妊娠中の食事は、食品名だけの「全部禁止リスト」で決めるより、感染を防ぐために加熱するもの、避けるもの、量に注意するものを分けると選びやすくなります。生ハムや加熱していないナチュラルチーズ、加熱不十分な肉、アルコールには特に注意してください。
買う・調理する・食べる前の確認
| 食品・場面 | 確認と選び方 |
|---|---|
| 生ハム、スモークサーモン、加熱していないナチュラルチーズなど | リステリア対策。妊娠中はできるだけ加熱して食べる。冷蔵だけで菌が増えないとは限らない |
| 肉、魚介類 | 食中毒予防のため中心までしっかり加熱。肉の生食や加熱不十分な調理を避ける |
| 魚の種類と量 | 水銀の多い一部の魚に偏らない。すべての魚やマグロ類を一律に除かない |
| アルコール、カフェイン、レバーやサプリ | アルコールは避ける。カフェインとビタミンAは含有量・重複・摂り過ぎに注意する |
加熱しない調理済み食品は、表示と食べ方を確認します
食品安全委員会は、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテ、加熱していないナチュラルチーズなどについて、リステリアの注意を案内しています。リステリアは冷蔵庫のような低温でも増えることがあり、妊娠中の感染は胎児にも影響する場合があります。
チーズは種類と加熱の有無が違います。プロセスチーズと、加熱工程のないナチュラルチーズを同じ条件で扱わず、食品表示の種類別や加熱済み表示を確認してください。「冷蔵していたから安全」「チーズはすべて禁止」と一括りにはできません。食品安全委員会:妊娠の前から気をつけたい食べ物
肉・魚介類は十分加熱し、野菜や果物はよく洗います
加熱不十分な肉はトキソプラズマなどの感染源になることがあります。牛・豚・鶏やジビエには、それぞれ食中毒を起こす微生物が含まれる場合もあります。肉は中心まで火を通し、生肉を扱った後は手を洗います。
魚介類にも細菌・ウイルス・寄生虫による食中毒の可能性があるため、十分な加熱が予防になります。生で食べる野菜や果物は、安全な水で土などをよく洗い落としてください。加熱の条件は微生物で異なり、見た目だけや一つの温度で全食品の安全を保証するものではありません。
魚は種類を選び、偏らず食べます
魚はたんぱく質などの供給源です。妊娠中に注意するメチル水銀は、主に一部の大きな魚の食べる量・頻度の問題であり、すべての魚を除く理由にはなりません。水銀への注意と、十分加熱する食中毒対策は別々に考えます。
食品安全委員会の案内では、サケ、アジ、サバ、イワシ、キハダ、ビンナガ、ツナ缶などは、水銀について特別な注意が必要な魚には挙げられていません。ほかの食品と組み合わせ、同じ魚ばかり食べ続けないようにします。
水銀の多い魚の具体的な量・頻度は、同ページから案内されている厚生労働省の魚の注意事項で、魚の名前ごとに確認してください。
アルコールと、カフェイン・ビタミンAは分けて考えます
アルコール飲料は妊娠中に避けてください。食品安全委員会は、妊娠が分かってから授乳終了まで避けるよう案内しています。食事に合わせた少量なら安全という保証はできません。
カフェインはコーヒーだけでなく、お茶、エナジードリンクなども合計して確認します。含有量は製品や一杯の量によって異なります。公式資料が紹介する海外機関の妊婦の目安にも200mg/日や300mg/日などの違いがあり、「コーヒーは必ず二杯まで」という一律の換算はできません。
水や麦茶などに置き換え、飲み物の表示や量を確認しましょう。
レバーやサプリメントに含まれるビタミンAは摂り過ぎに注意します。特に鶏・豚のレバーはなるべく控え、複数のサプリの成分が重なっていないか確認してください。野菜のβ-カロテンを同じ理由で避ける必要はありません。一度多く食べたことだけで胎児への影響を断定することもできません。
食べてしまって心配なとき
食べたという事実だけで感染や胎児への影響が決まるわけではありません。食品名や商品表示、量、食べた日時、加熱の有無、症状を整理し、心配なときは産婦人科などへ相談してください。
発熱、強い腹痛、下痢・嘔吐など体調の異常がある場合は、通常の健診まで待たず連絡します。水分がとれないなど強い不調も伝えてください。
不安から食べられる食品を次々に減らさず、食事の制限がある病気やつわりがある場合は、担当医・管理栄養士と相談します。この記事は、個別の感染や栄養状態を診断するものではありません。
出典と確認日
2026年10月27日に、食品安全委員会の妊娠前後の食品安全資料の採用部分を確認しました。同ページの2026年7月24日の一部修正は参考リンクの更新です。すべての食品・製品の安全性の検証や、本記事の個別の医師監修ではありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。