流産後に仕事を休むことと、休んだ間に給付を受けることは、別の制度で考えます。妊娠の時期、体調、加入する健康保険、給与の支払いなどで確認事項が変わります。週数が早いから支援を受けられないと決めず、医師・勤務先・保険者へ分けて相談しましょう。
休業の権利と、お金の給付を区別する
| 制度 | 対象と確認先 |
|---|---|
| 産後休業 | 厚労省の案内では、妊娠4か月以降の流産・死産をした女性労働者が対象。事業主は原則8週間、就業させてはいけない。 |
| 母性健康管理措置 | 流産・死産後1年以内の女性労働者が対象で、妊娠週数は問わない。医師等の指導に沿った休業・勤務上の措置や健康診査の時間を相談する。 |
| 健康保険の給付 | 出産手当金、傷病手当金、出産育児一時金で対象・計算・手続きが異なる。休業できることだけで給付額は決まらない。 |
産後休業は原則8週間。早い週数でも母性健康管理を相談できる
厚労省は、妊娠4か月以降の流産・死産の場合、事業主は原則8週間就業させてはいけないと案内しています。6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就く場合は例外があります。「最長8週間まで自由に選ぶ」という制度ではありません。
また、流産・死産後1年以内の母性健康管理措置には、妊娠週数の条件がありません。出血、痛み、心身の不調などで休業や勤務調整の指導を受けた場合は、母健連絡カードなどで職場へ伝える方法を相談できます。休業中の給与・会社の休暇制度は別に確認してください。
3つの給付は、加入先に対象を確認する
| 給付 | 協会けんぽの案内で確認する点 |
|---|---|
| 出産手当金 | 被保険者本人が出産のため仕事を休み、給与が支払われないなどの条件で対象。給与が給付日額より少ない場合は差額となる。 |
| 傷病手当金 | 業務外の病気等の療養で働けないこと、連続3日間の待期後の休業、給与の条件などを確認する。医師の意見と仕事の内容を踏まえて判断される。 |
| 出産育児一時金 | 協会けんぽは妊娠85日(4か月)以降の流産・死産等も対象と案内。22週未満は48.8万円。全員一律50万円ではない。 |
出産手当金・傷病手当金の日額は、原則として支給開始日前の標準報酬月額の平均などから計算します。「今の給与の3分の2が必ずもらえる」とは限りません。加入期間が短い場合や給与がある場合の計算、両給付の調整も加入先へ確認してください。
傷病手当金の待期には、有給休暇や公休日も含まれます。有給休暇を全部使い切ることが一律の条件ではありません。また、協会けんぽの給付を国民健康保険や被扶養者にそのまま当てはめず、加入する保険と本人・被扶養者の区分を伝えて相談しましょう。
死産届の対象を、22週以降と混同しない
死産の届出に関する規程は、妊娠第4月以後の死児の出産を死産とし、医師・助産師の死産証書または死胎検案書を添えて、死産後7日以内に届け出ると定めています。医学上の流産の区分や、給付の22週という条件と、届出の定義を混同しないでください。
必要な手続きは医療機関と市区町村へ確認します。週数・日数の数え方を自分で換算して対象外と決めず、医師の記録と各制度の案内を示して相談してください。
相談する順序と、手元にそろえる情報
- 担当医へ、現在の症状と仕事の内容、通勤などの負担を伝え、休業・勤務調整の必要性を相談する。
- 勤務先の人事・総務などへ、利用する休業・休暇、必要な証明、給与の扱い、誰にどこまで共有するかを確認する。
- 加入先の保険者へ、流産の日・妊娠の時期、休業期間、給与、加入状況を伝え、給付の対象と書類・期限を確認する。
職場に詳しい経緯を話すのがつらい場合も、手続きに必要な情報と共有範囲を窓口に相談してください。「体調不良とだけ言えば必ず足りる」「診断書があれば確認を求められない」と一律には言えません。制度や対応で困る場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)など、公的窓口へ相談できます。
退職を考える場合は、手続きの前に保険者へ確認する
協会けんぽの出産手当金の継続給付は、資格喪失日前日までの被保険者期間が継続1年以上あり、その前日に給付を受けている、または受けられる状態にあるなどの条件があります。退職日に出勤した場合は、資格喪失後の出産手当金は受けられないとされています。
出産育児一時金や傷病手当金には別の条件があります。退職後なら一律対象外、あるいは必ず受け取れるとは考えず、退職前に具体的な日程と加入先を示して確認してください。
申請のために無理をし過ぎず、流産後の休養と復帰についての相談も参考に、今の体調に必要な支援を医療者へ伝えましょう。
確認した資料
2026年10月24日に確認。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。