
(情報取得日:2026-05-02)慢性子宮内膜炎は、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、不妊・不育症の原因となる炎症性疾患です。この記事では、検査の流れから治療方針、費用の目安まで、受診前に知っておくべき情報を医学的根拠に基づいて解説します。
この記事のポイント
- 慢性子宮内膜炎は子宮内膜生検(CD138免疫染色)またはALICE検査で診断される
- 第一選択はドキシサイクリンなどの抗菌薬療法で、治癒率は約80〜90%とされる
- 反復着床不全・不育症の方は特に検査を検討する価値がある
慢性子宮内膜炎とは
慢性子宮内膜炎(CE: Chronic Endometritis)は、子宮内膜に細菌感染による慢性的な炎症が持続する状態です。月経痛や不正出血が軽度に生じることがありますが、約50%の患者は無症状で、不妊検査の過程で初めて発見されるケースが多くあります。
項目 | 内容 |
|---|---|
有病率(反復着床不全患者) | 約30〜60% |
主な原因菌 | Enterococcus faecalis、大腸菌、Streptococcus属など |
主な症状 | 無症状が多い、軽度の不正出血・帯下増加 |
不妊への影響 | 着床障害・反復流産との関連が報告されている |
診療内容の特徴
慢性子宮内膜炎の診断には子宮内膜組織の採取が必要です。外来で行える低侵襲な検査法が中心となります。
- 子宮内膜生検(CD138免疫染色):子宮内膜組織を採取し、形質細胞(CD138陽性細胞)の存在を確認する標準的診断法
- ALICE検査:子宮内膜の細菌叢をNGS(次世代シーケンサー)で解析する遺伝子検査。培養困難な菌も検出できる
- 子宮鏡検査:子宮内膜のポリープ様変化・点状発赤を直視下で確認する補助的検査
治療は検出された菌に応じた抗菌薬の経口投与が基本です。治療後の再検査で治癒を確認してから不妊治療を再開するのが一般的な流れです。
検査結果の傾向と患者さんの体験
反復着床不全で慢性子宮内膜炎の検査を受けた患者さんからは、「無症状だったのに陽性だった」「抗菌薬治療後の胚移植で妊娠できた」という声が多く聞かれます。一方で、「治療後も複数回の胚移植が必要だった」というケースもあり、原因が慢性子宮内膜炎のみとは限りません。検査結果は主治医と十分に相談したうえで治療方針を決めることが重要です。
費用の目安
保険適用の有無や施設によって費用は異なります。下記は目安です。
検査・治療 | 費用の目安 | 保険適用 |
|---|---|---|
子宮内膜生検(CD138染色) | 1万〜3万円程度 | 施設により異なる |
ALICE検査 | 4万〜6万円程度 | 自費(2024年時点) |
子宮鏡検査 | 1万〜2万円程度 | 保険適用あり |
抗菌薬治療(ドキシサイクリン等) | 数千円〜1万円程度 | 保険適用あり |
受診時のポイント
- 2回以上の着床不全・流産を経験している場合は、主治医に慢性子宮内膜炎の検査を相談する
- 検査前に子宮内膜を傷つけないよう、当月の胚移植周期中は検査タイミングを医師と調整する
- ALICE検査とCD138染色は一致しないことがあるため、両方の結果を総合的に判断する
- 治療後は再検査で陰性を確認してから次の移植を検討する
アクセス情報
慢性子宮内膜炎の検査・治療は、婦人科・生殖医療専門クリニックで対応しています。受診の際は「反復着床不全の精査を希望」と伝えると、適切な検査の案内を受けやすくなります。お住まいの地域の生殖医療専門施設(日本生殖医学会認定施設)を受診することをおすすめします。
よくある質問
Q. 慢性子宮内膜炎は性感染症ですか?
A. 必ずしも性感染症ではありません。腸内細菌や皮膚常在菌が原因となることも多く、性行為とは無関係に発症します。
Q. 治療せずに自然に治りますか?
A. 慢性子宮内膜炎は自然治癒が難しいとされています。不妊治療中の場合は早期に抗菌薬治療を行うことが推奨されます。
Q. 抗菌薬治療後の妊娠率は上がりますか?
A. 治療により子宮内環境が改善し、着床率・妊娠率が向上するという報告があります。ただし個人差があり、すべての方に効果があるわけではありません。
Q. ALICE検査とCD138染色はどちらが確実ですか?
A. 両検査は異なる原理で診断するため、どちらが「上」とは言えません。施設によって実施できる検査が異なるため、主治医に相談してください。
Q. 子宮内膜生検は痛いですか?
A. 子宮内に細い器具を挿入するため、月経痛に似た軽度の痛みを感じることがあります。痛みが強い場合は事前に医師へ相談してください。
まとめ
慢性子宮内膜炎は無症状でも着床・妊娠に影響する可能性があり、反復着床不全や不育症を経験している方は検査の検討価値があります。CD138染色またはALICE検査で診断し、適切な抗菌薬治療を行うことで子宮内環境の改善が期待できます。治療後は再検査で陰性を確認してから次のステップへ進むことが重要です。気になる症状や検査結果について、必ず担当医と十分に相談してから治療方針を決めてください。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。個々の症状や治療方針については、必ず担当医師にご相談ください。掲載情報は2026年5月時点のものであり、最新の医療情報と異なる場合があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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