
がんや血液疾患の治療前に妊孕性(妊娠する力)を温存するための治療に、公的な助成金制度があります。対象者・助成額・申請方法を解説します。
この記事のポイント
- 国の妊孕性温存治療研究促進事業による助成額(上限40万円程度)
- 対象となるがんの種類と年齢要件
- 都道府県・市区町村の上乗せ助成制度
- 助成申請の手続きの流れと必要書類
妊孕性温存治療の助成金制度の概要
がんや血液疾患などの治療(化学療法・放射線療法)は生殖機能に影響を与えることがあります。国は2021年度から「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存治療研究促進事業」を開始し、妊孕性温存のための費用を助成しています。上限額は凍結方法・状況によって異なりますが卵子凍結で最大40万円程度が目安です。多くの都道府県・市区町村が国の助成に上乗せした独自の助成金を設けています。
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
制度名 | 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存治療研究促進事業 |
対象疾患 | がん・血液疾患など生殖機能に影響する疾患(医師が必要と判断した場合) |
対象年齢 | 原則として女性は43歳未満、男性は制限なし(都道府県により異なる) |
助成内容 | 卵子・受精卵・精子の凍結保存費用 |
上限額目安 | 卵子凍結:最大約40万円(年間保存費用別途) |
申請窓口 | お住まいの都道府県(または市区町村) |
診療内容と対象となるがん・疾患
乳がん・子宮頸がん・卵巣がん・白血病・リンパ腫などが代表的な対象疾患です。化学療法(抗がん剤)や骨盤への放射線照射は卵巣機能・精子形成に影響することがあるため、がん治療前に妊孕性温存を検討することが推奨されています。妊孕性温存の実施にはがん担当医と生殖医療専門医の連携(がん・生殖医療)が重要です。
口コミ・経験者の声
妊孕性温存治療を受けた方の声では「がんの診断直後で動揺していたが主治医が早めに生殖医療施設を紹介してくれて助かった」という体験談が聞かれます。一方で「助成金の存在を後から知り申請が間に合わなかった」という声もあります。がんの診断後できるだけ早く情報収集することが重要です。
費用目安と都道府県の上乗せ助成
国の助成に加えて、多くの都道府県や市区町村が独自の助成金を設けています。都道府県助成の上乗せ額は5〜20万円程度が多く、市区町村レベルでさらに上乗せしているケースもあります。助成の要件・上限額は自治体によって大きく異なるため、お住まいの自治体窓口または都道府県の担当課に問い合わせることをお勧めします。
受診する際のポイント(申請の手続きの流れ)
基本的な流れは①がん専門医から妊孕性温存治療の紹介状(がんの診断書)を取得→②連携する生殖医療施設に受診→③温存治療の実施→④必要書類を揃えて都道府県に助成申請→⑤助成金の交付です。申請は治療完了後になることが多く、領収書・診断書・施設の治療証明書などが必要です。事前に都道府県の担当窓口に書類一覧を確認しておくとスムーズです。
アクセス・相談窓口
妊孕性温存治療を実施している施設は日本がん・生殖医療学会(JSFP)のウェブサイトで検索できます。がんの担当医に「妊孕性温存を希望したい」と伝え、連携施設への紹介を依頼することが最初のステップです。
よくある質問(FAQ)
Q. がんの診断を受けたらすぐに妊孕性温存を考えるべきですか?
A. がん治療を始める前が温存の最適なタイミングです。がん担当医に早めに希望を伝え生殖医療施設への紹介を依頼することをお勧めします。
Q. 助成金の申請に締め切りはありますか?
A. 都道府県によって申請期限が異なります。治療後できるだけ早めに申請することをお勧めします。詳細はお住まいの都道府県の担当部署に確認してください。
Q. 凍結した卵子・精子はいつまで保存できますか?
A. 施設の規定によりますが、多くの場合は本人が希望する間(または一定の年齢まで)保存可能です。年間保存費用が発生します。
Q. 未婚でも助成金の対象になりますか?
A. 国の事業は婚姻要件を設けていませんが、都道府県の上乗せ助成には条件が異なる場合があります。お住まいの自治体に確認してください。
Q. 温存後に妊娠を試みる場合の費用は助成対象ですか?
A. 凍結胚を用いた移植周期は不妊治療の保険適用や別の助成制度の対象になる場合があります。がんの治療が終了してから改めて医師に相談してください。
まとめ
妊孕性温存治療の助成金はがんや血液疾患の治療を控えた方にとって重要な支援制度です。国の助成(上限約40万円程度)に加え多くの自治体が独自の上乗せ助成を設けています。がんの診断後できるだけ早くがん担当医に妊孕性温存の希望を伝え、連携施設での相談につないでもらうことが大切です。費用・手続きの詳細はお住まいの都道府県の担当窓口にご確認ください。
【免責事項】本記事の助成金情報は執筆時点のものです。制度の詳細・要件・上限額は変更される場合があります。必ずお住まいの自治体または担当医にご確認ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
Next Action

