
「ERA・EMMA・ALICEなどいろいろあって何が違うのかわからない」「自分にはどの検査が必要?」——着床不全の原因精査で選択肢となる子宮内膜受容能・環境検査の種類・目的・費用を整理して解説します。(情報取得日:2026年5月2日)
この記事の要点
- 子宮内膜に関連する主要検査:ERA(着床タイミング)・EMMA(細菌叢)・ALICE(感染)・BCL6・CD138染色など
- 各検査は「調べること」が異なるため、目的・症状に応じて組み合わせて実施する
- トリオ検査(ERA+EMMA+ALICE)は費用15〜25万円が目安で、全て自費
- どの検査を受けるべきかは、胚の質・移植回数・既往歴を踏まえて主治医と決める
主要検査の種類と概要
検査名 | 調べること | 方法 | 費用目安(自費) |
|---|---|---|---|
ERA | 着床の窓(WOI)の時期 | 子宮内膜生検+遺伝子解析 | 8〜12万円 |
EMMA | 子宮内膜マイクロバイオーム | 子宮内膜生検+メタゲノム解析 | 5〜8万円 |
ALICE | 慢性子宮内膜炎(感染菌検出) | 子宮内膜生検+遺伝子解析 | 5〜8万円 |
CD138染色 | 慢性子宮内膜炎(形態学的診断) | 子宮内膜生検+免疫組織染色 | 1〜3万円 |
BCL6検査 | 子宮内膜症関連着床障害 | 子宮内膜生検+BCL6タンパク測定 | 3〜6万円 |
子宮鏡検査 | ポリープ・癒着・形態異常 | 直視下内視鏡 | 1〜5万円(保険適用あり) |
各検査の詳細
ERA(Endometrial Receptivity Analysis)は着床の窓のタイミングを248遺伝子の発現パターンで特定します。反復着床不全患者の25〜40%にWOIのずれが検出されるとされています。着床のタイミング最適化(個別化胚移植)を目的とした検査です。
EMMA(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)は子宮内膜のマイクロバイオーム(細菌叢)を網羅的に解析します。健康な内膜はLactobacillus優勢(90%以上)が理想的とされています。異常があれば、プロバイオティクス投与で改善を図ります。
ALICE(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)は慢性子宮内膜炎(CE)の原因となる病原菌を遺伝子レベルで検出します。EMMARと同一検体で実施でき、陽性の場合は抗生物質治療が必要です。
- CD138染色:形質細胞(CD138+)の存在でCEを形態学的に診断。ALICEより費用が安いが検出率が低い場合がある
- BCL6検査:子宮内膜症がなくても着床障害と関連するBCL6タンパクの異常発現を確認。原因不明の反復着床不全に有用な場合がある
- 子宮鏡検査:形態的な子宮内問題(ポリープ・筋腫・癒着・中隔)を直視下で確認。他の検査と組み合わせて行うことが多い
検査の選び方と組み合わせ
どの検査を受けるべきかは、患者の背景・症状・目的によって異なります。
- 反復着床不全(RIF)で胚の質が良好:ERA(+EMMA+ALICE)トリオが候補
- 不正出血・膿性帯下・月経不順がある:ALICE・CD138・子宮鏡を先行
- 子宮内膜症の既往や診断あり:BCL6検査を含む評価
- 子宮内に器質的異常が疑われる:子宮鏡を先行
- コスト重視・初めての着床不全精査:子宮鏡+CD138染色から始める施設も多い
費用の目安
- ERA単独:8〜12万円
- EMMA単独:5〜8万円
- ALICE単独:5〜8万円
- ERA+EMMA+ALICE(トリオ):15〜25万円
- CD138:1〜3万円
- BCL6:3〜6万円
- 子宮鏡検査:保険適用で5,000〜1万5,000円程度(3割)、自費は1〜5万円
受診・相談時のポイント
- 良質な胚での移植回数(2〜3回以上失敗)が検査受検の目安
- 全検査を一度に実施する必要はなく、段階的・優先順位をつけて進めることも可能
- 採取は同一検体で複数検査を行えるため、生検は1回で済むことが多い
- 検査前は感染症スクリーニング・妊娠の否定が必要
- 結果が出るまで2〜4週間かかる(施設・ラボにより異なる)
実施施設の選び方
- ERA・EMMA・ALICEのトリオ検査に対応しているか
- BCL6・CD138など複数の内膜評価ができる体制があるか
- 子宮鏡検査を常時実施できる施設か(入院・麻酔の要否も確認)
- 検査後の治療(個別化移植・抗生物質・プロバイオティクス投与)をワンストップで提供できるか
- 日本生殖医学会・日本産科婦人科学会の認定施設であることを確認する
よくある質問
Q1. ERAとALICEは同じ日に受けられますか?
はい。EMMA・ALICEはERAと同一の子宮内膜生検検体を使って解析できるため、採取は1回で済みます。
Q2. 全部の検査を受ける必要がありますか?
必ずしも全部受ける必要はありません。費用や移植歴・症状を踏まえて、主治医と優先順位を決めて進めてください。
Q3. 検査で異常なしだったのに着床しない場合はどうすれば?
子宮内膜以外の要因(胚の染色体異常・免疫的着床障害・血液凝固異常など)も着床不全の原因になります。PGT-A・免疫検査・血液凝固検査なども検討対象です。
Q4. CD138染色とALICEはどちらが精度が高いですか?
ALICEはPCRベースで原因菌を直接検出するため、感度がCD138染色より高いとされています。費用はALICEの方が高くなります。
Q5. 検査前に避けるべきことはありますか?
生検前の膣洗浄・性交・タンポン使用は避けてください。月経中や感染症がある場合は採取が困難なため、主治医に相談してください。
まとめ
子宮内膜受容能・内膜環境に関する検査は、ERA・EMMA・ALICE・CD138・BCL6・子宮鏡など目的別に複数あります。反復着床不全の原因精査において、これらを組み合わせて評価することで、より的確な治療方針を立てることができます。費用は相当かかりますが、無駄な移植を繰り返すコストとリスクを考えると、早期に実施する意義があります。主治医と相談し、自分の状況に合った検査計画を立ててください。
【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。実際の治療については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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