
「ERA検査って何?自分に必要ですか?」——体外受精で良好な胚を移植しても着床しない場合、子宮内膜の「受け入れ準備の時期(着床の窓)」がずれている可能性があります。ERA検査(Endometrial Receptivity Analysis)とは、子宮内膜の遺伝子発現を調べることで、個人ごとに最適な「着床の窓(胚移植タイミング)」を特定する検査です。
良好胚を複数回移植しても着床しない「反復着床不全」の方に特に有効とされており、ERA検査でタイミングを調整することで妊娠率が改善する報告もあります。この記事では、ERA検査の仕組み・対象者・方法・費用・解釈の仕方を詳しく解説します。
この記事のポイント
- ERA検査の原理と「着床の窓」の意味
- 検査の対象者・推奨されるケース
- 検査の方法・スケジュール・痛みの程度
- 検査結果の見方と次のステップ
- 費用・保険適用の現状
ERA検査とは——「着床の窓」を遺伝子レベルで特定する
着床の窓(Window of Implantation: WOI)とは、子宮内膜が胚を受け入れられる状態になる限られた時間帯のことです。ホルモン補充サイクルでは黄体ホルモン(プロゲステロン)投与開始後、通常は120時間(5日間)前後が着床の窓とされますが、約25〜30%の女性では着床の窓の時期が前後にずれていると報告されています。
ERA検査は子宮内膜の生検(組織採取)を行い、248の遺伝子発現パターンを解析することで「その方のWOI(着床の窓)が正確にいつなのか」を判定します。2011年にスペインで開発され、現在は世界各国の生殖医療クリニックで実施されています。
ERA検査が推奨されるケース
すべての方にERA検査が必要なわけではありません。以下に該当する場合に検討が推奨されます。
- 反復着床不全(RIF):良好胚(グレードの高い胚盤胞等)を2〜3回以上移植しても着床しない
- 原因不明の不妊:精子・卵子・ホルモン値などの基本検査で異常がない
- 凍結融解胚盤胞移植を繰り返している:移植タイミングの見直しが有効な可能性
- 高年齢での治療:着床率を少しでも上げるための付加検査として
初回移植の前に全員が受ける必要はなく、まず標準的な移植を試みてから検討するケースが一般的です。
ERA検査の方法とスケジュール
ERA検査は実際の移植を行うサイクルとは別の「検査サイクル」で実施します。
- ホルモン補充(擬似移植サイクル):通常の凍結融解移植と同様に、エストロゲン→プロゲステロンを投与して子宮内膜を準備する
- 内膜生検の実施:プロゲステロン投与開始から120時間(5日間)後に、専用のカテーテルで子宮内膜の組織を少量採取する
- 検体の送付・解析:採取した組織をERA検査会社(Igenomix等)に送付し、次世代シーケンシング(NGS)で遺伝子発現を解析
- 結果報告(約2〜3週間後):「Receptive(受容性あり)」または「Non-Receptive(受容性なし+最適なWOI時期)」として報告される
- 次の移植サイクルへ:Non-Receptiveの場合は推奨されたタイミングに移植を実施
結果 | 意味 | 次のステップ |
|---|---|---|
Receptive(受容性あり) | 通常のWOIタイミングが最適 | 標準的な移植スケジュールで実施 |
Non-Receptive(前倒し) | WOIが早め(プロゲステロン投与後100〜115時間) | 内膜生検から指定時間後に移植を実施 |
Non-Receptive(後倒し) | WOIが遅め(プロゲステロン投与後130〜145時間) | プロゲステロン投与を延長して移植を実施 |
内膜生検の痛みと注意点
ERA検査の生検は、子宮内膜生検と同様の処置です。感じ方には個人差がありますが、一般的に以下の程度の不快感・痛みが報告されています。
- 処置時間:5〜10分程度
- 痛みの程度:生理痛程度〜それより少し強い下腹部痛(鎮痛剤を事前に服用するクリニックもある)
- 処置後:軽い出血・腹痛が1〜2日続くことがある
- 処置後の活動制限:特になし(当日の激しい運動・性行為は避けることを推奨)
ERA検査の費用と保険適用
ERA検査は2026年時点で保険適用外(自由診療)です。費用はクリニックによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
項目 | 費用目安 |
|---|---|
ERA検査(解析費用含む) | 8〜15万円程度 |
検査サイクル(ホルモン補充等) | 3〜5万円程度(別途) |
合計目安 | 10〜20万円程度 |
ERA検査はEMMA(子宮内マイクロバイオーム解析)・ALICE(慢性子宮内膜炎検査)とセットで実施するクリニックも多く、その場合は費用が追加されます。担当クリニックに個別見積もりを依頼してください。
ERA検査の限界と注意点
ERA検査は有用なツールですが、すべての着床不全を解決するものではありません。以下の点を理解したうえで検討してください。
- ERA検査により妊娠率が改善することを示すエビデンスは蓄積されていますが、すべての反復着床不全の原因をカバーするわけではありません
- 着床不全の原因は子宮内膜受容性以外にも、胚の質・免疫学的因子・子宮形態異常など多岐にわたります
- ERA検査でReceptiveと判定されても着床しない場合は、他の原因精査が必要です
- ERA検査の結果は「その検査サイクル時点」のものであり、次のサイクルで変化する可能性があります
よくある質問
ERA検査は何回移植したら受けるべきですか?
一般的には良好胚を2〜3回移植しても着床しない「反復着床不全」に該当した場合に検討されます。初回移植前に全員が受ける必要はありません。
ERA検査の結果が出るまで移植はできませんか?
検査サイクルと移植サイクルは別のため、検査結果が出るまで(約2〜3週間)は移植できません。スケジュールに余裕を持って計画してください。
ERA検査でNon-Receptiveだった場合、必ず妊娠率が改善しますか?
改善する可能性はありますが、必ずしも保証されるものではありません。他の着床不全の原因がある場合は、ERA検査のみで解決しないことがあります。
ERA検査は自然周期でもできますか?
自然周期での実施は技術的に難しく、ほとんどの場合はホルモン補充周期で行われます。担当クリニックに確認してください。
ERA検査と同時に受けるべき他の検査はありますか?
EMMA(子宮内細菌叢検査)・ALICE(慢性子宮内膜炎検査)・子宮鏡検査を同時に実施するケースが多くあります。担当医と相談して最適な検査の組み合わせを決めてください。
ERA検査後、移植は何周期後に実施しますか?
結果受領後、次の月経周期から移植サイクルを開始できます。結果報告から次の移植まで最短1〜2ヶ月程度が目安です。
まとめ
ERA検査は、繰り返す着床不全の原因として「着床の窓のズレ」を特定する遺伝子検査です。主なポイントをまとめます。
- ERA検査は248の遺伝子発現から、個人ごとの最適な移植タイミング(着床の窓)を判定する
- 対象は反復着床不全(良好胚を2〜3回移植しても着床しない)が主
- 検査サイクルと移植サイクルは別。費用は10〜20万円程度(保険外)
- ERA検査はツールの一つ。他の着床不全因子の精査も並行して行うことが重要
ERA検査が自分に適しているかどうかは、担当の生殖医療専門医と相談して判断してください。
反復着床不全でお悩みの方へ
ERA検査を含む反復着床不全の精査・治療については、生殖医療専門クリニックにご相談ください。
【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や治療についての判断は、必ず担当医師にご相談ください。掲載情報は執筆時点のものであり、医療の進歩により内容が変わる場合があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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