OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は、卵巣刺激への反応が強くなり、卵巣の腫れや、おなかなどに体液がたまる変化を起こす状態です。軽い場合から重症の場合まであり、腹部の張りだけで重症度を判断できません。症状があれば治療施設へ連絡し、必要な診察を受けてください。
症状が出たら、施設へ早めに連絡します
| 気をつける症状 | 相談の考え方 |
|---|---|
| 腹痛・強い張り、吐き気や嘔吐 | 採卵後によくあることと決めず、施設へ連絡。悪化する・続く場合も伝える |
| 飲めない、尿が少ない・濃い、急な体重増加 | 脱水や体液の変化の確認が必要。一定の体重差になるまで待たない |
| 息苦しさ、胸痛、片脚の腫れ・痛みなど | 速やかに医療機関へ。突然の呼吸困難や強い胸痛など緊急の状態は119へ |
| 急な強い腹痛、失神、強い不調など | ほかの合併症も含め救急へ相談。自己診断で薬や水分だけで対応しない |
NHSは、IVF後の腹痛・張り・嘔吐などは早めの相談、呼吸困難や胸痛、尿が少ないなどの状態は緊急の評価が必要と案内しています。症状が強い場合は、自分で車を運転せず助けを求めてください。NHS:IVFの合併症と受診の目安
なぜ、卵巣だけでなく全身の状態を確認するのか
OHSSでは、血管の中の体液がおなかなどへ移動し、血液の濃縮、脱水、腎臓や呼吸への影響、血栓などにつながる場合があります。おなかに水がたまっているのに、血管の中では体液が不足するなど、見た目だけでは分からない変化があります。
排卵誘発やIVFの後に起こり、妊娠した場合に遅れて発症したり、症状が長引く場合もあります。採卵が終わった日や妊娠判定の日をもって、注意が不要になるわけではありません。ASRM:OHSSの発症と予防に関する指針
診断は、症状・診察・検査を組み合わせます
治療内容、薬の使用日、採卵・移植・妊娠の状況を伝えます。体重、腹囲、尿の状態や呼吸・血圧などを確認し、必要に応じて超音波で卵巣や腹水、採血で血液の濃縮や腎機能などを評価します。
自宅での記録は役立ちますが、体重や採卵数の一つの数値だけで、軽症・重症を自己判定するものではありません。出血、感染や異所性妊娠など、別の原因の確認が必要な場合もあります。
外来か入院かは、症状と通院できる条件から判断
軽い場合には外来で定期的に経過を確認することがあります。一方、飲水を保てない、痛みや嘔吐が強い、状態が悪化する、十分に通院・見守りができない場合などは入院を検討します。症状を和らげ、脱水や血栓などの合併症を防ぐための管理を行います。
RCOGの2026年の公開概要も、多くは支持療法と監視が必要で、重い場合は入院が必要と説明しています。「軽症なら安静と大量の水だけで必ず回復」とは案内できません。RCOG2026:OHSS管理指針の公開概要
水分・活動・薬は、個別の指示を確認します
どのくらい何を飲むか、記録する量、動いてよい範囲は担当医へ確認します。飲めない・吐く・尿が少ない場合は、水を大量に飲んで家で粘らず相談してください。自己判断で寝たきりにすることも、激しい運動をすることも避け、血栓と卵巣への負担に配慮した指示を受けます。
痛み止めや予防・治療の薬も、使えるものを処方元に確認します。市販薬や利尿薬、サプリメントを自己追加しません。夜間や休日の連絡先、受診を急ぐ症状、次の確認予定を聞いてください。RCOG:OHSSの症状・診察・生活の注意
出典と確認日
2026年10月27日にNHS、ASRMの採用節、RCOG2026の公開概要と2016年公開の患者情報を確認しました。RCOG2026指針の詳細本文を確認したという意味ではありません。
旧患者資料の薬量・期間や集団の頻度を一律に採用せず、外来・入院と個別の管理を分けています。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。