流産後に仕事を何日休むかは、心身の状態、受けた処置、仕事の負担に応じて主治医と相談します。そのうえで、妊娠4か月以降の流産・死産は、原則8週間の産後休業の対象です。「手術後に数日で動けるか」と「法律上、就業できるか」は分けて考える必要があります。
妊娠4か月未満でも、休養が必要なのに無理に復帰する必要はありません。流産後の母性健康管理措置や、会社の休暇制度を確認できます。まず休む期間と仕事の配慮、次に休業中のお金の順に整理していきましょう。
妊娠4か月以降は、原則8週間の産後休業
厚生労働省は、妊娠4か月以降に流産・死産した女性労働者について、事業主は原則8週間就業させてはいけないと案内しています。ここでいう妊娠4か月は、85日以降のことです。産後休業の期間は、その翌日から数えます。
6週間を経過した後は、本人が働くことを請求し、医師が支障ないと認めた業務に就く場合に限り、例外的に就業できます。「本人が申請すれば6週間だけ休める」「体調が戻れば4週間で復帰できる」という制度ではありません。
自分の週数や日付の扱いが分からない場合は、主治医と会社の人事へ確認してください。仕事の都合や周囲の期待だけで、早い復帰日を約束しなくて構いません。
週数に関係なく、流産後1年以内は母性健康管理措置の対象
流産・死産後1年以内の女性労働者は、妊娠していた週数を問わず、母性健康管理措置の対象です。医師などから休業や仕事の負担を軽くする指導があった場合、会社はその指導を守れるよう対応する必要があります。
職場への連絡には、医師等の指導内容を伝える母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)を利用できます。「流産後だから対象外」と思って諦めず、休む必要や通勤・仕事内容で困っている点を主治医へ伝えてください。
- 休業が必要か、必要ならいつまでか。
- 立ち仕事、重い物を持つ作業、長い通勤などを調整したいか。
- 再診のために必要な時間や、休憩・勤務時間の配慮があるか。
心のつらさで眠れない、集中できないなど、仕事に影響することも相談できます。必要な配慮は、心身の状態を踏まえて医師等と確認しましょう。
休業の制度と、休んでいる間のお金は分けて確認する
休業できることが、そのまま給与の全額支払いを意味するわけではありません。就業規則と加入している健康保険を確認し、次の制度を人事・保険者に尋ねます。
- 年次有給休暇・会社独自の休暇:残りの日数、申請方法、流産・死産に対応する特別休暇や病気休暇、給与の扱いを人事へ確認します。
- 出産手当金:健康保険の被保険者本人が、対象となる出産のため仕事を休み、十分な給与を受けられない場合の給付です。健康保険での出産には妊娠85日以降の流産・死産も含まれます。加入先に対象期間と申請書を確認します。
- 傷病手当金:病気などの療養で仕事に就けず、連続する3日の待期を含め4日以上休み、十分な給与を受けられない場合などに対象となります。実際の仕事と医師の意見等を踏まえて判断され、手術を受けたことだけで自動的に支給が決まるわけではありません。
傷病手当金の待期3日間には、有給休暇や土日・祝日も含まれます。給与が出る期間の支給や、出産手当金との調整にはルールがあるため、両方を満額受け取れるとは考えず、加入先へ確認してください。給与が給付額より少ない場合に差額の対象になることもあります。
国民健康保険や被扶養者など、加入の立場が違うと給付の扱いも変わります。自分に当てはまる制度を、保険証等に記載された加入先へ尋ねましょう。
職場へは、休む必要と必要な配慮を伝える
同僚全員に経緯を詳しく説明する必要はありません。まず上司や人事の窓口に、休業が必要なこと、医師の指導、次に連絡できる時期を伝え、手続きに必要な書類と共有する範囲を確認します。
伝え方の一例は「医師から休養の指示があり、当面の出勤が難しい状況です。必要な書類と利用できる休暇を人事に確認したいです。詳しい事情の共有は、手続きに必要な方に限っていただけますか」です。これは連絡文の例で、すべての書類で病名を書かなくてよいという意味ではありません。
復帰日をすぐに確定できない場合は、次の診察後に連絡する形も相談できます。主治医には仕事内容を伝え、「何日休むか」だけでなく、戻るときに必要な配慮も確認しましょう。
相談先を分けて、心身の回復を優先する
体調や必要な休養は主治医、休暇や給与の手続きは会社の人事、給付の審査・申請は加入している健康保険が相談先です。制度の説明が食い違う場合は、下記の厚生労働省の案内を共有し、産後休業と母性健康管理措置を分けて確認してください。
気持ちの整理がつかないときの相談先は、こども家庭庁の流産・死産等を経験された方向けの案内から探せます。回復を周囲や体験談の期間と比べず、つらさが続くときは一人で抱え込まないでください。
参照した公的情報
2026年10月23日確認。日本の雇用・健康保険制度の一般的な説明です。個別の休業期間・書類・給付の適用は、主治医、勤務先、加入先へ確認してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。