精巣・陰嚢に急な強い痛みが出たときは、精巣上体炎と自己判断せず、すぐに救急を含む医療機関へ相談してください。精巣への血流が途絶える精巣捻転など、急いで治療すべき病気を区別する必要があります。
吐き気や腹痛を伴うこともあり、「48〜72時間以内を目標に受診」と待つものではありません。日本泌尿器科学会:陰嚢内が痛いとき
精巣上体炎は、精子が通る管の炎症です
精巣上体は、精巣で作られた精子が精管へ運ばれる途中の器官です。ここに炎症が起こると、痛み、腫れ、熱感などがみられます。発熱、排尿のしにくさ、尿道からの分泌物を伴う場合もあります。精巣にも炎症が及ぶ場合があります。
原因にはクラミジア・淋菌などの性感染症や尿路の細菌感染などがあり、尿路の病気や処置の既往も確認します。年齢だけで原因を決めることはできません。長く続く痛みやしこりにはほかの原因もあるため、抗菌薬を自己判断で繰り返すのではなく泌尿器科で評価を受けます。
| 状況 | 受診・相談の目安 |
|---|---|
| 突然の強い陰嚢痛、吐き気や腹痛を伴う痛み | すぐに救急を含め相談。精巣捻転を自分で除外しない |
| 陰嚢の痛み・腫れ、発熱、排尿症状や分泌物 | 放置せず速やかに診察を受ける。重い痛みや発熱では緊急の評価が必要な場合がある |
| 治療中に悪化する、改善しない | 処方元へ再連絡。治療後も残る腫れやしこりも再評価する |
診察と、原因に応じた検査を受けます
症状の始まり、痛む側、発熱、排尿や性行為に関する情報、過去の尿路の病気・手術・薬などを確認します。診察、尿検査、細菌培養、クラミジア・淋菌の検査などを目的に応じて行います。精巣捻転などとの区別のため超音波検査が検討される場合もあります。
超音波の結果だけですべての病気が否定できるわけではありません。痛みが強い、悪化するなどの変化は、検査済みでも伝えてください。痛みのないしこりも放置せず泌尿器科で相談する必要があります。
薬の種類と期間は、原因に合わせて決めます
細菌感染が疑われる急性期には、診察に基づいて抗菌薬による治療を始めます。想定する菌、検査結果、薬剤への反応やアレルギーなどで選び、必要に応じて変更します。全員に同じ薬を2〜4週間飲む、というものではありません。
処方された薬は指示どおりに使い、症状が和らいでも自己判断で中断しないでください。痛み止め、陰嚢を支える下着、冷却などを利用する場合も、薬の組み合わせや体の状態に合う方法を医療者に確認します。
強い痛みや発熱などでは入院や専門医の評価が必要になる場合があります。CDC:精巣上体炎の評価と治療、NHS:精巣上体炎の患者向け情報
「治療開始後の再評価」と「受診まで待つ時間」は別です
CDCの指針は、治療開始から72時間以内に改善しない場合に再診・再評価するよう勧めています。この時間は、症状が出てから受診を先延ばしにしてよい期間ではありません。悪化する、つらさが強い場合はその時点で連絡してください。
抗菌薬の終了後も腫れや圧痛が残る場合は、診断や治療の見直しが必要です。痛みが軽くなっただけで感染が治ったと決めず、次の受診と連絡が必要な症状を処方元に確認しておきます。
性感染症が原因の場合は、パートナーの診療も相談します
クラミジア・淋菌などが原因と診断された、または疑われる場合は、パートナーの検査や治療について医師へ相談してください。症状がないことだけでは感染を否定できません。薬を分け合わず、それぞれ適切な診療につなげます。
性行為を再開できる条件は、本人とパートナーの治療や症状に応じて確認します。治療途中の再感染や伝播を防ぐため、痛みが引いたことだけを再開の目安にしないでください。誰に、どのように伝えるか不安な場合も診療先で相談できます。
不妊への影響は、治療後の状態を個別に確認します
炎症による精子の通り道の障害などが、妊娠しにくさに関わる場合があります。ただし、一度かかった、片側が痛かったという情報だけで無精子症や不妊とは診断できません。まず急性期の治療を優先し、妊娠を希望していることや、以前の精液検査の結果があれば伝えます。
精液検査が必要か、いつ評価するかは、症状の回復や妊活の状況に合わせて決めます。全員が治療後3か月以上待ってから初めて相談するという意味ではありません。精液検査の異常がある場合は再検査や男性不妊専門医の評価を受け、精子を作る機能と通り道の問題などを区別します。
閉塞などが確認された場合には、状態に応じて再建手術や精子採取、生殖補助医療を検討することがあります。実施できる治療や精子凍結の必要性、保険・自費、費用は個別に確認します。採精・妊娠の成功率や手術後の回復時期を全員に保証するものではありません。AUA/ASRM:精液検査と男性不妊の評価
出典と確認日
2026年10月26日に日本泌尿器科学会、CDCの2021年性感染症治療指針の精巣上体炎節、NHSの患者向け情報、AUA/ASRMの男性不妊評価の該当部分を確認しました。海外の処方量や期間、未確認の口コミ・手術成功率を国内の個人の治療へ当てはめていません。医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。