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単一胚移植の原則|多胎妊娠予防

2026/4/19

単一胚移植の原則|多胎妊娠予防

(情報取得日:2026年5月2日)

「なぜ胚を1個しか移植しないのか」「2個移植すれば妊娠率が上がるのではないか」——体外受精を進める中でこうした疑問を持つ方は少なくありません。本記事では、単一胚移植(eSET)が推奨される医学的な理由と実際の運用、例外的に2個移植が検討される条件を解説します。

この記事のポイント

  • 日本産科婦人科学会は原則として胚移植は1個(単一胚移植)を推奨
  • 目的は多胎妊娠の予防——双子以上は早産・低出生体重のリスクが大幅に上がる
  • 良好胚盤胞1個の妊娠率は40〜50%程度(年齢・状態により変動)
  • 例外的に2個移植が検討されるケースあり(年齢・反復不成功等)

基本情報

単一胚移植(elective Single Embryo Transfer:eSET)とは、1個の胚(主に良好胚盤胞)を子宮に移植する方法です。1回の妊娠率を最大化することよりも、母子の安全を優先した治療方針の根幹に位置づけられています。

項目

内容

推奨する団体

日本産科婦人科学会、日本生殖医学会など

推奨の根拠

多胎妊娠リスクの回避・母子の安全確保

妊娠率への影響

累積妊娠率(複数回移植を含む)では複数移植と大きな差がないとされる

例外規定

35歳以上・反復不成功・凍結胚の数が限られる場合などは2個移植を認める施設もある

保険適用への影響

移植個数の規定は保険診療上の要件とも連動している

1個移植の妊娠率目安

良好胚盤胞1個で40〜50%程度(年齢・胚の質・子宮の状態による)

診療内容の特徴

単一胚移植が推奨される主な理由は多胎妊娠の予防です。双子・三つ子などの多胎妊娠は、母体・胎児双方に深刻なリスクをもたらします。

  • 多胎妊娠のリスク:双子の場合、早産率(妊娠37週未満)は約50%以上に上昇します(単胎の早産率は約5%)。低出生体重児(2,500g未満)の割合も増加し、NICU管理が必要になるケースがあります。母体への影響としては妊娠高血圧症候群・前置胎盤・産後出血リスクの上昇があります。
  • 凍結技術の向上で可能になった戦略:ガラス化凍結法により凍結・融解後の胚の生存率が95%以上の施設が多くなっています。「1個移植×複数周期」の累積妊娠率が「2個移植×1回」と変わらないとするデータが増えており、単一移植を複数回行う戦略が現実的になっています。
  • 胚盤胞移植との組み合わせ:現在の主流はDay5-6の胚盤胞を1個移植する方法です。胚盤胞まで培養することで着床能力を持つ胚を選別でき、1個でも十分な妊娠率が期待できます。
  • 2個移植が許容される条件:日本産科婦人科学会の指針では、35歳以上または2回以上の移植不成功などの条件下で2個移植を許容しています。施設の方針や患者の状況によって判断が変わります。

口コミ・評判の傾向

「1個しか移植しないと言われて最初は不安だったが、医師の説明を聞いて納得した」という声が多く聞かれます。一方で「年齢的に時間がないから2個移植したかった」という声もあり、患者の焦りと医学的な原則の間で葛藤が生まれることがあります。

「1個移植を4回繰り返してやっと妊娠した」という体験談もあり、単一移植でも複数回のチャレンジで妊娠に至るケースは多くあります。個人の体験談は治療効果を保証するものではありませんが、「累積妊娠率」という視点を持つことが重要です。

費用の目安

項目

保険適用(3割負担目安)

凍結融解胚移植(1個)

3万〜8万円程度

移植3回の累積費用目安

10万〜25万円程度(保険3割負担)

長期の凍結保存費用

年間数万円程度(施設によって異なる)

単一移植を複数回行う累積費用は、2個移植1回の費用と大きく変わらないケースもあります。長期的な計画を医師と相談してください。

受診時のポイント

  • 「なぜ1個なのか」の理由を医師にしっかり確認しましょう。多胎リスクの具体的な数字(早産率・低出生体重率)を聞くと理解しやすくなります。
  • 凍結胚が複数ある場合は、移植優先順位(グレードの良いものから)と残りの胚の管理(凍結保存継続・破棄・研究提供など)について確認しておきましょう。
  • 2個移植を希望する場合は、自分の年齢・治療歴・胚の状況をもとに医師と相談してください。学会指針の条件に当てはまるかどうかも確認できます。
  • 保険診療内での移植回数の上限(年齢によって異なる)についても確認しておくと治療計画を立てやすくなります。保険適用回数を超えた場合の費用も事前に把握しておきましょう。

アクセス情報

単一胚移植は、日本産科婦人科学会に登録されたART実施施設で行われます。施設ごとに移植個数の方針が若干異なる場合があるため、疑問があれば初診時や診察時に確認してください。

不妊治療は長期間にわたることが多いため、通院しやすさ(交通アクセス・待ち時間・診療時間)も施設選びの重要な要素です。

よくある質問

  • Q. 1個移植だと妊娠率は低くなりませんか?
    A. 1回あたりの妊娠率はやや低下しますが、胚を分けて複数回移植する「累積妊娠率」は多数移植と大きく変わらないとされています。
  • Q. 35歳以上なら2個移植できますか?
    A. 学会指針では35歳以上は2個移植の許容条件の一つですが、施設の方針や患者の状態によって異なります。担当医に相談してください。
  • Q. 2個移植しても双子になるとは限りませんか?
    A. 2個移植しても2個とも着床するとは限りません。ただし1個移植より多胎リスクは高くなります。
  • Q. 胚を1個しか凍結していない場合も単一移植ですか?
    A. その場合は自動的に1個移植になります。胚の数が少ない場合の治療戦略は担当医と相談してください。
  • Q. 双子を希望している場合でも2個移植は難しいですか?
    A. 双子希望であっても医学的な多胎リスクがあるため、多くの施設では原則として単一移植を勧めています。リスクについて十分な説明を受けた上で判断することが大切です。

単一胚移植と着床前遺伝子検査(PGT)の関係

単一胚移植の効果をさらに高める取り組みとして、着床前遺伝子検査(PGT-A:染色体数的異常の検査)があります。PGT-Aは胚盤胞から細胞を採取して染色体の数を解析し、数的異常(非倍数体)のない胚を選んで移植する方法です。

PGT-Aにより移植あたりの妊娠継続率(流産しにくい妊娠率)が向上するとする研究がある一方、「移植できる胚の数が減る」「費用が高い」「全ての染色体異常を検出できるわけではない」という課題もあります。日本では現在、反復着床不全・反復流産の方を対象に条件付きで保険外の検査として実施されています。

PGT-Aは1胚あたり5万〜10万円程度の自費費用が発生します。単一胚移植と組み合わせることで、より精度の高い胚を1個移植することが可能になりますが、すべての方に推奨される検査ではありません。担当医と自分の状況(年齢・反復不成功の有無)を踏まえて相談してください。

まとめ

単一胚移植の推奨は、母子の安全を守るための重要な原則です。「1回で妊娠できるかどうか」より「健康な妊娠・出産を実現できるかどうか」の視点から、複数回の移植を計画に組み込んで治療を進めることが現代の不妊治療の考え方です。

1回の移植で結果が出なくても、凍結保存した胚がある限りチャンスは続きます。焦らず医師と二人三脚で治療を進めていくことが大切です。

【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、治療法の効果・安全性を保証するものではありません。治療の選択は必ず担当医にご相談ください。情報は2026年5月2日時点のものです。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2