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2個戻し(二段階移植)とは|適応条件とリスク

2026/4/22

2個戻し(二段階移植)とは|適応条件とリスク

体外受精で複数の胚がある場合、「2個移植(2個戻し)にすれば妊娠率が上がるのでは」と考える方は少なくありません。2個戻しは妊娠率をわずかに高める可能性がある一方、双胎(ふたご)妊娠のリスクを大幅に高めます。この記事では、適応条件・リスク・日本での法的位置づけを整理します。

この記事でわかること

  • 2個戻し(二段階移植との違いを含む)の基本的な定義
  • 1個移植との妊娠率・双胎リスクの比較
  • 日本産科婦人科学会の見解と適応条件
  • 双胎妊娠が高リスクとされる理由
  • 2個移植を検討する場合の相談の進め方

2個戻しとは——用語の整理

「2個戻し」という言葉には、異なる2つの意味が混在しているため、まず整理します。

呼び方

内容

使用する胚の数

2個移植(同時2個戻し)

同じ日に2つの胚を同時に子宮内に移植する

2個

二段階移植(Split ET)

初期胚を先に移植し、2〜3日後に胚盤胞を追加移植する

2個(別日)

この記事では、主に「同じ日に2つの胚を移植する同時2個移植」について解説します。

1個移植と2個移植の妊娠率・双胎リスクの比較

2個移植によって累積妊娠率がわずかに向上する可能性がありますが、双胎(ふたご)妊娠のリスクは大幅に増加します。

比較項目

1個移植

2個移植

1回あたりの妊娠率

やや低い

わずかに高い

双胎妊娠率

約1〜2%

約20〜30%

早産リスク

低い

単胎と比較して約5〜7倍

低出生体重児リスク

低い

双胎では高い

「2個移植=2倍の妊娠率」ではありません。1個の胚が着床すれば1回の妊娠になり、2個が同時に着床する場合は双胎になります。

日本産科婦人科学会の見解

日本産科婦人科学会(日産婦)は、体外受精における多胚移植に対して明確な指針を示しています。

  • 原則1個移植:単一胚移植(SET: Single Embryo Transfer)を標準として推奨
  • 2個移植が認められる条件:35歳以上または反復不成功例(2回以上の移植不成立)に限定
  • 背景:双胎妊娠は母体・胎児双方にとって高リスクであり、不必要な多胎妊娠を防ぐことが医療倫理上の責務とされている

条件を満たさない場合に2個移植を実施することは、日産婦の倫理指針に反するとされています。施設によっては条件外での2個移植を実施しないことを方針として明示しています。

双胎妊娠が高リスクとされる理由

双胎妊娠は単胎と比較して、母体・胎児の両方に対するリスクが高まります。

  • 早産:双胎の早産率は約50%(単胎の約10%と比較)
  • 低出生体重:早産と関連し、NICU入院が必要になるケースが増える
  • 妊娠高血圧症候群:単胎と比較してリスクが約2〜3倍高い
  • 帝王切開率の上昇:経腟分娩が困難になるケースが多い
  • 一絨毛膜双胎(一卵性双生児の一形態):双胎間輸血症候群(TTTS)等の重篤な合併症リスクがある

2個移植を検討する場合の流れ

日産婦の適応条件(35歳以上または2回以上の移植不成立)に該当する方が2個移植を希望する場合、以下の流れで担当医と相談することになります。

  1. 現在の状況(年齢・移植回数・胚の質)を担当医と確認する
  2. 2個移植の適応に該当するかどうかを確認する
  3. 双胎妊娠のリスクについて十分に説明を受ける
  4. 同意書(インフォームド・コンセント)に署名する
  5. 実施可能な場合は次の移植周期で計画する

なお、良質な凍結胚盤胞が1個ある場合は、1個移植でも十分な妊娠率が見込めるケースが多いです。

よくある質問(FAQ)

35歳以下で初回移植でも2個移植は頼めますか?

日産婦のガイドラインでは、35歳以上または2回以上の移植不成立という条件があります。35歳以下の初回移植では通常、1個移植が標準です。クリニックの方針や個別の状況によりますが、条件外での2個移植を断るクリニックも多いです。

2個移植したら必ず双胎になりますか?

必ずしも双胎になるわけではありません。2個の胚を移植しても、両方着床する確率は約20〜30%です。1個だけ着床する場合、どちらも着床しない場合もあります。

一卵性双生児のリスクはありますか?

胚盤胞移植では一卵性双生児(一絨毛膜双胎)の発生率がわずかに高まるという報告があります。一絨毛膜双胎では双胎間輸血症候群などの合併症リスクがあり、管理が複雑になります。

2回不成功なら2個移植にするほうがよいですか?

条件を満たす場合に2個移植の選択肢が生まれますが、妊娠率の向上効果は限定的な場合もあります。反復着床不全の原因(胚の染色体・子宮内膜の受容能等)を精査してから次の方針を決めることが重要です。2個移植より先に検討すべき検査がある場合もあります。

双胎でも自然に一方が消えることはありますか?

「バニシングツイン(vanishing twin)」と呼ばれる現象で、移植後早期に一方の胚が消失するケースがあります。頻度は約15〜20%とされていますが、消失しない場合もあるため、双胎妊娠のリスクを前提として考える必要があります。

まとめ

2個移植(2個戻し)は、特定の条件下でわずかに妊娠率を高める可能性がありますが、双胎妊娠のリスクを大幅に高めます。

  • 日本では35歳以上または2回以上移植不成立の方に限定して認められる
  • 双胎妊娠は早産・低出生体重・妊娠合併症のリスクが高い
  • 1個移植でも良質な胚盤胞であれば十分な妊娠率が期待できる
  • 2個移植を希望する場合は、適応と双胎リスクを十分理解してから相談する

2個移植の適応に迷う場合は、まず担当医に現在の胚の質・状況を確認し、1個移植で十分かどうかを相談することをおすすめします。

次のステップ・受診のご案内

反復着床不全でお悩みの方、2個移植の適応について確認したい方は、不妊専門クリニックにご相談ください。MedRootでは不妊治療に詳しいクリニックの情報も提供しています。

免責事項

この記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針の決定を行うものではありません。具体的な症状や治療については、必ず担当医師にご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、医学的知見の更新により変更になる場合があります。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/22更新:2026/5/2