新型コロナワクチンを接種したあとに不妊検査を予定している場合は、接種日・種類、今の体調、予定する検査や治療を医療者へ伝えてください。不妊になるのではという不安と、発熱等があるときの受診や採卵・移植の日程調整は、分けて相談します。
一律の日数ではなく、症状と予定する診療を確認します
| 気になる状況 | 対応・確認すること |
|---|---|
| 接種したので、不妊検査をすべて延期すべきか不安 | 接種歴と検査の目的を伝え、実施日と受診先の条件を確認する |
| 発熱・だるさ等が続いている | 症状と経過を接種施設や治療先へ連絡する。自己判断で翌日再開・48時間待機と決めない |
| 採卵・胚移植等の日程が近い | 処置日、薬、体調変化時の対応を治療先と接種先へ相談する |
| AMHや精液検査の結果が前回と違う | 接種だけを原因と決めず、検査条件・病歴等を含め医師の説明を受ける |
| 胸の痛み・動悸・息切れ等がある | 検査予定を優先せず、速やかに医療機関へ相談する |
強い息苦しさ、意識の異常等の切迫した状態では119等で救急の助けを求めてください。症状をすべて副反応と決めつけず、今の状態を医療者へ伝えることが大切です。厚生労働省のQ&Aも接種後の胸痛・息切れ等では速やかな受診を案内しています。厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A
不妊に関する説明と、その資料の対象を確認します
厚生労働省の2024年3月時点のQ&Aは、新型コロナワクチンが不妊の原因になるという科学的な根拠は報告されていないと説明しています。これは当時の資料であり、接種する製品・本人の状態や、今の接種条件まで一律に判断する説明とは分けて扱います。厚生労働省:2024年3月時点のQ&A(保存版)
例えばWesselinkらの2022年の研究の抄録では、米国・カナダで自然妊娠を試みる21〜45歳の女性2,126人を登録した観察研究で、本人・パートナーのワクチン接種と周期ごとの妊娠のしやすさに明らかな関連は認めなかったと報告しています。
調査は2020〜2021年で、2022年にAmerican Journal of Epidemiologyに掲載されています。Wesselinkら:研究の抄録・掲載情報
この研究は、全製品の現在の接種条件や個人のAMH・精液の値、体外受精の成績をすべて保証するものではありません。集団での観察結果を、あらゆる検査値が変わらない、症状の心配はない、という説明へ広げないでください。
検査値が変わったときは、何を測ったかを確認します
結果には、測定した項目と単位、検査日、測定施設や条件、服薬、月経や体調の経過等を添えて相談します。接種の前後で値が違うことだけで、ワクチンが原因と確定することはできません。必要な再評価の有無・時期は医師と確認します。
AMHは卵巣予備能や卵巣刺激への反応等を考える補助情報であり、卵子の質や自然妊娠の可否を一つの数値で判定するものではありません。ASRMの2026年の評価でも、年齢・病歴等を踏まえた解釈と、短期間の定型的な反復測定を勧めない考え方が示されています。ASRM:卵巣予備能の評価と限界
精液検査も、発熱や採取条件を含む病歴等を伝えて結果の説明を受けます。接種後は誰も値が変わらない、数日たてば必ず元に戻る、という一律の予定を置きません。
月経や出血の変化があれば、つらさも含めて伝えます
厚生労働省の保存版Q&Aは、月経への影響がない場合や一時的な変化が報告された場合があると説明しています。集団の報告をもとに、個人の変化が必ず一定の日数・周期で回復すると約束するものではありません。
出血や痛みが強い、気になる変化が続く、妊娠の可能性がある等の場合は、2〜3周期を待たず産婦人科へ相談できます。大量の出血や強い腹痛、失神等があれば急いで評価を受けてください。接種したこと以外の原因や妊娠の確認が必要な場合もあります。
採卵・移植と接種の予定を相談するとき
接種予定日と種類、採卵・移植等の処置日、使っている薬、妊娠の可能性、過去の接種後の症状を伝えます。発熱等が出たときの連絡・日程変更や処置前の条件も確かめてください。接種や治療の必要性は、それぞれの医療者と本人の状態を踏まえて判断します。
採卵・移植の前後2週間を全員の禁止期間としたり、解熱後48時間・接種翌日をすべての検査や処置の再開基準にしたりしません。処方薬を自己中止したり、必要な診療を自己判断で長く先送りしたりする前に、治療先へ確認してください。
出典と確認日
2026年10月30日に厚生労働省の現Q&Aと2024年3月保存版の採用節、Wesselinkらの2022年論文の抄録・掲載情報、ASRM2026年版の採用節を確認しました。過去の調査と現在の接種・個別診療の条件は区別しています。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。