不妊治療で遺伝や染色体の説明を受け、「検査をした方がよいのか」「家族にも関係するのか」と迷う場合があります。遺伝カウンセリングは、医学的な情報と本人の希望・心配を整理し、十分な説明を受けて選択できるよう支援する相談です。
検査を受けることや、特定の治療・妊娠の方法を選ぶことを前提とした場ではありません。気持ちの負担への心理相談とも役割が異なり、必要に応じて両方の支援を相談できます。日本医学会:遺伝学的検査・診断のガイドライン(2022年3月改定)
検査名より先に、何を知りたいかを伝えます
| 確認したいこと | 診療で相談すること |
|---|---|
| 家族の病気が自分や子どもに関係するか心配 | 分かっている病名や検査情報と、知りたいことを伝える |
| 染色体・遺伝子検査を提案された | 目的、分かることと限界、受けない選択を含めて説明を聞く |
| 結果の意味が分からない | 本人の診察情報と合わせた解釈、未確定な点や追加相談を聞く |
| 家族にどう伝えるか迷っている | 本人の希望とプライバシー、共有を考える情報を相談する |
| 検査を受けるか決められない | 決めるために不足する情報と、考える時間・次の相談方法を確認する |
どのような場合に相談するか
本人や家族に遺伝性疾患・染色体に関する所見がある、医師から関連する検査や説明を受けた、将来の子どもへの影響について知りたい等のときは、担当医に遺伝相談への紹介が必要かを聞いてください。
国立成育医療研究センターは、本人が子どもを希望する場合の同じ疾患・体質の可能性、親戚に遺伝性の病気がある場合等を相談例に挙げています。ただし、掲載施設の対象や受診方法を、すべての不妊治療施設に当てはめることはできません。国立成育医療研究センター:遺伝診療科の相談例
不妊の方全員に、同じ遺伝学的検査を行うわけではありません
検査は本人の病歴や所見、調べる目的に応じて考えます。精液検査やホルモン検査、染色体・遺伝子の検査は調べる内容が異なります。「原因が分からないからすべての遺伝子を調べる」と自己判断せず、どの疑問に答える検査なのかを聞いてください。
男性不妊でも、問診・精液検査と必要な診察等を踏まえて追加の評価を検討します。遺伝相談は検査の必要性や受ける場合の影響を整理する機会にもなります。日本泌尿器科学会:男性不妊症診療ガイドライン2024年版
「分からない」という結果についても、先に聞きます
検査で原因を確定できるとは限りません。見つかった変化の意味がはっきりしない場合や、解釈が後に変わりうる場合もあります。検査結果だけで診断や将来の状態を決めず、診察情報等を合わせた説明が必要です。
受ける前には、何を調べ、結果で対応がどう変わるか、意図した目的以外の所見が得られる可能性とその説明方針を確認します。「陰性なら将来の病気が全部否定できる」「所見があれば必ず子どもに同じ病気が起こる」と単純化しないでください。
家族への共有と、本人の意思を相談します
遺伝情報は血縁者にも関係しうるため、共有が役立つ場合と本人のプライバシーを一緒に考えます。本人の同意を得て伝えることが原則で、例外的な対応も担当医一人で決めるものではないと指針は説明しています。
家族の情報を無理に集めたり、検査報告書を本人の了解なく渡したりせず、何を誰に共有するかを医療者と相談してください。家族に話しづらいことや、まだ決めたくないことも伝えて構いません。
受診の準備と費用の確認
相談したい疑問、これまでの検査結果、本人の病歴、分かる範囲の家族の病名や経過を整理します。不明なことは不明のまま伝え、すべて揃うまで相談を待つ必要があるかは受診先へ確認してください。
紹介状や予約方法、同席できる人、相談時間・回数、保険・自費と検査費用の別、結果後の相談を確認します。相談を受けたら必ず当日に検査を受ける、全施設で無料、というものではありません。検査を受けるかを迷っている場合は、その段階から相談できるかを尋ねてください。
出典と確認日
2026年10月30日に、日本医学会2022指針の該当頁と、国立成育医療研究センターの遺伝相談例、日本泌尿器科学会2024指針の初期評価の節を確認しました。着床前検査等の個別適応や本人・家族の診断を示す記事ではありません。
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免責事項
この記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断や治療の代わりとなるものではありません。個々の症状や状況に応じた判断は、必ず担当の医師にご相談ください。また、治療効果には個人差があります。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。