不妊検査の結果は、「正常の範囲か」だけで妊娠できる・できないを決めるものではありません。検査した目的、月経周期や薬などの条件、年齢やこれまでの経過、パートナーの結果を合わせて解釈します。検査票に印が付いた項目は、何を意味し、次に何を確かめるかを聞きましょう。
まず、検査票でそろえる4つの条件
| 確認するもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 検査名・単位・その施設の基準範囲 | 同じ略称でも方法や単位が異なることがある。ネットの別表とそのまま比べない |
| 検査日・月経周期・排卵との関係 | ホルモンは時期によって変わる。全項目を月経2〜5日目に測るわけではない |
| 薬・治療・体調などの条件 | 結果の解釈に影響する場合がある。薬を自己中止して測り直さない |
| 今回の目的と、前回からの変化 | 単独の数字で原因や治療を確定せず、再検査や追加評価の必要性を確認する |
ホルモンとAMH:調べる目的・時期が違います
FSHやE2は、必要に応じて月経周期の早い時期に合わせて卵巣の状態を評価します。一方、排卵後のプロゲステロンを調べる場合は、予想する次の月経の約1週間前など、排卵との関係が重要です。単回のプロゲステロン値だけで黄体期の質は判定できません。
AMHやAFC(超音波で数える小さな卵胞)は、卵巣予備能や刺激への反応を考える材料です。AMHは卵子の質や自然妊娠の可否を直接判定するものではなく、年齢別の「正常値」に入ったかだけで安心・不妊と決めません。
AMHは月経周期のどの時点でも測定できる検査ですが、測定方法や状況も含めて解釈します。ASRM:排卵・卵巣予備能の評価
TSHやプロラクチンなども、症状・既往歴や他の所見から必要性を判断します。すべてを全員に同じ一式として測る、施設の基準範囲を超えたら直ちに妊娠できないとする、という理解は避けてください。
超音波・卵管造影:画像の所見と、治療方針を分けます
超音波では子宮・卵巣の形、卵胞などを確認します。大きさや卵胞数の一つの境界だけで原因や次の治療がすべて決まるわけではありません。気になる所見があれば、症状や他の検査と合わせて追加確認を検討します。
子宮卵管造影(HSG)は、卵管の通りなどを評価します。特に子宮に近い側で両方の卵管が閉じて見える場合は、一時的な収縮やカテーテルの位置などによる見かけの所見でないか追加評価が必要なことがあります。「閉塞と書かれたから必ず直ちに同じ治療」と自己判断せず、確かさと選択肢を聞いてください。
精液検査:WHO2021の数字は、妊娠の合否ではありません
WHO第6版の下表は、避妊しない性交から1年以内に自然妊娠に至ったカップルの男性という参照集団における下位5パーセンタイルです。「これ以上なら妊娠できる、未満なら不妊」という境界ではありません。
| 項目 | 参照集団の下位5パーセンタイル |
|---|---|
| 精液量 | 1.4mL |
| 精子濃度 | 1,600万/mL |
| 総精子数 | 3,900万/射精 |
| 総運動率 | 42% |
| 前進運動率 | 30% |
| 正常形態率(厳密な評価) | 4% |
前進運動率の30%と、以前の版の32%を混在させません。また、各値はそれぞれの分布の目安で、すべてを満たせば妊娠が保証されるという一式ではありません。
採取条件や結果を総合して、泌尿器科などで再検査の必要性と時期を相談します。全員が同じ2週間で再検査するという決まりにはしません。WHO第6版:Table8.3と解釈の注意、PDF227〜228頁(冊子213〜214頁)
説明を受けるときは、この3点を聞きます
- 何が分かったか:確定した診断と、疑い・追加確認が必要な所見を分ける
- 何をするか:追加検査や治療の理由、ほかの選択肢、期待できることと負担
- いつ確認するか:再診・再検査の時期、結果が変わる条件、早く連絡する症状
結果がそろう日と、医師から説明を受ける日は検査・施設によって異なります。全部正常でも原因が完全に除外されたとは限らず、一つの異常値だけで妊娠を諦める必要もありません。検査票を保存し、治療方針を決めるための意味を確認してください。
出典と確認日
2026年10月27日にASRM2026の排卵・卵巣予備能・卵管などの採用節と、保存済みWHO第6版292頁中227〜228頁の本文・画像を確認しました。WHOの統計的な参照値と個人の診断を区別しています。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。