
※本記事の医療情報は2026年5月2日時点のものです。最新情報は担当医にご確認ください。
体外受精の中でも「胚移植」は治療の核心となるステップです。保険適用になったとはいえ、費用の全体像は分かりにくく、「実際いくらかかるの?」という疑問を持つ方が多いのが現状です。この記事では、2022年4月の保険適用拡大を踏まえた最新の費用情報を整理します。
この記事でわかること
- 胚移植の費用(保険適用・自費それぞれ)
- 新鮮胚移植と凍結融解胚移植の費用の違い
- 保険適用の条件・回数制限
- 助成金・高額療養費制度の活用方法
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
保険適用開始 | 2022年4月(特定不妊治療保険適用) |
対象年齢 | 治療開始時43歳未満(女性) |
保険適用回数 | 40歳未満:通算6回まで / 40〜43歳未満:通算3回まで |
自己負担割合 | 3割(高額療養費制度の対象) |
凍結保存料 | 原則保険外(自費負担) |
胚移植の費用詳細
胚移植の費用は、移植方法(新鮮胚・凍結融解胚)と保険適用の有無で大きく異なります。保険適用後の自己負担額(3割)の目安は以下の通りです。
治療内容 | 保険適用時(3割負担)の目安 | 自費の目安(参考) |
|---|---|---|
採卵(刺激法含む) | 3〜10万円程度 | 30〜60万円程度 |
胚培養・受精 | 1〜3万円程度 | 5〜15万円程度 |
新鮮胚移植 | 1〜3万円程度 | 10〜20万円程度 |
凍結融解胚移植 | 2〜5万円程度 | 10〜25万円程度 |
胚凍結保存料(年間) | 自費:3〜7万円程度 | 3〜7万円程度 |
※上記はあくまでも目安です。施設・使用薬剤・個別の治療内容により異なります。
保険適用の条件と注意点
2022年4月以降、体外受精・顕微授精・胚移植は一定の条件下で健康保険が適用されます。主な条件と注意点を確認しておきましょう。
- 年齢条件:治療開始時に女性が43歳未満であること。43歳以降は保険適用外(全額自費)になります。
- 回数制限:40歳未満は通算6回、40〜43歳未満は通算3回まで保険適用。採卵周期ではなく「胚移植」ごとにカウントされます。
- 保険診療と自費診療の混合:
保険診療と自費診療(先進医療を除く)は同一治療周期で混合できません。先進医療(ERA・EMMA・ALICE・PGT-Aなど)は保険診療と併用可能な場合があります。
- 凍結保存:採卵で作成した余剰胚の凍結保存料は原則保険対象外。自費で負担します。
高額療養費・助成金の活用
保険適用になっても費用負担が重い場合、以下の制度が利用できる場合があります。
- 高額療養費制度:1ヶ月の保険診療自己負担が一定額を超えた場合に払い戻される制度。月収により上限額が異なります(例:標準的な月収の場合、月8〜9万円程度が上限)。
- 都道府県・市区町村の助成金:保険適用後も自費部分(凍結保存料・先進医療費など)への助成を設けている自治体があります。お住まいの自治体に確認してください。
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除が適用できます(保険適用・自費いずれも対象)。
受診時のポイント
- 治療前に費用の見積もりを確認:クリニックによって自費部分の設定が異なります。初診時に見積書をもらうか、費用説明の機会を依頼しましょう。
- 保険証・限度額認定証を準備:高額療養費の限度額認定証があると窓口負担を上限額以内に抑えられます。加入保険機関に事前に申請してください。
- 年齢のタイムリミットを意識:保険適用は治療開始時43歳未満が条件のため、年齢が近い場合は早めに相談を始めることが重要です。
アクセス情報
胚移植を含む体外受精は、生殖補助医療を実施している不妊治療専門クリニックまたは総合病院の生殖医療センターで受けられます。保険適用の要件(施設基準)を満たしているかどうかは、クリニックに確認するか、厚生労働省の公表リストで確認できます。
- 不妊治療専門クリニック:体外受精・胚移植の主な実施施設
- 総合病院(生殖医療センター):合併症対応・高度生殖医療
- 産婦人科(一般):タイミング法・人工授精まで対応
よくある質問(FAQ)
Q1. 保険適用で胚移植1回あたりいくらかかりますか?
凍結融解胚移植の場合、保険適用の3割負担で2〜5万円程度が目安です。ただし当月の採卵や検査が重なる場合はさらに費用がかかります。詳細はクリニックの費用説明を確認してください。
Q2. 43歳以上でも体外受精はできますか?
医学的には可能ですが、保険適用外となり全額自費になります。また着床率・生産率が大きく低下するため、担当医との十分な相談が必要です。
Q3. 凍結保存は永久に続けられますか?
多くのクリニックでは年単位で保存料を徴収し、最長保存期間(例:女性が55歳まで、など)を設けています。余剰胚の取り扱いについては各施設のルールを確認してください。
Q4. 夫婦ともに費用の医療費控除の対象ですか?
医療費控除は家族全員の医療費を合算できます。不妊治療費用(検査・採卵・移植・薬代等)は医療費控除の対象となります。領収書を保管しておいてください。
Q5. 先進医療は保険と併用できますか?
ERA・EMMA・ALICE・PGT-A(反復着床不全・流産の場合)などの先進医療は、一定の条件下で保険診療と併用できます。民間医療保険で先進医療特約を設けているものもあります。加入保険を確認してみましょう。
まとめ
胚移植の費用は2022年の保険適用拡大により大幅に軽減されましたが、凍結保存料・先進医療費・年齢制限などの条件を正確に把握しておくことが重要です。高額療養費制度や自治体助成金を活用することで、さらに自己負担を減らせる可能性があります。費用面で不安があれば、クリニックのカウンセリングや医療ソーシャルワーカーへの相談も選択肢の一つです。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的としたものではありません。費用は概算であり、実際の金額は医療機関によって異なります。個別の内容については担当医・担当窓口にご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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