卵管水腫は、卵管がふさがって液体がたまり、広がった状態です。体外受精の結果に影響することがあるため、確認された場合は移植前の治療を相談します。ただし、「3cm以上なら切除」「良い胚を何回移植しても着床しなかったら手術」という一つの条件だけで判断するものではありません。
体外受精の前に、治療を相談する理由
卵管水腫の液体が子宮側へ流れることなどが、胚の着床や体外受精の結果に影響すると考えられています。片側だけの場合も、体外受精への影響を検討します。痛みなどの症状がないことだけで、対応が不要とは決められません。
WHOの2025年指針は、卵管水腫による卵管因子の不妊がある人に、体外受精の前の卵管切除または卵管遮断を提案しています。これは根拠の確かさが非常に低い、条件付きの推奨です。
妊娠率の改善を考える一方で、出産に至る割合や生活の質への効果など、十分な情報がない点も示しています。手術を受ければ出産できるという保証ではありません。
WHO:不妊の予防・診断・治療指針2025、7.2節(冊子148〜149頁)
主な方法は、目的と負担が違います
| 方法 | 相談するポイント |
|---|---|
| 卵管切除 | 病変のある卵管を取り除く。癒着、出血や周囲の臓器、卵巣への血流への配慮など手術の負担を確認する |
| 卵管遮断 | 卵管水腫と子宮内とのつながりを遮る。卵管が残ることと、その卵管を通る自然妊娠の可能性を保つことは別 |
| 液体の吸引など | 負担の少ない方法として検討されることがあるが、再び液体がたまるなどの限界がある。切除・遮断と同じ確かさと考えない |
WHOは、切除か遮断かを選ぶ際に、実施可能性、経験のある医療者、癒着などを考慮するとしています。ASRMも、卵管の状態と妊娠に関わるほかの条件から、修復する方法が適するか、切除などを検討するかを分けています。ASRM:卵管の手術と体外受精、2021
切除の利益と、不利益を個別に確認します
卵管と卵巣は別の臓器ですが、手術では卵巣への血流を損なわない配慮が必要です。「適切に手術すれば卵巣への影響は必ず最小」「どんな状態でも安全」とは言えません。過去の感染・手術や癒着、今回の卵管と卵巣の位置関係などから、担当医に説明を受けます。
卵管を残す修復手術を検討する場合も、通りを回復できる見込み、再閉塞、異所性妊娠などの可能性を含めて相談します。自然妊娠を目指すのか、体外受精を予定しているのかでも、選び方が変わります。手術の細かな位置や方法を記事の説明だけで指定するものではありません。
採卵・手術・移植の順序は、全員同じではありません
年齢、卵巣予備能、保存している胚、手術の難しさ、症状や本人の希望を踏まえて計画します。WHOも、卵巣刺激・採卵との最適な順序や時期について、今後の研究が必要としています。「術後1〜2周期で必ず再開できる」と一律には案内できません。
移植を繰り返してからでなければ相談できないわけではありません。卵管水腫が疑われた段階で、どの検査でどこまで確認できたか、追加評価が必要か、治療しない場合との違いを聞いてください。
診察で確認する5つのこと
- 片側か両側か、子宮側とのつながりや癒着など、分かっている状態
- 提案された方法の目的と、ほかの方法・治療をしない場合との違い
- 手術や卵巣への血流のリスク、必要な専門施設・担当者
- 採卵・手術・移植の順番と再診。予定が変わる条件
- 診察・手術・麻酔・入院などの費用と、仕事や通院の負担
手術で期待できることと、まだ不確かなことを分けて相談すると、自分の希望に合う計画を考えやすくなります。研究集団の平均的な割合を、個人の妊娠・出産の予測として使わないでください。
出典と確認日
2026年10月27日にWHO2025の262頁中172〜173頁(冊子148〜149頁)の本文・画像と、ASRM2021の卵管水腫・手術の採用節を確認しました。推奨の対象・根拠の確かさ・手術の不利益を分けています。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。