漢方薬も薬です。天然由来という理由だけで、副作用がない・長期間飲んでも安全とは判断できません。処方された薬だけでなく、市販の漢方薬、サプリメントや併用薬を含め、製品名と飲んでいる量を医師・薬剤師に伝えてください。
飲み始めてから体調が変わったときは、我慢して飲み続ける前に相談します。副作用が疑われるときは服用を中止して医療者へ連絡し、強い息苦しさ、意識の異常や失神等があれば速やかに救急医療を求めてください。
症状と、伝えることを確認します
| 状況・確認すること | 対応や相談のポイント |
|---|---|
| むくみ・体重増加・血圧の上昇 | 甘草を含む薬等による偽アルドステロン症も考慮するため、服用を中止して相談する |
| 脱力・筋力低下・筋肉の痛みやけいれん | 低カリウム血症や筋障害等の可能性があり、早く医療機関へ相談する |
| せき・発熱・息苦しさ | 間質性肺炎等の注意症状。服用を中止して速やかに受診する |
| 皮膚や白目が黄色い・強いだるさ | 肝機能障害等の可能性があり、服用を中止して相談する |
| 発疹・胃腸症状・飲み始め後の変化 | 製品名、開始日、量、症状の経過を伝える。自己減量や再開で様子を見続けない |
甘草の量だけで「ここまでは安全」と決めません
甘草(カンゾウ)やその成分グリチルリチンを含む薬では、偽アルドステロン症に注意が必要です。低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加等がみられ、筋障害につながることもあります。
リスクの判断には量だけでなく、使用期間、体格、年齢、併用薬や検査結果等が関係します。「甘草が1日2.5g以下」「グリチルリチンが100mg以下」なら全員安全、という上限は設けません。生薬の量、乾燥エキスの量、成分量は、そのまま同じ量として比較できません。
日本東洋医学会も、甘草による副作用と併用・経過観察の注意を説明しています。記事中の数字だけで安全性を判定せず、本人の処方内容を確認してください。日本東洋医学会:漢方の副作用・併用について
別の製品でも、同じ生薬が重なることがあります
漢方薬を複数使うときは、名前が違っても甘草等の生薬が重複することがあります。ほかの薬に含まれるグリチルリチンも確認が必要です。市販薬だから弱い・副作用が少ないと一律には判断できません。
たとえばツムラ芍薬甘草湯の添付文書は、ほかの甘草・グリチルリチンを含む製剤、ループ系・チアジド系利尿剤等との併用に注意を求めています。特定製品の例であり、すべての漢方薬の禁忌や併用条件が同じという意味ではありません。
芍薬甘草湯も、必要な期間と検査を確認します
ツムラ芍薬甘草湯の添付文書では、治療に必要な最小限の期間の使用と、血清カリウム値・血圧等への注意を求めています。アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症のある人には投与しない条件があります。
間質性肺炎、偽アルドステロン症、心不全・不整脈、筋障害、肝機能障害・黄疸等の重大な副作用も記載されています。すべての人に起こるという意味ではありませんが、「重い副作用は0.1%未満だから待てる」等の未確認の割合で症状を軽視しないでください。PMDA:ツムラ芍薬甘草湯 添付文書
検査の項目・時期や服用期間は、製品と本人の状態に合わせて医師が判断します。全員半年ごとの検査で十分、すべて頓服なら安全という一律の予定にはしません。
せきや発熱は、含まれる生薬名だけで除外しません
日本東洋医学会は、黄芩(オウゴン)を含まない製品でも間質性肺炎の報告があると説明しています。芍薬甘草湯の添付文書にも注意があり、「黄芩が入っていないから関係ない」と決めないでください。せき、発熱、息苦しさが出たら、飲んでいる漢方薬を伝えて速やかに受診します。
妊娠・授乳や、副作用が疑われるときの相談
妊娠中・妊娠の可能性がある、授乳中、持病がある場合は、服用前に伝えてください。妊娠・授乳の可否は製品ごとの条件を確認します。すべての漢方薬が一律に禁止、または一律に安全という判断はできません。
軽い胃腸症状に見えても、自分で量を減らす、食前から食後へ変える、別の製品へ替えることを解決策にせず、処方元・薬剤師へ相談してください。副作用を疑って中止した薬を再開する場合も、症状と検査等を医療者と確認します。
相談には、薬袋・お薬手帳・市販薬の箱や写真、飲み始めた日、飲んだ量、ほかの薬・サプリメント、症状と体重・血圧等の変化を持参すると伝えやすくなります。記録の準備のために受診を遅らせる必要はありません。
原典と確認日
2026年11月2日に原典の採用節を照合して改稿しました。日本東洋医学会Q&Aの副作用・併用の採用節と、PMDA現行一覧に掲載されたツムラ芍薬甘草湯2023年12月添付文書の該当節を確認しました。
製品例を全処方の頻度・安全量・適応へ一般化していません。原典の改訂日とは別です。個別の医師監修はありません。
免責事項
一般的な情報です。本人の症状、薬や予防接種、妊娠・授乳中の対応は、担当する医師・薬剤師等に相談してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。