精液検査は、精液の量や精子の数・動き・形などを調べ、男性側の状態を評価するための検査です。結果が参照値を下回ったことだけで「妊娠できない」、上回っただけで「男性側に問題はない」と確定するものではありません。検査条件と各項目を合わせて、医師から説明を受けてください。
検査票は、項目と条件を分けて確認します
| 気になる状況 | 対応・確認すること |
|---|---|
| 濃度・総精子数のどちらが低いかわからない | 1mL中の数と、射精した精液全体の数を区別して説明を受ける |
| 運動率の数字が資料と違う | 総運動率か前進運動率か、参照する版と単位を確認する |
| 1回の結果が悪く不安 | 禁欲期間・採取の状態・体調を伝え、再検査や診察を相談する |
| 精子が見つからない・著しく少ないと説明された | 生活改善だけで待たず、泌尿器科等で原因の評価と今後を相談する |
| 参照値内だったが妊娠に至らない | それだけで評価を終えず、双方の状況に応じた診察・計画を相談する |
WHO2021の数値は、妊娠できる・できないの境界ではありません
WHO第6版は、避妊せず性交を始めて1年以内に自然妊娠に至ったカップルの男性の結果を示しています。表8.3の下位5パーセンタイルの値には、次の項目があります。WHO:精液検査マニュアル第6版(2021)
- 精液量:1.4mL
- 精子濃度:1,600万/mL
- 総精子数:3,900万/射精
- 総運動率:42%、前進運動率:30%
- 正常形態率:4%
「総精子数4,200万・総運動率40%」という混同をしないようにします。また、下位5%を分ける値は、不妊と妊孕性を分ける診断境界ではないとマニュアルに明記されています。個人の妊娠確率や、必要な治療をこの一覧だけで決めることはできません。
精液量・濃度・総精子数、動きと形は違う指標です
精子濃度は精液1mL中の数、総精子数は精液全体の数で、濃度と精液量を掛け合わせて求めます。濃度が同じでも、精液量によって総数は異なります。総運動率と前進運動率も同じ項目ではありません。
複数の項目や病歴、診察所見等を組み合わせて評価するため、「精子の質」という言葉だけで全体をひとまとめにしないでください。自分の検査票の項目名・単位・採取条件を、説明時に確認しましょう。
結果は、採取条件や体調によっても変わります
禁欲期間、採取した精液の取りこぼし、検査までの時間や運搬条件、発熱等の体調、使用薬等を医療者へ伝えます。WHOは完全に採取できなかった場合に、そのことを報告するよう求めています。恥ずかしさから隠したり、見た目の量で自分を責めたりしないでください。
検査前の禁欲期間はWHOで2〜7日が示されていますが、予約先から受けた採取・提出の指示を確認します。指示と違う場合も記録して施設へ連絡し、受け付けや再採取の扱いを相談してください。
再検査と、原因を調べる診察を相談します
国内の2024年指針は、個人内での変動を踏まえて少なくとも2回以上の結果を用いた判断を示しています。いつ・何回再検するかは、所見と状況を踏まえて確認します。相談や必要な評価を、検査回数がそろうまで一律に待つという意味ではありません。日本泌尿器科学会:男性不妊症診療ガイドライン2024年版
男性側の評価では、妊娠に関わる病歴や性機能等の問診と精液検査を行い、必要に応じて身体診察、ホルモン検査、超音波や遺伝学的検査等を検討します。一般精液検査が正常でも、すべての追加検査を自動で受けるということではありません。追加項目の根拠、結果で何が変わるか、費用を確認しましょう。
治療と費用の説明を受けます
数値だけでタイミング法・人工授精・顕微授精のいずれかへ自動的に決めず、原因や双方の状況、希望・負担を含めて相談します。薬やサプリを自己開始・中止して数値を調整するのではなく、使用中のものを医師へ伝えます。
費用は、精液検査・診察・再検査・追加項目ごとに保険・自費の条件と内訳を確認します。AMHや女性のホルモン検査の料金、一式1〜3万円・1〜2周期という案内を、精液検査の共通料金・期間には使いません。
出典と確認日
2026年10月30日にWHO2021第6版の保存済み公式PDFの採用頁と、日本泌尿器科学会2024年指針の採用頁を照合しました。全マニュアル・全研究や現在の全施設の料金、個別の診断・医師監修を確認した記事ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。