妊娠中は複数のホルモンが変化します。ただし、つわり、眠気、気分の変化をすべて一つのホルモンで説明したり、症状の強さからホルモン値や赤ちゃんの状態を判断したりすることはできません。役割を知ることと、自分の経過を診断することを分けて考えましょう。
主なホルモンの役割と、検査で気を付けたいこと
| ホルモン | 役割と確認のポイント |
|---|---|
| hCG | 妊娠検査で調べるホルモン。妊娠初期に増え、その後は低下する時期もある。値や上がり方だけで妊娠の場所・経過を決めない。 |
| プロゲステロン | 子宮内膜を妊娠に適した状態にし、妊娠を支える。胎盤が形成されると胎盤も多くを産生するが、薬をやめる時期を自分で決めない。 |
| エストロゲン | 月経周期や妊娠に伴う変化に関わる。妊娠中の変化は甲状腺検査の解釈にも影響する。症状から濃度は推定できない。 |
| プロラクチン | 妊娠中の乳房の準備や出産後の乳汁産生に関わる。妊娠していない時の基準範囲だけで異常と判断しない。 |
hCGは、ずっと同じ速さで増え続けるものではない
hCGは妊娠初期に速く増えますが、その後は低下する時期があります。「どの週でも48時間で必ず倍になる」「下がれば必ず流産」といったルールを、妊娠全期間に当てはめないでください。
妊娠の場所がまだ分からない場合は、hCGだけでは場所を決められません。症状、超音波、必要に応じた再採血などで追跡します。hCGの推移と確認の考え方も整理しています。
つわりをhCGだけで説明しない
RCOGの患者向け情報では、胎盤が作るGDF-15というホルモンなどが、食欲低下や吐き気に関わると説明しています。hCGが高いほど必ずつわりが重い、症状が弱ければhCGが足りない、と判断することはできません。
吐き気の有無や程度には個人差があります。腹痛など別の症状がある場合や、日常生活を続けられない場合は、「ホルモンのせいだから」と決めつけず受診先に相談してください。
眠気・便秘・気分の変化は、つらさと生活への影響を伝える
体調の変化だけでホルモン不足や正常な妊娠経過を判定することはできません。いつから、どの程度、食事・睡眠・仕事にどう影響しているかを伝えると相談しやすくなります。
不安や気分の落ち込みがつらいときも、妊娠中は当然だからと我慢し続ける必要はありません。助産師や担当医などに相談してください。相談のために決まった週数や期間まで待つ必要はありません。
甲状腺の数値は、妊娠中という条件で確認する
NIDDKは、妊娠に関わるhCG・エストロゲンによって、甲状腺ホルモンの測定値や検査の解釈が変わることを説明しています。妊娠中の疲れなどは甲状腺の病気の症状と重なることもあり、症状だけで区別できません。
甲状腺の病気や治療歴がある、薬を使っている場合は、妊娠が分かったことを担当医に伝えて検査と治療を確認しましょう。薬を自分で中止・増減しないでください。
ホルモン補充の終了は、症状や週数表では決めない
不妊治療などでホルモン剤を使っている場合、剤形・量・使用期間は治療内容で異なります。胎盤が働き始める時期を読んだことや、つわりが軽くなったことを理由に、薬を中止しないでください。飲み忘れ・使い忘れや副作用が気になる場合も、処方元へ対応を確認します。
水分が取れない、強い症状があるときは早めに連絡する
吐き続けて水分が取れない、尿が少ない・濃い、強いだるさやふらつきがある場合は、受診先へ早めに連絡してください。多量の出血、強い腹痛、肩先の痛み、失神などがある場合は、緊急の診察を求めます。意識が遠のく・動けない場合は119へ連絡してください。
ホルモンの説明だけで症状を自己判断せず、医療者と必要な確認・治療を相談しましょう。
確認した資料
2026年10月24日に確認。海外の指針・患者向け情報を含みます。個別の検査・治療は担当医へ確認してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。