採卵後に軽い腹痛や張り、少量の出血が起こることはありますが、全員が同じ日数・強さで回復するわけではありません。「採卵数が少ない」「痛みが何点以下」「体重が一定以内」だけで、安全な経過と判定しないでください。症状が強い、悪化する、体調が悪い場合は採卵した施設へ早く連絡しましょう。
強い腹痛、息苦しさ、胸痛、失神などでは緊急の診察が必要です。翌朝や、体重・腹囲・尿量の決まった数字になるまで待たないでください。退院前に、時間外を含む連絡方法を確認しておくことが大切です。
日数や採卵数より、症状の変化を伝える
採卵では腟の壁を通して卵巣へ針を進めるため、痛みや出血が生じる場合があります。Kingston and Richmond NHSの患者情報は、採卵後に生理痛のような痛みや軽い出血が数日みられることがあるとする一方、鋭い痛み・失神・発熱、強い体調不良などはすぐに連絡するよう案内しています。
これは「全員3〜5日で治る」「7日以内なら受診不要」という境界ではありません。採卵数ごとに回復日と痛みの点数を決めたり、少量出血を色だけで正常に分類したりせず、どのように変わっているかを伝えてください。
早く連絡したい症状と、緊急の状態
| 症状 | 連絡・受診の考え方 |
|---|---|
| 痛みが強い・増える・急に出た | 採卵した施設へ速やかに連絡。激しい腹痛や失神、強い体調不良は緊急の診察を求める。 |
| 張り・吐き気・体重増加・尿が減る | OHSS等の評価が必要になる。決まったkg・cm・mLを超えるまで待たない。 |
| 息苦しさ・胸痛・脚の強い痛みや腫れ | 血栓等も考える必要があり、緊急の診察を受ける。 |
| 発熱・出血が増える・続く | 日数や体温の固定ラインまで待たず、症状と採卵日を伝える。 |
| 水分が取れない・嘔吐が続く | 飲水だけで対処しようとせず、施設へ早く連絡する。 |
動けない、意識が遠のく、呼吸の異常がある場合は119へ連絡します。いつもの施設につながらないまま、重い症状を待ち続けないでください。
OHSSだけでなく、ほかの原因も診察で確認する
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、卵巣刺激の薬に過剰に反応して起こる合併症です。腹部の張り・痛み、吐き気、急な体重増加、尿量減少、呼吸の症状などに注意が必要で、薬の使用が終わった後にも起こることがあります。
一方、採卵後の痛みには出血、感染、卵巣の捻転など別の原因も考えられます。RCOGの2026年指針も、強い腹痛や発熱ではほかの病気を区別する必要があるとしています。自宅でOHSSの重症度を決めたり、卵巣の大きさだけで入院が必要か判断したりするものではありません。
卵子凍結で胚移植をしない場合も、採卵や卵巣刺激後の合併症への注意がなくなるわけではありません。採卵数やAMHがある値より低いことを、受診しなくてよい理由にしないでください。
薬・水分・活動は、自分の退院時指示を確認する
鎮痛薬やほかの処方薬は、施設から受けた指示に従って使用します。痛みが強いときに市販薬を追加したり、量を増やしたりして診察を遅らせないでください。OHSSの有無などによって薬の選び方も変わるため、何を使ってよいかを確認しましょう。
全員が1日1.5〜2Lを飲めば腹水やOHSSを防げる、という対応ではありません。飲水や記録の指示がある場合は、それに従います。飲めない、吐く、尿が減る、張りが強まるときは、水分を無理に増やすだけで対処せず相談してください。
運動・性交・入浴・仕事の再開は、卵巣の状態、痛み・出血、麻酔や鎮静の影響と施設の案内で確認します。「3日目は歩行、7日目は通常生活」と全員共通の予定を作らないでください。麻酔や鎮静を受けた日は、帰宅の付き添い・運転等についても退院時の指示が必要です。
記録は、受診を遅らせる採点ではなく説明のために使う
採卵日、痛む場所と強さ・変化、出血、飲食・尿の状況、使った薬を伝えられるようにします。体重・腹囲・尿量を測るよう指示された場合は、方法と、どの変化で連絡するかも確認してください。
次の月経や、再度採卵する時期も、症状・検査と治療方針に応じて確認します。痛みが続くのを「自然な黄体期の変化」と決めたり、月経を必ず1〜2回挟めば再開可能と考えたりせず、次の診察で何を確かめるかを聞きましょう。
確認した資料
2026年10月24日に確認。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。