精液検査の結果票は、項目の名前と単位を最初に確認します。「精子が何個あるか」と「何%が動いているか」は別の情報です。基準値を上回るか下回るかだけで妊娠の可否や治療方法を決めず、複数の項目と採取条件、本人とパートナーの経過を合わせて説明してもらいましょう。
名前が似た項目と、数・割合を区別します
| 結果票の項目 | 何を表すか |
|---|---|
| 精液量 | 採取された精液の量。精子数そのものではない |
| 精子濃度 | 精液1mLあたりの精子数。精液全体の総数と異なる |
| 総精子数 | 採取した精液全体に含まれる精子の数 |
| 運動率 | 動く精子の割合。総運動率と前進運動率の項目も区別する |
| 正常形態率 | 一定の方法・基準で形態を評価した割合。他の項目と合わせて読む |
項目名の略称や表示方法は施設で異なることがあります。数字だけを写すのではなく、結果票の項目名、単位、施設の参考範囲をセットで確認してください。MedlinePlus:精液検査で測定する項目
「42%」のような割合を、精子の個数と混同しません
精子濃度は一定の液量あたりの数、総精子数は検体全体の数、運動率は百分率です。たとえば「%」で示された値を「何千万個」という精子の数として読むことはできません。ネット上の表と項目が違う場合、数値をそのまま比較しないでください。
正常形態率も、精子が妊娠に使える割合や、将来生まれる子どもの状態をそのまま示す数字ではありません。検査方法と他の所見を含め、医師から説明を受けましょう。
基準値は「妊娠できる・できない」の境界ではありません
国内2024年ガイドラインは、WHO第6版で示される精液所見の参考値が、一定の条件で自然妊娠した男性の集団の分布に基づくことを説明しています。一つの値から、本人が自然妊娠できるか、どの治療なら成功するかを確定するものではありません。
複数の項目に所見があるか、採取条件はどうだったか、本人とパートナーの年齢や病歴・治療歴はどうかを合わせて判断します。今回の結果が診療のどの判断に使われるかを聞いてください。男性不妊症診療ガイドライン2024年版:一般精液検査
人工授精などの処理前と処理後を区別します
人工授精などで精液を処理した後の値と、通常の採取した精液の検査値は、同じ条件の数字ではありません。濃度や運動率だけでなく、処理前・処理後のどちらを説明しているか、数と割合のどの項目かを確認します。
前回の結果票や別の施設の結果を比べるときも、採取日、検査方法、条件が分かる資料を持参しましょう。一つの数値だけから人工授精・顕微授精の適応を自己判定しません。
結果が変わったときは、条件と再評価の目的を確認します
同じ人でも精液所見は変動するため、国内ガイドラインは複数回の結果で判断する考え方を示しています。採りきれなかった、持参に時間がかかった、薬や体調が変わったといった事情も伝えます。
再検査の間隔は、数値や状況を見て施設から指示を受けます。海外施設の「何週間後」「何か月後」という案内を、全員に共通する受診待機期間にはしません。
次の診察で聞きたいこと
- 今回どの項目に、どの程度の所見があるか
- 採取条件の影響や、再検査で確かめたいことは何か
- 病歴や本人の診察、追加の採血・画像検査が必要か
- パートナーの評価と合わせて、次にどこで何を判断するか
数値が低いことを自分の責任と決めつけず、検査結果を次の相談に使いましょう。精液検査だけでは原因が分からないこともあり、男性不妊を扱う泌尿器科などへ紹介を相談できます。NHS:精液検査後の再評価と専門医への相談
参考資料と確認日
- 日本泌尿器科学会編:男性不妊症診療ガイドライン2024年版、BQ2の一般精液検査の採用ページ
- MedlinePlus:Semen Analysis(項目の意味の採用節)
- NHS:Low sperm count(2024年1月26日レビュー、採用節)
2026年10月30日に採用した節を確認しました。海外の旧数値表を日本の全施設の基準へ流用した記事ではなく、本記事の個別の医師監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。