
流産手術後の痛みは、ほとんどの場合1〜3日以内に落ち着きます。ただし、適切な鎮痛剤の選択と受診が必要なサインを知っておくことが早期回復の鍵です。この記事では、術後の痛みのメカニズム・鎮痛薬の使い方・回復の目安を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 術後の子宮収縮痛は24〜48時間でピークを迎え、多くの場合3日以内に軽快します
- ロキソプロフェン・イブプロフェンなどNSAIDsが第一選択で、食後に服用することで胃への負担を軽減できます
- 38℃以上の発熱・悪臭のある出血・急激に増す腹痛がある場合は感染の可能性があり、すぐに受診が必要です
流産手術後に痛みが起きる仕組み
流産手術(吸引法・掻爬術)後の痛みは、主に子宮収縮と内膜の修復過程によるものです。術中に子宮口を拡張し子宮内容を除去する際、プロスタグランジンが大量放出されます。これが子宮筋を強く収縮させ、「生理痛に似た痛み」として感じられます。
- 収縮痛:術後数時間〜48時間が最も強く、時間とともに軽快
- 内膜修復による痛み:数日間、鈍い違和感として続くことがある
- 子宮頸管拡張による痛み:術中の器具挿入による刺激(数時間で軽快)
回復のタイムライン:術後いつまで痛みが続くか
術後の痛みのピークは24〜48時間以内で、多くの場合3〜5日以内に日常生活に支障のないレベルに回復します。痛みが1週間以上続く場合や増悪する場合は感染や合併症の可能性があります。
時期 | 一般的な症状 | 対応 |
|---|---|---|
術後0〜6時間 | 強い収縮痛・出血・軽い発熱(37.5℃まで) | 安静・鎮痛剤服用 |
術後1〜2日 | 生理痛レベルの収縮痛・出血継続 | 鎮痛剤・水分補給 |
術後3〜5日 | 痛み軽快・出血量減少 | 通常生活に徐々に戻る |
術後1〜2週間 | 軽い違和感・少量の出血継続 | 激しい運動・性交は控える |
術後3〜6週間 | 次の月経が始まることが多い | 月経が再開したら通常通り |
鎮痛剤の正しい選び方と使い方
流産手術後の痛みには、病院で処方されるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が最も効果的です。市販薬を使用する場合も成分を確認し、胃への刺激を減らすために必ず食後に服用してください。
処方薬の例
- ロキソプロフェン(ロキソニン):1回60mg、1日3回まで、食後服用。最も一般的に処方される
- ジクロフェナク(ボルタレン):1回25〜50mg、1日3回まで。坐薬もある
- アセトアミノフェン(カロナール):NSAIDsが使えない場合の選択肢。胃への刺激が少ない
市販薬を使う場合の注意
- イブプロフェン含有薬(イブ、ナロンエースなど)は処方NSAIDsと成分が重複するため、処方薬がある場合は使用しない
- アスピリンは子宮出血を増やす可能性があるため避ける
- 鎮痛剤は痛みを感じる前に定時服用すると効果的(痛くなってから飲むと効きにくい)
胃を守るポイント
NSAIDsは空腹時に服用すると胃痛・胃潰瘍を引き起こすことがあります。処方された場合は胃薬(胃粘膜保護薬・プロトンポンプ阻害薬)が同時に処方されることが多いですが、市販薬の場合は必ず食後に服用し、牛乳と一緒に飲む方法も有効です。
自宅でできる痛み緩和のケア
薬以外にも、日常生活の工夫で痛みを和らげることができます。
- 温める:腹部・腰部を温めることで子宮収縮が和らぎます(カイロ・湯たんぽを使用)。ただし発熱がある場合は避ける
- 安静:術後1〜2日は長時間の立ち仕事・重い荷物を持つことを避ける
- 楽な姿勢:仰向けや横向きで膝を軽く曲げると子宮への圧迫が減る
- 水分補給:こまめに水・スポーツドリンクを補給し脱水を防ぐ
- 腹部マッサージは避ける:術後の子宮に刺激を与えると出血が増える場合がある
すぐに受診すべき危険なサイン
以下の症状は感染・子宮穿孔・子宮内遺残などの合併症を示すサインです。痛み止めが効かない・様子を見ようとせず、すぐに手術を受けたクリニック(または緊急外来)に連絡してください。
症状 | 疑われる原因 | 対応 |
|---|---|---|
38℃以上の発熱が24時間以上続く | 子宮内感染・骨盤腹膜炎 | 即受診 |
悪臭のある膿状の出血・帯下 | 子宮内感染 | 即受診 |
急激に増す下腹部痛(痛み止めが無効) | 子宮穿孔・遺残 | 即受診 |
出血が生理よりも明らかに多い・血の塊が続く | 子宮内遺残・不全流産 | 当日中に受診 |
術後1週間以上痛みが続く・増悪する | 感染・癒着の兆候 | 再診を予約 |
心身の回復:痛み以外のケアも大切に
流産手術後は身体的な痛みだけでなく、喪失感・悲しみ・自責感など精神的なつらさも経験することがあります。痛みが引いても気分が沈んだり眠れない場合は、産後うつと同様の心理的反応(グリーフリアクション)が起きている可能性があります。
- つらい気持ちは異常ではなく、多くの方が経験します
- 無理に「前を向こう」とせず、まず休むことを優先してください
- 症状が2週間以上続く場合は産婦人科または心療内科に相談を
よくある質問(FAQ)
Q1. 術後すぐ鎮痛剤を飲んでいいですか?
はい。術後から処方された鎮痛剤を服用して問題ありません。痛みを我慢すると回復が遅れる場合があります。処方薬がない場合は市販のイブプロフェン系薬(食後服用)を使用できます。
Q2. 術後の痛みに湯船入浴は効きますか?
術後1週間はシャワーのみ推奨です。湯船への入浴は子宮口が閉じる前に細菌が侵入するリスクがあります。温める場合はカイロや腹巻きを使用してください。
Q3. 痛みが全くない場合も正常ですか?
はい。痛みの程度には個人差があり、痛みがほとんどない方も多くいます。出血量が正常範囲内(生理程度またはそれ以下)であれば問題ありません。
Q4. ロキソニンとカロナール、どちらが効きますか?
子宮収縮痛にはプロスタグランジン合成を抑えるロキソニン(NSAID)のほうが効果が高いとされています。胃が弱い方・アスピリン喘息の方にはカロナールが安全に使用できます。
Q5. 術後の痛みで仕事を休む目安は?
事務職・在宅勤務であれば術後1〜2日の安静後に復帰できる場合が多いです。立ち仕事・重労働は3〜5日の休養を推奨します。強い痛みが続く場合は無理せず延長してください。
まとめ
流産手術後の痛みは子宮収縮によるものが主で、適切な鎮痛剤と安静で多くの場合3〜5日以内に軽快します。
- NSAIDs(ロキソプロフェン等)を食後・定時服用で効果的に管理する
- 腹部を温める・安静にするなどのホームケアを組み合わせる
- 38℃以上の発熱・悪臭のある出血・急激に増す腹痛はすぐに受診
次のステップへ
術後の経過に不安がある方、痛みや出血が続いている方は、手術を受けたクリニックへ早めにご連絡ください。適切なフォローアップが早期回復につながります。
受診の目安:術後7日以上痛みが続く・発熱・出血量が多い場合は受診を優先してください。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状や治療方針については必ず担当医にご相談ください。掲載情報は2025年5月時点のものです。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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