合や使えない場合も相談できます。生活面の調整、漢方薬や症状に応じた他の治療を含め、無理なく続けられる方法を検討しましょう。
参考にした情報
編集部が2026年10月23日に出典と本文を照合しました。国内製品の使用は、処方された薬の説明と医師・薬剤師の指示を確認してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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