不妊治療の注射は、すべて同じ目的や使い方ではありません。卵胞の発育を促す薬、卵胞の成熟や排卵のタイミングに関わる薬などがあり、診断と治療計画に合わせて使います。薬の名前、目的、量・時刻を、処方時に確認してください。
体調変化と注射の間違いは、通院先へ連絡します
| 気になる状況 | 対応・確認すること |
|---|---|
| お腹が張る・痛い、吐き気や急な体重増加がある | OHSSなどの可能性もあり、すぐに医療機関へ連絡する |
| 尿が減る、息苦しい、胸痛、急に具合が悪い | 早急に医療評価を受ける。強い症状は救急へ連絡する |
| 指定した時刻に打てなかった・薬や量を間違えた | 薬名、予定時刻、実際に使った時刻・量を伝え、次の対応を確認する |
| 注射器の扱いがわからない・漏れたかもしれない | 自己判断で追加せず、処方元へ連絡して指示を受ける |
| 妊娠の可能性や新しい薬の使用がある | 次の使用前に処方医へ伝え、使用条件を確認する |
自己注射のガイドには、重いOHSSの注意が示されています。お腹の張りや吐き気を「注射後なら普通」と決めず、症状と使用した薬を伝えましょう。PMDA:ゴナールエフ患者向医薬品ガイド、PMDA:オビドレル患者向医薬品ガイド
卵胞を育てる注射と、成熟に関わる注射を分けます
例えば、FSH製剤のゴナールエフは、卵胞の発育を促す目的などで使われます。オビドレルはhCG製剤で、卵胞の成熟・排卵誘発や黄体化に関わる目的で使われます。ここで挙げた薬だけが選択肢ではなく、同じ「排卵の注射」という呼び方でも目的が違うことがあります。
同じ薬でも一般不妊治療と生殖補助医療では計画が異なるため、ほかの人の量や日程を当てはめないでください。超音波や必要な採血などで卵巣の反応を確認し、医師が量や継続・変更を判断します。
自己注射は、製品ごとの指導を受けます
自己注射が処方された場合は、医療機関で使い方の説明を受け、実際の製品の説明書を確認します。薬と器具の確認、保管、注射方法、使用済みの針の扱いまで、わからないことはその場で聞いてください。記事だけを手順書にして開始するものではありません。
開始する日、注射する時刻と量、次の診察日、時間外の連絡方法をメモできます。ペン型の薬と単回のシリンジでは扱いが違い、器具や単位を混同しないようにします。
打ち忘れの対応は、薬によって違います
オビドレルの患者向ガイドは、使用し忘れた場合に速やかに医師へ連絡し、指示を受けるよう案内しています。ゴナールエフのガイドにも、2回分を一度に使わないなどの注意があります。一つの薬の飲み忘れ・打ち忘れのルールを、全ての注射へ流用しないでください。
予定より遅れた場合や使えた量に自信がない場合は、薬名・日付・時刻・量を伝えます。自分で埋め合わせの注射を追加したり、採卵・人工授精等の予定を変更したりせず、通院先の指示を確認します。オビドレル:使用し忘れた場合の案内
OHSSや多胎妊娠などの説明を受けます
卵巣への刺激が強くなると、OHSSが起こる場合があります。お腹の張り・痛み、吐き気、体重増加、尿が少ないなどを早く伝え、医療者が状態を確認します。注射を終えたから以後は症状を気にしなくてよい、ということではありません。
反応によっては、使用の延期や中止などを医師が検討することもあります。多胎妊娠の可能性、性交や活動についての指示、妊娠した後も含む経過確認を相談してください。自分で中止や継続を決めるための症状判定表ではありません。
息苦しさ、胸痛、強い腹痛、急な体調悪化などは、OHSS以外も含め早急な評価が必要です。強い症状は救急へ連絡します。NHS:不妊治療後の体調変化と急ぎの連絡
hCG製剤と妊娠検査薬の関係を確認します
hCGを含む薬は、市販の妊娠検査薬の結果に影響することがあります。注射日、薬名、判定日の指示を通院先に確認し、検査薬の線や注射後の日数だけで妊娠の経過を決めないでください。陰性・陽性の結果だけで治療薬を中止・追加しないようにします。ロート製薬:hCGを含む不妊治療薬と検査結果
費用は、薬の単位・本数と診療内容を確認します
薬の種類と規格、処方量・本数、自己注射か通院注射か、超音波・採血・診察などで費用は変わります。保険の扱い、表示料金に含まれる内容、追加の診察や薬が必要な場合の費用を確認してください。1回の注射代だけで、その周期全体の費用を判断しないようにしましょう。
出典と確認日
2026年10月30日にPMDA現掲載のゴナールエフ・オビドレル患者向ガイド(いずれも2024年12月更新)の採用頁を確認し、同日確認済みのNHSとロート製薬資料を再利用しました。全ての注射製品・操作手順を網羅する記事や、個別の医師監修ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。