胚移植の前後に使う黄体補充薬は、子宮内膜に作用し、着床と妊娠の維持を支える目的で処方されます。薬ごとに成分・剤形・使用経路や日程が異なります。ルティナス、ウトロゲスタン、ルテウム、ワンクリノンの国内製品は腟に使う薬で、飲み薬ではありません。
同じ黄体ホルモンの薬でも、錠数・回数をそのまま交換したり、都合に合わせて内服へ替えたりしないでください。出血や市販の妊娠検査だけで継続・終了を決めず、処方元の指示を確認します。
処方された薬の名前・成分・使う場所を確認する
| 国内の製品 | 成分・使用経路 |
|---|---|
| ルティナス腟錠100mg | プロゲステロン。専用アプリケータで腟に使う錠剤。飲まない。 |
| ウトロゲスタン腟用カプセル200mg | プロゲステロン。腟に使うカプセル。飲まない。 |
| ルテウム腟用坐剤400mg | プロゲステロン。腟に使う坐剤。飲まない。 |
| ワンクリノン腟用ゲル90mg | プロゲステロン。専用の使い捨てアプリケータに入った腟用ゲル。飲まない。 |
| デュファストン錠5mg | ジドロゲステロン。口から飲む錠剤。処方目的で用量・期間が異なる。 |
製品名のmgは、その製品の含量です。この表は、同じmgや同じ回数なら同じ効き方になる、という換算表ではありません。注射を含めた使い分けや併用は、治療方法と本人の状態に応じて医師が判断します。
開始・終了日は、薬と移植の方法ごとに違う
黄体補充の開始日は移植日との関係があり、勝手に前後させないことが大切です。採卵する周期、排卵をみる凍結融解胚移植、ホルモン補充を使う移植では、計画が同じとは限りません。
例えばデュファストンの添付文書は、生殖補助医療の黄体補充でも、新鮮胚移植・自然周期の凍結融解胚移植と、ホルモン補充周期で投与期間を分けています。他の薬も、それぞれの承認用法があります。「妊娠8〜10週になったら全薬をやめる」という共通の終了日はありません。
薬の説明と自分の指示が違うように感じた場合は、使い方を変更する前に処方元へ確認してください。妊娠判定が陽性でも、陰性・不明でも、自分で薬を減らしたりやめたりしないでください。
使い忘れや薬が出たとき、追加を自己判断しない
忘れた時刻、最後に使った量、次に使う予定時刻を確認し、製品の患者ガイドと処方時の指示に従います。2回分を一度に使って取り戻すことは避け、対応が分からなければ薬剤師や治療施設へ相談してください。
腟からカプセル・錠剤や白いものが出たときは、薬の名前、使ってからの時間、形が残っているか、痛み・出血の有無を伝えて確認します。何分経てば全量吸収済み、新しい薬を必ずもう1個入れる、とは一律に決められません。
腟剤の器具や保管方法も製品によって異なります。例えばルテウムは25℃以下での保管と、一度溶けた製剤を使わない注意があります。この条件をすべての腟剤へ流用せず、自分の製品の説明を確認しましょう。
副作用と妊娠の症状を、見た目だけで区別しない
眠気・めまい、腹部の不快感、かゆみ・分泌物、出血などは、薬の影響も含めて評価が必要な場合があります。症状だけで着床・妊娠継続を判定したり、「妊娠確認後には必ず落ち着く」と我慢したりしないでください。運転に支障がある眠気・めまいも相談し、危険な作業を避けます。
出血した場合は、量・痛み・始まった時刻を治療施設へ伝えてください。大量出血、強い腹痛、失神しそうな状態では、次の予約を待たず診察を求めます。
プロゲステロンの腟剤にも、血栓症等の重大な副作用の注意があります。急な息切れや胸痛、脚の痛み・腫れ、激しい頭痛やまひ、しゃべりにくさ・急な視力の異常では、すぐ医療機関へ連絡して診察を受けてください。緊急時は119へ連絡し、使用中の薬を伝えます。
効き方や費用の比較は、同じ治療条件で説明を受ける
「腟剤なら全身の副作用がない」「注射なら一番確実」「内服は妊娠率が低い」といった一言で薬を選ぶことはできません。体温、胸の張り、おりものだけでも効果は判定できません。使用の負担や不安を伝え、処方を選んだ理由を聞きましょう。
費用は、薬価だけでなく実際の処方量・期間、保険か自費か、通院や調剤等を分けて確認してください。未確認の1個単価に共通回数を掛け、全員の黄体補充費用として示すものではありません。
確認した資料
2026年10月24日に確認。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。