体外受精や顕微授精で女の子が生まれる割合を調べると、治療法別の数字が見つかることがあります。ただし、その研究の出生児に占める女児の割合は、自分が治療を始めて女の子を出産する確率と同じではありません。
数値を読むときは、対象年・施設、どの治療と移植方法か、妊娠や出生に至った人だけの集計かを先に確認します。治療法の選択で希望する性別を保証できるという情報にはしないでください。
単施設の出生児データの例を、分母付きで読みます
日本生殖補助医療学会の2018年の発表抄録は、2011年1月〜2016年9月の単一施設で、単一胚盤胞移植から出産に至り性別を確認できた3,825児を集計しています。
双胎は除外されています。以下の女児割合は、抄録の人数から本稿で計算した値です。日本生殖補助医療学会:媒精方法の違いによる出生児性比への影響について
| 抄録の治療法 | 女児/対象出生児 | 女児割合(計算値) |
|---|---|---|
| 通常の体外受精(cIVF) | 1,210/2,613児 | 46.3% |
| 顕微授精(ICSI) | 596/1,212児 | 49.2% |
これは2018年に発表された過去の単施設の観察結果で、現在の日本全体の値ではありません。通常の体外受精と顕微授精の群間比較はP=0.098で、抄録は統計的な有意差がなかったと報告しています。表の数字の差だけから、一方を選べば女の子になりやすいと結論づけることはできません。
出生児に占める割合と、治療開始からの確率を分けます
この分母は、選定条件を満たして出生し性別が分かった子どもです。治療を始めた全周期、採卵した全周期や、移植した全周期ではありません。妊娠や出生に至らなかった周期を含む、自分の治療開始からの見通しを表す値にはしていません。
出生児の女児割合と、別の資料の妊娠率や出生率をそのまま掛け合わせても、対象・治療法・期間・分母がそろっていなければ本人の確率にはなりません。本稿ではそのような個人予測を計算していません。
治療法の違いと、性別を選べることを混同しません
この抄録は、対象となった出生児の性比を比較したものです。治療法を無作為に割り付けて、本人の希望する性別を選ぶ効果を検証した資料ではありません。培養や精子の特徴等についての説明も、抄録中の仮説と、個人の性別を選べる方法の証明を分けて読みます。
通常の体外受精か顕微授精か、どの胚をいつ移植するかは、受精の状況・病態やこれまでの経過等を踏まえた治療の相談です。この数値だけを根拠に方法を変更したり、胚の見た目から性別を判定・選択できるとしたりしないでください。
気になる数字は、対象と限界も一緒に相談できます
医療者に質問するときは、「この割合は、どの施設・いつの・どの出生児のデータか」「治療法の比較で差が確認されたのか」「自分の治療の選択に関係する資料なのか」を分けて聞けます。本人の治療計画と、研究上の集団の傾向を区別するための確認です。
今回の資料は学会発表の抄録で、全原著論文や最新の全国出生児統計を確認したものではありません。個別の遺伝学的検査の適応や現在の制度・規則も、この性比の表だけで判断できません。妊娠・出生に関する心配や希望は、その理由も含めて担当する医療者へ相談してください。
費用と継続の負担も確認します
治療の保険適用と自己負担は、病名・治療内容・適用条件によって異なります。高額療養費も診療月・年齢・所得区分等で上限が変わり、先進医療の技術料など保険外の費用は対象になりません。
治療施設には保険・自費の内訳を、加入先の健康保険には自分の上限と申請方法を確認してください。協会けんぽ:高額療養費の対象・診療月別の上限
今回の検査・治療や保存の費用、追加処置・薬の費用と保険・自費の内訳を受診先へ確認します。成績の数字だけで、何回分の治療費が必要かを確定することはできません。
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原典と確認日
2026年10月31日に原典の採用節を照合しました。日本生殖補助医療学会2018年の単施設発表の全抄録を読み、出生児数から女児割合を計算しました。学会抄録と全原著、観察された性比と個人予測・性別選択の方法を区別しています。
確認日を全資料の臨床改訂年にしていません。本記事の個別の医師・専門家監修はありません。
免責事項
一般的な情報提供です。本人の状態と検査・治療の選択、受診や継続の判断は担当する医療者へ、費用・給付は受診先と加入先等へ確認してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。