子宮内膜受容能検査と子宮内のフローラ検査は、同じ検査ではありません。前者は内膜の遺伝子の働き方を調べて移植時期の調整に使うもの、後者は微生物の構成などを調べるものです。「子宮内膜の検査」という呼び方だけで判断せず、正式名称と何を知るための検査かを確認します。
検査の名前より、調べる対象を確認します
| 検査・評価 | 主に調べること | 確認したい限界 |
|---|---|---|
| 子宮内膜受容能検査(ERAなど) | 内膜の遺伝子発現をもとに、移植時期を検討する | 結果に合わせた移植で、出産に至る率が改善するか |
| 子宮内フローラ・微生物の検査 | 微生物の種類や構成など | 結果を変える介入が妊娠・出産を改善するか |
| 慢性子宮内膜炎の評価 | 内膜組織の形質細胞・CD138など | 診断基準と、治療が必要と判断した理由 |
同時に採取や検査が提案される場合でも、答えようとしている問いは異なります。細菌の情報だけで内膜の受容能や炎症のすべてが分かる、というものではありません。ASRM:受容能検査、微生物、慢性子宮内膜炎の評価
受容能検査の結果と、出産への効果を分けます
受容能検査は、採取した内膜の遺伝子発現を調べ、内膜が胚を受け入れやすいと考えられる時期を評価します。その情報をもとに、後の周期の移植時期を調整することがあります。ただし、時期を分類できることと、妊娠・出産に至る率を改善できることは同じではありません。
ASRMの2026年委員会意見は、反復する着床不成功の人に受容能検査を日常的に行うことを支持する根拠は不十分としています。英国HFEAも、大部分の不妊治療患者の出産に至る可能性を高める目的では慎重な評価を示し、検査によって治療効果が下がる可能性を含め説明しています。
海外の評価が本人の結果を予測するわけではありませんが、利益と不利益を確認する材料になります。HFEA:子宮内膜受容能検査の効果とリスク
フローラの割合を変えれば妊娠できる、とは言えません
子宮内の微生物の構成と着床・妊娠の関連を調べる研究はあります。しかし、関連があることだけで、全員を検査して抗菌薬やサプリメントなどで結果を変えることが有効と確かめられたわけではありません。ASRMは、反復する着床不成功で微生物の検査・治療を行うことが適切か、追加の研究が必要としています。
検査で示された割合だけで病気と決めたり、商品を使えば妊娠率が必ず上がると考えたりしないでください。何を異常とするか、本人の治療をどう変えるか、その対応の根拠と負担を医師に聞きます。
内膜炎の検査・治療も、別に説明を受けます
慢性子宮内膜炎は、内膜組織の形質細胞やCD138染色などで評価されることがありますが、診断に使う細胞数などの基準は統一されていません。フローラ検査と同じ診断だと受け止めず、今回どの所見から何を判断したのかを確認してください。抗菌薬は自己判断で使わず、処方の目的と副作用への対応を聞きます。
採取の負担、次の移植予定、総費用を確認します
HFEAは、受容能検査に必要な内膜生検で、けいれんのような痛み、出血、感染などが起こり得ると説明しています。採取方法や検体不足による再検査の可能性、検査周期と移植周期の予定は施設に確認します。検査費だけでなく、診察・薬・再採取・結果説明などを含む総額、保険や先進医療の条件も個別に聞いてください。
「受ける場合、どの判断が変わるか」「受けない場合、ほかにどんな選択肢があるか」「本人と同じ状況の人で、出産への利益が示されているか」を相談して選びます。
出典と確認日
2026年10月28日、ASRMの2026年委員会意見とHFEAの受容能検査の関連節を確認しました。個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。