胚移植を繰り返しても妊娠に至らない場合、反復する着床不成功(RIF)について相談することがあります。ただし、全員に共通する一つの診断回数が確立しているわけではありません。移植した胚や本人の年齢、これまでの経過を含めて評価し、子宮内膜だけを原因と決めつけないことが大切です。
次の診察で、一緒に確認したいこと
| 確認する対象 | 主な相談事項 |
|---|---|
| これまでの胚移植 | 移植した胚、回数、妊娠反応やその後の経過 |
| 子宮の評価 | 内部の形や、追加評価が必要な所見の有無 |
| 薬と移植の経過 | 使用した薬、時期、移植で難しかったこと |
| 追加の検査・治療 | 本人に必要な理由、結果で変わること、利益と負担 |
着床しなかったことと、妊娠後の流産を分けて伝えます
米国ASRMの2026年委員会意見は、反復着床不成功の定義が統一されていないと説明しています。妊娠反応が一度も出ていない経過と、反応が出た後に妊娠が終わった経過では、検討する問題が異なる場合があります。
「何回失敗した」という数だけでなく、判定の採血、超音波、流産の経過などを医師と振り返ります。症状の有無や自己検査の線だけで、着床の有無や原因を判断するものではありません。ASRM:反復する着床不成功の定義と評価(2026)
まず治療記録を見直し、必要な評価を絞ります
同委員会意見は、詳しい病歴と体外受精の周期を見直したうえで、必要な検査を検討する方針を示しています。子宮内の形の評価や、状況によって慢性子宮内膜炎の評価などを相談することがあります。
子宮の所見が見つかったとしても、それだけで今回妊娠しなかった原因が確定するとは限りません。「今回の結果で次の治療の何が変わるか」「ほかに確認する要因はないか」を聞いてください。本人やパートナーのせいと、根拠なく決めるものではありません。
受容能やフローラの検査は、効果の根拠を確認します
ERAなどの子宮内膜受容能検査は、内膜の遺伝子発現を調べて移植時期の調整に使うものですが、ASRMはRIFの人に日常的に行うことを支持する根拠は不十分としています。子宮内の微生物の構成を調べるフローラ検査とは別です。
英国HFEAは、微生物の検査後に抗菌薬やプロバイオティクスなどを用いる介入について、RIFの人で出産の可能性を高めるかを判断する十分な質の根拠がないと評価しています。検査や数値が増えることを、そのまま治療成績の改善と考えないでください。HFEA:微生物検査後の介入と根拠の限界
内膜炎や免疫に関わる治療も、適応を確認します
慢性子宮内膜炎は、内膜組織やCD138染色などで評価されることがありますが、判定基準は統一されていません。抗菌薬を検討する場合も、診断の根拠と、治療後の評価を確認します。
ASRMはRIFの診療で、免疫に関わる一部の追加治療などについて、出産に至る率を改善する根拠が不足しているとしています。「免疫の検査が異常だから、治療を追加すれば必ず妊娠する」とは判断できません。別の病気で必要な治療もあるため、処方薬は自己中止せず、今回どの目的で使うのかを医師へ聞いてください。
次の治療を、負担も含めて選びます
追加の提案があったら、本人と同じ状況の人で何が分かっているか、何がまだ不明か、検査しない場合の選択肢を確認します。費用に薬・再検査・結果説明を含むか、予定がどう変わるかも聞きます。
治療が続くことによる不安や疲れも診療で伝えてください。次の治療の時期や、いったん休む場合の計画を含め、本人とパートナーの希望を共有して相談できます。
出典と確認日
2026年10月28日、ASRMの2026年委員会意見、HFEAの微生物検査後の介入評価(2026年9月公開)の関連節を確認しました。検査や治療を全員に勧めるものではなく、個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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