「免疫検査」という名前だけでは、何を調べ、結果をどう使うかは分かりません。通常の不妊評価、流産歴や持病に応じた検査、体外受精の追加検査を区別して考えます。追加検査を勧められたら、検査名・目的・結果によって治療が変わる条件を聞いてください。
自分が相談している場面を確認します
| 相談の場面 | 確認すること |
|---|---|
| 初めての不妊評価 | 排卵、子宮・卵管、精液など基本の評価と、免疫検査を追加する理由 |
| 流産を繰り返している | 妊娠経過を伝え、不育症として必要な評価を相談する |
| 血栓症や免疫疾患の既往がある | 持病の担当医と妊娠を診る医師へ、病歴と処方を共有する |
| IVFの追加検査を提案された | 測定の意味に加え、検査後の治療の有効性・危険性・費用 |
| 検査結果が陽性・高値だった | 病気の診断条件を満たすのか、再検査や別の評価が必要か |
通常の不妊評価で、全員必須の検査一式ではありません
ASRMの2026年指針では、排卵、女性の生殖器の構造・卵管の通過性、男性側の精液などを通常の評価として示しています。一方、他の臨床的な適応なしに免疫検査を一律に行うことは勧めていません。
「検査を省くと必ず遠回りになる」という説明で全てを追加するのではなく、これまでの診察・検査で何が分かり、次に何を確かめるのかを整理しましょう。これは、病歴から必要と判断された検査まで一律に不要という意味ではありません。ASRM2026:通常の不妊評価と、適応に応じた追加検査
妊娠しないことと、流産を繰り返すことは評価が異なります
妊娠成立までの不妊評価と、妊娠後に流産を繰り返す場合の不育症の評価を、同じ検査セットと考えないでください。流産した時期や回数、これまでの検査、血栓症や持病の有無を医師へ伝えます。
こども家庭庁公開の「不育症管理に関する提言2025」では、抗リン脂質抗体と産科の抗リン脂質抗体症候群(APS)を扱っています。APSは、採血で一度陽性というだけでは決まらず、臨床経過と検査条件を合わせて判断します。持続陽性の確認では、12週間以上の間隔を空けた再測定が示されています。
抗精子抗体、抗リン脂質抗体、NK細胞の検査などを、ひとつの「免疫が強すぎる」という診断にまとめないでください。病名や検査の対象ごとに説明を受けます。こども家庭庁公開:不育症管理に関する提言2025(PDF15〜16頁の採用箇所)
NK細胞やTh1/Th2などの追加検査は、測定と治療効果を分けて確認します
英国HFEAの説明は、免疫疾患のない人に、通常のIVF・顕微授精へ追加する免疫検査・治療を対象としています。血液中のNK細胞と子宮内のNK細胞は同じものではなく、血液の値だけで子宮内の状態や妊娠の結果が分かるとはしていません。
検査で数字が出ることと、その数字を理由に治療を追加すると出産の可能性が上がることは、別の問題です。検査後に提案される治療について、自分と同じ対象での根拠、期待できること、分からないこと、副作用を確認しましょう。HFEA:健康なIVF・ICSI患者への免疫検査・治療の追加について
持病の治療薬を、自己判断でやめないでください
HFEAの追加治療への評価は、免疫疾患そのものの治療には適用しないと明記されています。免疫疾患やAPSなどの診療と、根拠の不確かな追加治療を、同じ意味で扱わないことが大切です。
処方中のステロイド、免疫に作用する薬、血栓予防の薬などを、記事や検査結果だけで中止・増減しないでください。一方、陽性や高値という理由だけで自分で開始することも避け、持病の担当医と妊娠を診る医師に相談します。
追加する前に聞きたいこと
- 検査の正式名称、検体、結果の単位と基準範囲
- 自分の病歴で、なぜ今この検査が必要なのか
- 結果が治療を変える条件と、追加しない場合の選択肢
- 治療の根拠・副作用、費用の内訳と再検査の見通し
原因が見つからないことを、直ちに免疫の異常と決めつけないでください。ふたりの検査結果と治療経過をそろえ、必要な評価を医師と選ぶことが大切です。
参考資料と確認日
- ASRM:Fertility evaluation of infertile women(2026年、通常評価と追加検査の採用節)
- こども家庭庁公開:不育症管理に関する提言2025(PDF15・16頁)
- HFEA:Immunological tests and treatments for fertility(対象範囲・血液と子宮の検査の採用節)
2026年10月30日に採用箇所を照合しました。個別の診断・処方や医師監修を行った記事ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。