胎便吸引症候群(MAS)は、赤ちゃんが胎便を含んだ羊水を肺へ吸い込むことに関連して、出生時などに呼吸の問題が起きる病気です。羊水に胎便が混じっていることと、赤ちゃんにMASが起きていることは同じではありません。医療チームが呼吸や全身の状態を確認し、必要な対応を行います。
家族が確認したい場面と対応
| 場面 | 確認・対応すること |
|---|---|
| 破水した水が緑・茶色に見える | 色や流れた時刻などを産科へ伝え、受診の指示を聞く |
| 出生直後の呼吸が弱い | 医療チームが呼吸・心拍などを評価し、必要な蘇生を行う |
| 治療・観察が必要と言われた | 呼吸への影響、必要な補助、他の病気の評価を聞く |
| 経過の説明を受ける | 現在改善している点、まだ心配な点、次の確認を聞く |
| 退院を相談する | 呼吸・哺乳などの確認、診察予定、変化があった際の連絡先を聞く |
胎便を含む羊水と、呼吸の病気を分けて考えます
胎便は赤ちゃんの最初の便です。出生前に羊水へ出る場合があり、その羊水を吸い込むと、気道がふさがる、肺に炎症が起きるなどして呼吸に影響することがあります。
ただし、羊水に胎便があった赤ちゃんの全員がMASになるわけではありません。羊水の色だけで、重症度や将来の経過を判断しないでください。MedlinePlus:胎便吸引症候群の原因と症状
呼吸の状態を評価し、必要な補助を行います
医療チームは、赤ちゃんの呼吸・心拍・酸素の状態などを確認し、必要に応じて血液検査や画像などで評価します。他の原因で呼吸が苦しくなる場合もあるため、どのように診断したかを説明してもらいましょう。
状態によって、呼吸や酸素の補助、新生児集中治療室での管理などが必要になることがあります。すべての赤ちゃんが同じ治療を受けるという意味ではありません。呼吸が苦しい・止まる、顔色が青い、反応が乏しいなどの場合は、医療機関内なら直ちにスタッフへ伝え、自宅などでは速やかに救急対応を求めてください。
胎便があれば全員に吸引をする、という対応ではありません
AHA・AAPの2025年新生児蘇生指針は、羊水に胎便があるかどうかにかかわらず、全員へ一律に口・鼻・気管などの吸引を行うことを勧めていません。呼吸や気道の状態を評価し、換気中に閉塞がある場合などに医療者が必要性を判断する考え方です。
これは、必要な吸引や蘇生をしないという意味ではありません。家族が自分で吸引を試みたり、「吸引をしなかったから治療不足」と決めつけたりせず、赤ちゃんの状態と行った処置について説明を受けてください。AHA・AAP:2025年新生児蘇生、気道管理の採用節
回復までの期間や予後は、本人の経過で確認します
経過は呼吸の重症度や他の合併症などによって異なります。「何日で必ず治る」「後遺症は絶対にない」といった一律の説明に置き換えないでください。現在の治療目標と、どの状態になれば補助を減らせるかを聞きます。
- 呼吸や酸素の状態は、前回の説明からどう変わったか
- 肺や循環、感染などについて、何を確認しているか
- 授乳・栄養や抱っこなど、家族が関われることは何か
- 退院へ向けた確認事項と、その後の診察や相談先
心配なことや説明が難しく感じた点は、繰り返し質問して構いません。赤ちゃんの治療とともに、家族の不安や産後の体調についても相談してください。
治療と費用の確認
治療の保険適用と自己負担は、病名・治療内容・適用条件によって異なります。高額療養費も診療月・年齢・所得区分等で上限が変わり、先進医療の技術料など保険外の費用は対象になりません。
治療施設には保険・自費の内訳を、加入先の健康保険には自分の上限と申請方法を確認してください。協会けんぽ:高額療養費の対象・診療月別の上限
参考資料と確認日
- MedlinePlus:Meconium aspiration syndrome(2025年10月3日レビュー、原因・評価・治療の採用節)
- AHA・AAP:Neonatal Resuscitation(2025年、9.4気道管理の採用節)
2026年10月30日に採用節を照合しました。家族が蘇生処置を実施するための手順書ではなく、本記事の個別の医師監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。