妊娠糖尿病では、母体と赤ちゃんの健康を守るため、血糖を管理します。食事療法等で目標の血糖に届かない場合には、インスリン治療を加えることがあります。必要性は血糖の経過と本人の状態等から判断します。
妊娠中の血糖が高い状態には、妊娠糖尿病だけでなく、もともとの糖尿病や妊娠中に見つかる明らかな糖尿病も含まれます。治療や出産後の方針が同じとは限らないため、自分の診断と目標を確認してください。糖尿病情報センター:妊娠中の糖代謝異常と管理
始める前に、注射と困ったときの対応を確認します
| 確認したいこと | 診療で相談すること |
|---|---|
| インスリンを勧められた | 血糖の経過、治療の目的、自分の目標と測定の予定を聞く |
| 自己注射を始める | 処方された製剤・器具で手順を練習し、量と時間、保管・針の処理を確認する |
| 冷汗、手のふるえ、動悸等がある | 低血糖の可能性を考え、教わった対処をすぐ行う |
| 食べられない、吐く、打ち忘れた・量を間違えた | 自己流で補正せず、事前の説明に沿って治療先へ連絡する |
| 出産・授乳を迎える | 必要量の変化と低血糖、産後の検査・継続診療を確認する |
血糖の目標と、インスリンを始める理由を聞きます
妊娠中はホルモン等の影響でインスリンが効きにくくなることがあります。国立成育医療研究センターは、食事療法のみで目標血糖を達成できない場合にインスリン療法を加え、妊娠中の薬物治療は原則としてインスリンを使うと説明しています。
検査で病名を決める基準と、日々の治療で目指す値は同じではありません。低血糖のリスク等も踏まえて本人の目標・測定する時刻と回数を確認し、一度の数値だけで注射量を増減しないでください。国立成育医療研究センター:血糖測定とインスリン治療
自己注射は、処方された製剤と器具で練習します
インスリンには種類があり、本人の血糖の変化に応じて選びます。すべての製剤で注射の時刻や使い方が同じとは限りません。処方時に、薬の名前、1回の量、食事との関係、器具の使い方を医師・看護師・薬剤師等と確認してください。
空打ちや注射する部位・方法、針を抜くまでの扱い、保管・持ち歩き、使った針の処理も、製品の説明と診療先の指導で練習します。この記事は特定製剤の手順書ではありません。不安な手順は実物で確認し、他人の単位数や動画をそのまま当てはめません。日本くすりと糖尿病学会:各製剤の適正使用情報に従う原則
低血糖への備えと、周囲に頼むことを決めます
インスリン治療では血糖が下がりすぎる低血糖が起こることがあります。冷汗、手足のふるえ、動悸、強い空腹感等がサインになる場合がありますが、出方には個人差があり、決まった順序で現れるとは限りません。
意識があり安全に飲み込めるときは、あらかじめ教わったブドウ糖等による対処を速やかに行い、その後の確認や連絡も説明に従います。必要なものを携帯し、家族等にも対応を共有してください。数値の測定だけを優先して対処を遅らせないことも大切です。
意識の異常がある、自分で対処できない等の場合は、周囲が救急の対応を求めます。無理に飲食させず、本人のために用意された緊急時の説明に従ってください。国立成育医療研究センター:低血糖の症状と対応、糖尿病情報センター:意識がはっきりしないときの対応
食べられない日や注射の間違いは、自己判断で補いません
食事・体調や注射の記録は、治療を調整する材料になります。吐いて食べられない、血糖が普段と大きく違う、打ち忘れた・量を間違えたときの連絡先と対応を、開始時に聞いておきます。
一律に注射をやめたり、取り戻そうとまとめて打ったりせず、本人向けの指示に従って診療先へ相談してください。妊娠中の運動や食事の調整も、産科の状態と必要な栄養を確認しながら行い、注射を避けるために極端に食事を減らしません。糖尿病情報センター:体調が悪い日の事前相談
出産・授乳で必要量が変わり、産後の再評価も必要です
出産後はインスリンの必要量が速やかに減り、授乳でさらに血糖が下がる場合もあります。妊娠中の量を自己判断で続けたり、全員が中止できると決めたりせず、出産前に産後の調整と測定・低血糖対策を確認してください。糖尿病情報センター:出産後と授乳中の血糖管理
妊娠糖尿病で出産後に血糖が改善しても、その後の糖尿病への注意が必要です。産後のブドウ糖負荷試験等の予約と、その後の検査・生活相談を確認します。入院や退院で担当が変わる場合は、診断・薬と検査の記録を共有してください。
費用と保険の確認
治療の保険適用と自己負担は、病名・治療内容・適用条件によって異なります。高額療養費も診療月・年齢・所得区分等で上限が変わり、先進医療の技術料など保険外の費用は対象になりません。
治療施設には保険・自費の内訳を、加入先の健康保険には自分の上限と申請方法を確認してください。協会けんぽ:高額療養費の対象・診療月別の上限
出典と確認日
2026年10月30日に国立成育医療研究センターと糖尿病情報センターの妊娠(2021年3月)・低血糖(2021年12月)・シックデイ(2025年10月)と、日本くすりと糖尿病学会の適正使用の原則(2026年8月)の採用節を確認しました。
2021年の製剤別研究・販売状況や体重表を2026年の基準にせず、個人の投与量・処方や医学監修を行った記事ではありません。
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免責事項
この記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断や治療の代わりとなるものではありません。個々の症状や状況に応じた判断は、必ず担当の医師にご相談ください。また、治療効果には個人差があります。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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