早発卵巣不全(POI)は、40歳未満で卵巣の機能が低下する状態です。月経不順や月経が来ない状態、ほてり・発汗等がある場合は、妊娠やほかの原因も含め婦人科等へ相談してください。診断のための月数に達するまで、必ず受診を待つという意味ではありません。
POIには、その後に卵巣の働きや排卵がみられる場合もあります。「早発閉経」という言葉だけで永久に排卵しない、妊娠の可能性が完全にゼロと判断しないでください。一方、妊娠は難しくなるため、希望があれば早めに専門医へ伝えます。日本内分泌学会:早発卵巣不全の説明
月経・体調・妊娠の希望を一緒に相談します
| 気になる状況 | 対応・確認すること |
|---|---|
| 40歳未満で月経が来ない、不順になった | 妊娠の可能性、薬・病歴と経過を伝え、原因の評価を受ける |
| 検査でFSHやAMHの異常を指摘された | 一つの値だけで自己診断せず、症状・服薬等と合わせて確認する |
| POIと診断され妊娠を希望する | 期待できることと限界、利用できる診療の条件を専門医へ相談する |
| 妊娠を避けたい、ホルモン補充中である | 補充療法だけでは避妊にならない点を確認し、適切な避妊を相談する |
| 治療の負担や気持ちのつらさがある | 薬を自己変更せず相談する。心理面や生活の支援も求めてよい |
診断は月経歴とホルモン等を合わせて行います
月経が止まる原因はPOIだけではありません。妊娠、服薬、ほかのホルモンや体調等も確認します。診療では年齢、月経の経過、ほてり等の症状、手術やがん治療等の病歴、使っている薬を伝え、FSH等の血液検査を必要に応じて行います。
国際的なPOIの指針は、月経の異常と生化学的な確認を組み合わせ、診断が不確かな場合の再検査も示しています。ホルモン薬が月経や検査値に影響するため、検査のために薬をどう扱うかは医師へ確認し、自己中止しないでください。
AMHはPOIの主たる診断検査として使うものではなく、FSH等で判断が難しい場合に臨床状況と合わせて補助的に検討されます。AMHだけで閉経時期や今後の妊娠を確定したり、無症状全員に予測検査を勧めたりする説明はできません。ASRM等のPOI指針:診断とAMHの位置づけ
原因を調べても、はっきりしない場合があります
遺伝・染色体や自己免疫等が関係する場合、卵巣の手術、抗がん剤や放射線治療等の影響がある場合がありますが、多くは原因がはっきりしません。本人の生活や気持ちだけが原因だと責めるものではありません。
必要な追加検査や、遺伝に関係する検査を行うか・その意味や家族への影響は、病歴と説明を踏まえて相談します。これから卵巣機能に影響し得る治療を受ける場合も、治療前に妊娠希望を伝え、妊孕性温存を検討できるかを早めに聞いてください。
ホルモン補充は、症状と長期の健康のために考えます
エストロゲンの不足はほてり等だけでなく、骨や心血管等の健康にも関係します。ホルモン補充療法は、こうした影響への対応を目的に検討します。月経を起こすだけ、妊娠を希望する間だけの治療ではありません。
薬の種類・使う方法、子宮の有無や持病、がん治療歴等による条件、利益と危険性を医師と確認します。一般的な閉経年齢頃までの継続を考える指針がありますが、全員が同じ薬・量を同じ日まで使うという案内ではなく、定期的に評価します。日本内分泌学会:治療と経過/ASRM等:補充療法と個別評価
予定外の出血や新たな体調変化、薬を使いにくい事情があれば診療先へ相談してください。サプリや独自のホルモン製品で補充療法を代用しないでください。
妊娠を希望する場合と、避けたい場合の相談
卵巣の働きが一時的にみられる場合もありますが、自然妊娠の機会は大きく減ります。卵巣の働きや自然妊娠率を確実に高める治療が示されているとは言えず、排卵誘発や体外受精等で必ず妊娠できるという保証はできません。
妊娠に向けた選択肢は、自分の卵巣の状態、体の健康、治療の負担と希望、国内で利用できる診療の条件等を専門医と確認します。卵子提供等も、国内で一般的に誰でも同じ条件で受けられると案内するものではありません。
妊娠を避けたい場合は避妊を相談してください。ホルモン補充療法は避妊薬と同じではなく、それだけで妊娠を防ぐものではありません。
骨や心血管、心理面も継続して支えます
骨の状態や血圧等、必要な健康確認と次の受診計画を聞きます。禁煙、無理のない活動や食事も健康を支えるために取り組み、サプリ等で卵巣機能が回復するとは考えません。診断や妊娠への不安、落ち込み、性生活の困りごとも相談してよく、必要に応じて心理面の支援につなげてもらってください。
費用と保険の確認
治療の保険適用と自己負担は、病名・治療内容・適用条件によって異なります。高額療養費も診療月・年齢・所得区分等で上限が変わり、先進医療の技術料など保険外の費用は対象になりません。
治療施設には保険・自費の内訳を、加入先の健康保険には自分の上限と申請方法を確認してください。協会けんぽ:高額療養費の対象・診療月別の上限
出典と確認日
2026年10月30日に日本内分泌学会の2026年9月8日更新説明、ASRM等による2024年更新の国際指針の採用節を確認しました。国際指針の診断条件と国内一般向け説明の月数表現を、一律の自己診断・受診待機条件にはしていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。