アンチトロンビンIII(ATIII、AT)は、血液が固まる働きを調整するたんぱく質です。不育症の相談で検査名を聞くことがありますが、流産を経験した全員が一律に受ける検査ではありません。自分や家族の血栓症の病歴などから、検査する目的を確認します。
検査前に、目的と病歴を確認します
| 確認すること | 相談のポイント |
|---|---|
| 本人の血栓症の既往 | いつ、どこに血栓ができ、どの治療を受けたかを伝える |
| 家族の病歴 | 血栓症やアンチトロンビン欠乏症の情報を分かる範囲で伝える |
| 検査の目的 | 妊娠時の血栓予防の判断など、何を確認するためかを聞く |
| 結果と薬の使用 | 結果票・服用薬を持参し、再確認や今後の管理を相談する |
| 妊娠を希望する時期 | 妊娠前から相談する担当科と、連絡の予定を確認する |
国内提言は、血栓症の既往・家族歴を踏まえる検査としています
こども家庭庁が公開する「不育症管理に関する提言2025」は、アンチトロンビンを選択的検査に挙げています。ただし、不育症の全員を対象に調べるスクリーニングは勧めず、血栓症の既往歴や家族歴がある場合に検討する条件を示しています。
同提言では、妊娠時の抗凝固療法が必要かどうかを判断する目的を説明しています。「流産の原因が必ず分かる検査」「省くと治療が遠回りになる検査」という一律の位置づけではありません。こども家庭庁公開:不育症管理に関する提言2025、PDF22〜25頁(冊子21〜24頁)
低い結果だけで、流産の原因や遺伝性の欠乏症を確定しません
検査結果は、今回どの項目を測ったのか、検査施設の基準範囲、病気や薬の使用などと合わせて解釈します。低い値が出る背景は一つとは限らず、再確認や追加評価が必要かを医師に聞いてください。
薬が結果に影響することもあるため、薬の名前と使用状況を伝えます。検査のために自分で中止・減量しません。正常範囲だった場合も、不育症に関わる全ての要因を除外した意味ではありません。MedlinePlus:ATIII検査の解釈と薬への注意
流産への治療と、本人の血栓予防を分けて相談します
ASRMの2026年反復流産に関する委員会意見も、遺伝性の血栓性素因を一律に調べることを勧めていません。一方、妊娠中の血栓症のリスクを評価し、本人の血栓予防に向けて判断する場面があることを説明しています。
検査の異常があれば全員にヘパリンやアスピリンを使う、という意味ではありません。すでに血栓症などで処方を受けている人が、その治療を不要と判断する根拠にもなりません。何を防ぐために、どの薬をどの期間使うのかを担当医と確認します。ASRM:血栓性素因の検査と治療目的の区別
妊娠を考えるとき・結果説明のときに聞くこと
- 今回の検査は、自分や家族のどの病歴を理由に提案されたか
- 結果の解釈に薬や検査時の状態が関わるか、再確認が必要か
- 産婦人科と血液内科など、どの担当科で計画を相談するか
- 妊娠が分かった際の連絡方法と、薬を使う場合の利益・負担
- 検査・再検査や診察の費用、保険適用の条件
血栓症の病歴や欠乏症の診断がある場合は、妊娠を希望する段階でその情報を伝えてください。数値だけを調べ続けるのではなく、本人に必要な評価と妊娠時の計画につなげます。
参考資料と確認日
- 不育症管理に関する提言2025(血栓性素因・アンチトロンビンの採用頁)
- ASRM:Recurrent pregnancy loss(2026年、血栓性素因の採用節)
- MedlinePlus:Antithrombin III blood test(2026年5月1日レビュー)
2026年10月30日に採用節を照合しました。全指針や引用研究の読了、本人への診断や医師監修を行った記事ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。