メトホルミンは糖尿病にも使う薬ですが、メトグルコには、条件を満たすPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の排卵誘発・生殖補助医療での調節卵巣刺激の国内適応があります。PCOSなら全員が使う薬ではなく、糖尿病治療と同じ用量・期間で飲み続けるものでもありません。
服用中の体調不良は、先に確認してください
| 状況 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 発熱、下痢、嘔吐、食事が十分に取れない・脱水が疑われる | 患者向けガイドは、いったん服用を中止し医師へ相談するよう案内している |
| 吐き気・腹痛などに加え、強いだるさ、筋肉痛、呼吸が苦しいなど | 乳酸アシドーシスなどの可能性もあるため、ただちに受診する |
| 妊娠の可能性・妊娠が分かった | 国内では投与しない対象。すぐ処方元へ連絡し、服用状況と中止の予定を確認する |
| 下腹部の痛み・張り、急な体重増加など | 併用する不妊治療でOHSSが起こることもあるため、ただちに医師へ相談する |
切迫した呼吸の異常や意識の低下などがある場合は救急へ相談してください。吐き気や下痢を「飲み始めだから」と一律に待つのではなく、食事・水分が取れるか、症状の強さを伝えます。PMDA:メトグルコの患者向医薬品ガイド
国内適応は、条件と治療目的を分けます
メトグルコの電子添文では、PCOSの排卵誘発または生殖補助医療での調節卵巣刺激に用いる場合、肥満・耐糖能異常・インスリン抵抗性のいずれかがある患者に限るとしています。糖尿病を合併する場合は、その治療を優先します。
排卵誘発では、ゴナドトロピン製剤を除く排卵誘発薬で十分な効果が得られない場合に併用を考慮する位置づけです。BMIやHOMA-IRの一つの数値だけで処方の優先度を自己判定しません。処方される製品と適応、併用薬を確認してください。PMDA:メトグルコの現行医薬品情報
PCOSでは1日1,500mgを超えない用量です
国内のPCOS適応では、ほかの排卵誘発薬または卵巣刺激薬との併用で使い、忍容性を確認しながら増量し、1日量は1,500mgを超えない範囲です。糖尿病の用量や海外の治療例を見て、2,000mgなどへ自分で増やしてはいけません。
開始量・分け方・増量の時期は処方元の指示に従います。飲み忘れたからと2回分をまとめて飲まず、患者向けガイドと薬剤師の説明を確認してください。腎臓・肝臓の状態やほかの薬によっても、安全に使える条件が変わります。
排卵または採卵までに中止する計画を確認します
国内の用法では、排卵誘発では排卵までに、調節卵巣刺激では採卵までに中止します。妊婦または妊娠している可能性のある女性は投与しない対象です。流産予防を期待して、妊娠後もそのまま継続する説明ではありません。
投与前・次の周期の前の妊娠確認や、必要な記録、いつ中止するかを治療チームと共有します。妊娠を知らずに服用した場合も、記事だけで胎児への影響を決めつけず、服用時期・量を伝えて説明を受けてください。
造影検査や手術、ほかの薬も申告します
ヨード造影剤を使う検査では、一時的な中止と再開時期の管理が必要です。子宮卵管造影などを予定している場合も、メトホルミンを飲んでいることを検査先へ伝えてください。自己判断で検査後すぐ再開せず、担当医の指示を確認します。
大量の飲酒、脱水、腎機能などは乳酸アシドーシスのリスクに関係します。「ビール何杯までなら安全」と一律に決めません。市販薬やサプリメントも含め、服薬一覧を医師・薬剤師に見せてください。
保険と、期待する効果を聞きます
厚生労働省は2022年に、メトグルコの追加適応・用法の保険上の取扱いと承認を通知しています。「PCOS使用はすべて適応外」「別の病名を付ければよい」という説明ではありません。実際の製品・治療目的・条件に沿った扱いを処方元で確認します。厚生労働省:追加適応に関する保険上の取扱い
月経・排卵の変化と、妊娠・出産の成立は別の結果です。全員に同じ周期数で効くと考えず、何を目標に、いつ効果と副作用を見直すかを相談してください。食事や体重の話も、自分を責めたり無理に減量したりするためではなく、持続できる支援として考えます。
出典と確認日
2026年10月27日にPMDAの現行メトグルコ電子添文(2023年11月改訂)・患者向けガイドの適応、用量、中止、重大な副作用の採用部分と、厚生労働省通知を確認しました。糖尿病とPCOS、国内と海外の条件を区別しています。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。