不妊検査の流れは、受ける項目を順番に消化するための固定表ではありません。これまでの経過から必要な評価を選び、結果を合わせて、追加の検査や治療の選択肢を相談するための道筋です。
女性側の検査をすべて終えてから男性側を調べる必要はありません。該当する場合は、双方の評価を並行して相談します。希望や家族構成、これまでの検査・治療に応じて内容は変わります。
初診から結果説明までの道筋
| 確認すること | 診療先で整理する内容 |
|---|---|
| 1.受診の目的と経過を伝える | 妊娠を希望している期間、月経・症状、既往歴、薬、過去の検査と治療を共有する |
| 2.必要な評価を選ぶ | 排卵、生殖器の形・卵管の通り、該当するパートナーの精液等を確認する |
| 3.検査ごとの準備を確認する | 月経との関係、薬・飲食、妊娠の可能性、採取・持参方法等の指示を聞く |
| 4.結果を合わせて説明を受ける | 単位・検査条件・限界、再検査や専門科の診察が必要か確認する |
| 5.次の方針を相談する | 追加検査や治療の目的、選択肢、見直す時期と費用を決める |
受診時期は、年齢だけでなく症状や既往歴も含めて考えます
ASRMの2026年の意見は、既知の不妊要因がなく定期的な避妊しない性交を持つ異性カップルでは、女性が35歳未満で十二か月、35歳以上で六か月を評価開始の目安としています。40歳を超える場合は、より早い評価を考慮します。
月経の異常や、不妊に関わる既往歴等があれば、その期間を待たず相談します。この目安を、誰もが受診まで待つべき期間や治療開始の期限にはしません。ASRM:不妊評価(2026年、結論)
月経周期に合わせる検査と、追加する理由を確認します
検査の目的によって、月経周期のどこで受けるかが異なります。初診日にすべて終わる、必ず一〜二周期で完了すると決めず、本人に必要な検査と結果説明の予約を確認します。日程が合わないときは診療先へ連絡し、自己判断で採血日や薬を変えないでください。
月経が規則的な人すべてに排卵確認の追加検査が必要とは限らず、フーナーテスト、子宮鏡、染色体・免疫等の検査を全員必須とすることもできません。ASRMの意見は、特定の臨床的な理由がない検査を一律に行わない考え方を示しています。具体的な選択は国内の診療先で相談してください。
卵管の検査で所見があっても、一つの結果だけで「必ず体外受精」と決めず、所見の解釈やほかの状態、選択肢の説明を受けます。検査後に必ず妊娠しやすくなるという保証でもありません。
AMHは、正常範囲だけで治療を選ぶ値ではありません
AMHは卵巣に残る卵子の数に関わる目安として、卵巣刺激への反応等を考える材料です。卵子の質や正確な残り個数、自然妊娠の可否を一つの値で示しません。「2〜6なら正常」等の全国共通の判定表で判断せず、年齢やこれまでの経過と合わせて説明を受けます。
精液検査は、項目と単位を分けて読みます
WHOの2021年第六版・表8.3には、避妊しない性交から十二か月以内に自然妊娠に至ったカップルの男性のデータについて、下位5パーセンタイルの値が掲載されています。以下はその数値の例です。
| WHO2021の項目 | 表8.3の下位5%点(妊娠可否の境界ではありません) |
|---|---|
| 精液量 | 1.4 mL |
| 精子濃度 | 1,600万/mL:精液1 mLあたり |
| 総精子数 | 3,900万/射精:1回分の総数 |
| 総運動率と前進運動率 | 総運動率42%、前進運動率30%は別の項目 |
| 正常形態率 | 4% |
この値は、妊娠できる人とできない人を分ける境界ではありません。濃度と総数、総運動率と前進運動率を取り違えず、検査条件やほかの項目と合わせて評価します。WHO:精液検査マニュアル第六版(2021年、表8.3と8.1.3)
日本泌尿器科学会の2024年ガイドラインは、病歴と精液検査から評価し、必要に応じて診察・追加検査を行うこと、結果の変動を踏まえ複数回で判断することを説明しています。
禁欲期間や採取・運搬は施設の指示を聞き、採取できなかった・一部をこぼした等も伝えてください。日本泌尿器科学会:男性不妊症診療ガイドライン(診断の節)
結果説明と費用を、次の行動につなげます
「何が分かり、何はまだ分からないか」「再検査が必要な理由」「結果が次の方針をどう変えるか」を聞きます。異常が見つからなくても、妊娠を保証するものではありません。説明を一度で理解できない場合は、結果の写しや質問を整理する方法を相談できます。
検査一式の全国料金や、AMHは誰でも同じ保険負担額で受けられるという案内にはできません。検査の目的・条件による保険と自費の区分、診察・採取・説明・追加検査を含む金額を確認します。痛みや不安は事前に伝え、鎮痛薬の使用や飲食・服薬は診療先の指示に従ってください。
出典と確認日
2026年10月31日、ASRM2026の評価、日本泌尿器科学会2024の診断、WHO2021の表と注意の節を照合しました。すべての人の検査項目・日程・保険適用を確定するものではありません。
関連記事
関連するテーマの記事です。掲載されている検査や追加処置を、全員に必要とするものではありません。
免責事項
この記事は一般的な情報提供です。個別の診断・治療や検査の選択に代わるものではありません。本人の状態や治療計画に応じて医療機関へ相談してください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。