乳腺症は、のう胞など、乳房に起こるさまざまな良性の変化をまとめた呼び方です。乳房の張り、痛み、しこりのように触れる部分、乳頭からの分泌などが出ることがあり、月経に合わせて変わる場合もあります。ただし、症状や触った感触だけで乳腺症と乳がんを区別することはできません。
新しいしこりや乳房の変化に気づいたら、乳腺外科・乳腺科などへ相談してください。すでに乳腺症といわれた人でも、変化を次の検診まで放置する理由にはなりません。
乳房の変化があれば、症状の診療として相談します
| 変化・症状 | 行動の目安 |
|---|---|
| 新しいしこり、皮膚のくぼみ、血の混じる乳頭分泌 | 早めに乳腺外科などへ受診 |
| 赤み・熱感・腫れ、発熱や強い痛み | 速やかに診療先へ連絡・受診 |
| 診断後も変化する、痛みが続いて困る | 予定の検診・診察を待たず再相談 |
乳頭の治りにくい湿疹・ただれ、乳房の形の変化、わきのしこりなども相談の理由です。診察のために2〜3周期の記録をためる必要はありません。体調がひどく悪い、意識が遠のくなどの重い症状があれば、救急を含む医療の助けを求めてください。
乳腺症は一つの病変だけを指す言葉ではありません
日本乳癌学会の患者向けガイドラインは、乳腺症をさまざまな良性変化の総称として説明しています。のう胞、乳管内の変化、腺症など、病理学的には複数の状態が含まれます。女性ホルモンが関わり、月経前後で張りや痛みが変わる人もいます。日本乳癌学会:乳房の症状・病気、乳腺症
月経と連動する痛みがあることは診察の参考になりますが、それだけで良性と確定するものではありません。「やわらかいから大丈夫」「動くしこりならがんではない」「痛いからがんではない」と自己判断しないようにしましょう。
乳房を診察し、画像や必要に応じた病理検査で評価します
受診時には、しこりや痛みがいつからか、場所と変化、月経との関係、分泌物、妊娠・授乳、薬、乳房の検査・手術歴、家族歴などを伝えます。診察では乳房やわきの状態を見たり触れたりし、必要な画像検査を選びます。
マンモグラフィは乳房のX線検査で、超音波検査は乳房の病変などを音波でみる検査です。得意な所見が異なり、年齢、症状、画像所見などに合わせて使います。がんの可能性を確認する必要がある場合は、細胞や組織を採って調べることもあります。
全員が最初から同じ検査一式を受けるものではありません。国立がん研究センター:乳房の診察・画像・病理検査
乳房のしこりの基本評価を、子宮・卵巣の内診、経腟超音波、子宮鏡で行うわけではありません。婦人科に相談する場合も、乳房の診療に対応しているか、乳腺外科等への紹介が必要かを確認してください。
検査に不安や痛みがある場合は、事前と検査中に伝えられます。月経後まで待てば痛みが少ないかもしれないという理由だけで、新しい症状の受診を自己延期しないでください。妊娠・授乳中も、検査の種類・順序を医療者と相談します。
乳がんのリスクは、具体的な病変や検査結果で考えます
単純なのう胞や線維化などの良性変化と、細胞の異型を伴う病変などでは、将来の乳がんリスクや対応が異なります。NCIも、乳房の良性病変を、リスクが増えないものと、異型過形成などリスクに関わるものに分けて説明しています。NCI:乳房の良性病変とリスクの違い
「乳腺症ならすべて前がん病変」「良性といわれたら今後一切受診不要」とまとめず、自分がどの病変と説明されたかを確認します。病理検査を受けた場合は結果の名称と、次の診察の理由・時期を聞いておきましょう。
経過観察と痛みへの対処は、一人ずつ相談します
良性と確認され、つらい症状がなければ積極的な治療をしない場合もあります。経過観察の間隔は、病変、検査結果、年齢、これまでの経過などで決まります。すべての人が6カ月〜1年ごとに同じ画像検査、という意味ではありません。
痛みで困る場合は、締め付けを避けた合うサイズのブラジャーなど、負担の少ない方法を試せます。鎮痛薬を検討する場合は、持病、妊娠・授乳、併用薬に合うかを医師・薬剤師に確認します。痛みが改善しない、薬で対処し続けている場合は再相談してください。NHS:乳房痛の対処と受診
全員に低用量ピル・漢方・手術が必要なわけではありません。特定のサプリで治ると期待して診察を遅らせたり、使っている薬を自己中断したりしないようにします。授乳中の赤み・腫れ・痛みは乳腺炎などの評価も必要で、乳腺症と決めて放置しません。
症状の診療、病変の経過観察、症状のない人の検診は別です
国立がん研究センターは、しこり、ひきつれ、血性の乳頭分泌などがある場合、検診ではなくすぐに医療機関を受診するよう案内しています。前回の検診が正常だった場合も、今回の症状は診療で相談します。国立がん研究センター:乳がん検診と症状があるときの受診
症状のない人の定期的な乳がん検診は、原則40歳から2年に一度のマンモグラフィが案内されています。診断された病変の経過観察は別で、主治医と予定を確認します。乳腺症と高濃度乳房も同じ意味ではなく、乳腺症という名前だけで全員に毎年のマンモグラフィ・超音波併用を追加するとは決められません。
普段の自分の乳房の状態を知り、変化に気づいたら相談することが役立ちます。決めた日の自己触診で異常を感じなかったことを、乳がんがない証明にはしないでください。
出典と確認日
2026年10月26日に日本乳癌学会、国立がん研究センター、NCI、NHSの説明を参照しました。乳房の診療、症状への対処、経過観察と検診を分けています。医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。