全胚凍結(Freeze All)は、採卵した周期に新鮮胚移植を行わず、凍結保存した胚を後の周期に移植する計画です。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを下げる目的などで選びます。「全員で妊娠率が上がる」「凍結すればOHSSがゼロになる」という意味ではありません。
提案を受けたら確認したいこと
| 確認点 | 相談する内容 |
|---|---|
| 全胚凍結の理由 | OHSSリスクなど、自分の状態で新鮮胚移植を見送る目的 |
| 期待する効果 | 合併症予防と、妊娠・出生の見通しを分けて確認 |
| 移植の予定 | 再評価の時期、自然周期かホルモン補充か、薬と通院 |
| 費用と保管 | 凍結個数、保管期間、融解・移植、更新や連絡方法の条件 |
OHSS予防のための選択と、全員への追加処置は別です
ASRMの指針は、卵巣の反応が高い、血中エストラジオールが高いなどOHSSのリスクがある場合、凍結して後に移植する方法を検討するよう勧めています。中等症・重症OHSSが減るという研究に基づく推奨であり、妊娠・出生を保証するものではありません。ASRM:OHSS予防に関する指針
AMHや採卵数の一つの数字だけで自分の方針を決めず、刺激の方法や治療への反応、これまでの経過と合わせて説明を受けます。薬の量や移植の予定を自己判断で変えないでください。
出生の可能性が、全員で高まると断定しません
英国HFEAは、全胚凍結によるOHSSリスク低下と、出生の可能性を高める効果を別に評価しています。多くの患者で出生の可能性が高まるかは、研究結果が一致せず明確ではないとしています。HFEA:全胚凍結の効果と安全性
ESHRE2023勧告も、明確な理由なく全員に全胚凍結を行う方法を通常診療で一律に勧めていません。OHSS予防など医学的な理由がある場合と区別します。全胚凍結をしない選択との比較は、自分のリスクを踏まえて相談してください。ESHRE:追加検査・治療に関する2023年勧告
凍結・融解と、その後の妊娠のリスクも確認します
HFEAは、凍結した胚がすべて融解後も生存するとは限らないことや、凍結胚移植に関する妊娠高血圧などのリスクも考える必要を説明しています。妊娠率の一つの数字だけで、治療全体の利益と負担を比べないでください。
採卵後の腹部の張りや痛み、嘔吐、尿が少ない、息苦しいなどの症状は通院先へ連絡します。RCOGはOHSSの症状があるときに治療施設へ相談する重要性を示しています。全胚凍結後でも、体調の変化を待ち続けないでください。RCOG:OHSSの症状と対応
移植日程と費用・保管条件を分けて聞きます
いつ移植できるか、どのように周期を調整するかは、回復や治療計画に応じて確認します。全員が採卵翌月に開始できる、一律に同じ日から薬を使うという日程にはしません。
凍結処置、保存・更新、融解、移植、薬・検査の費用を分け、保険の条件と自己負担を確認します。胚一個あたり、一定個数の区分、一回・一年など、料金の単位もそろえて比べてください。
保存を続ける条件、更新期限と連絡先、今後使わなくなった場合の説明も受けます。施設との同意内容を確認し、「法的期限は全施設三〜五年」とは扱いません。
出典と確認日
2026年10月27日に、保存ASRMの2024年掲載指針、ESHRE2023勧告、RCOGの患者向けOHSS情報とHFEAの採用節を確認しました。ASRMのURLの年は2023年です。国内の固定料金・年齢別成功率や個人の効果を独自に検証したものではなく、本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。