【この記事のポイント】
- 不妊の原因の約半数は男性側に存在。早期検査と治療で改善する可能性が高い
- 治療は精液所見・原因疾患別に異なる。生活改善・薬物療法・手術・体外受精/顕微授精まで選択肢豊富
- 無精子症でもTESE/Micro-TESEで精子採取できる場合があり、諦める必要はない
「男性不妊と言われた」「治療で改善する?」——男性不妊は原因が特定できれば治療可能なケースが多い領域です。本記事では原因別の治療法を体系的に整理します。
男性不妊の主な原因
造精機能障害(最多)
- 特発性(原因不明)
- 精索静脈瘤
- 精巣機能低下
- ホルモン異常
精路通過障害
- 閉塞性無精子症
- 射精管閉塞
性機能障害
- ED(勃起不全)
- 射精障害
副性器の異常
- 前立腺炎
- 精嚢腺の異常
治療の前提:原因特定
治療方針は原因により異なります。まず以下の検査で原因を特定します。
基本検査
- 精液検査(数・運動率・形態)
- ホルモン検査(FSH、LH、テストステロン)
- 陰嚢超音波
- 精巣容積測定
必要に応じて
- 染色体検査
- Y染色体微少欠失検査
- 射精後尿検査
治療オプション一覧
軽度〜中度の造精機能障害
治療 | 適応 | 効果 |
|---|---|---|
生活改善 | 全例 | 精液所見改善の可能性 |
サプリメント(抗酸化剤等) | 軽度異常 | 精子DNA損傷軽減 |
ホルモン療法 | ホルモン異常 | 適応症例で有効 |
漢方薬 | 全般 | 補助療法 |
中度〜重度
治療 | 適応 | 効果 |
|---|---|---|
精索静脈瘤手術 | 精索静脈瘤あり | 60〜70%で精液改善 |
体外受精・顕微授精 | 上記でも妊娠せず | 高い妊娠率 |
TESE/Micro-TESE | 無精子症 | 30〜50%で精子採取 |
生活改善
エビデンスのある改善策
- 禁煙
- 適度な飲酒(過度な飲酒を避ける)
- 適正BMI維持
- 適度な運動
- ストレス管理
- 高温環境を避ける(サウナ・長時間の入浴)
- 下着は通気性の良いものを
食事
- 抗酸化食品(野菜・果物)
- 亜鉛・葉酸・ビタミンE・コエンザイムQ10
- 加工食品の制限
効果が出るまでの期間
精子は約3ヶ月かけて作られるため、生活改善の効果判定は3ヶ月後に行います。
薬物療法
ホルモン療法
#### 性腺刺激ホルモン療法
適応: 下垂体・視床下部性の機能低下薬剤: hCG・hMG・FSH製剤効果: 適応症例で精液所見改善
#### 抗エストロゲン薬(クロミフェン等)
適応: 軽度のホルモン異常効果: テストステロン上昇
サプリメント・抗酸化療法
ビタミンC・EコエンザイムQ10L-カルニチン亜鉛葉酸
精子DNA損傷の軽減効果が報告されています。
漢方薬
- 補中益気湯
- 八味地黄丸
- 牛車腎気丸
体質・症状に応じて選択。3ヶ月以上の継続服用で評価します。
精索静脈瘤手術
精索静脈瘤とは
精索静脈の異常拡張で、精巣温度上昇や酸化ストレスにより造精機能を低下させます。男性不妊の最も一般的な治療可能原因です。
手術方法
- 顕微鏡下低位結紮術(Microsurgical varicocelectomy)
- 腹腔鏡下手術
- 経皮的塞栓術
効果
- 精液所見改善: 60〜70%
- 妊娠率向上: 自然妊娠率上昇の報告
- 体外受精成績の改善
適応
- 触診可能な精索静脈瘤
- 精液所見異常
- 妊娠を希望
無症状でも妊娠希望があれば手術検討の価値があります。
無精子症の治療
閉塞性無精子症
- 精路の閉塞が原因
- 精巣で精子は作られている
- 精路再建術または精子採取で対応
非閉塞性無精子症
- 精巣での造精機能低下
- TESE/Micro-TESEでの精子採取を試みる
TESE(精巣内精子採取術)
- 精巣組織を採取して精子を探す
- 局所麻酔または全身麻酔下
Micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)
- 顕微鏡で精細管を観察しながら精子のある部分を採取
- TESEより成績向上
- 非閉塞性無精子症で精子採取率30〜50%
採取できた精子で顕微授精を行います。
性機能障害の治療
ED(勃起不全)
- 薬物療法: PDE5阻害薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス等)
- 心理的アプローチ
- 生活改善
射精障害
- 逆行性射精: 薬物療法、射精後尿からの精子採取
- 無射精: 振動刺激・電気刺激
- 心因性: カウンセリング
生殖補助医療への移行
顕微授精(ICSI)
精子1つを直接卵子に注入する方法。重度の男性不妊でも妊娠が可能になります。
適応
- 重度の精液所見異常
- TESE/Micro-TESEで採取した精子
- 通常の体外受精で受精しなかった
妊娠率
卵子の状態・年齢に依存しますが、女性35歳未満で1周期30〜40%程度。
男性不妊の治療を受ける場所
一般婦人科・不妊治療クリニック
基本検査・軽度治療まで対応
泌尿器科(男性不妊外来)
- 精索静脈瘤手術
- TESE/Micro-TESE
- 詳細なホルモン評価
男性不妊専門医
日本生殖医学会の生殖医療専門医(泌尿器科)が在籍する施設が望ましい
カップルで治療を進める場合、女性側のクリニックと男性不妊専門医の連携体制を確認すると良いです。
治療成功のポイント
早期診断
原因特定が早いほど治療選択肢が広がります。
カップルでの取り組み
男性不妊治療は女性側の不妊治療と並行することが多いため、カップルでの理解と協力が重要です。
適切な専門医選び
特に手術やTESEは経験豊富な専門医での実施が成績に影響します。
生活改善の継続
薬物療法・手術と並行して生活改善も継続することで効果が最大化します。
FAQ
Q1. 男性不妊は治る病気ですか?
A. 原因により異なります。精索静脈瘤等の治療可能原因なら大幅改善が期待でき、原因不明でも生殖補助医療で妊娠可能なケースが多いです。
Q2. 治療期間はどのくらい?
A. 生活改善・薬物療法は3ヶ月単位で評価。精索静脈瘤手術後の改善は3〜6ヶ月、TESE/Micro-TESEは1回の処置で評価します。
Q3. 男性不妊治療の費用は?
A. 保険適用範囲が拡大しています。精索静脈瘤手術・TESE/Micro-TESEも保険適用の場合があります。
Q4. 治療しても精液所見が改善しない場合は?
A. 顕微授精(ICSI)への移行を検討します。重度の精液所見異常でも妊娠可能です。
Q5. パートナーの女性側にも検査は必要?
A. 必要です。男女両方を同時に検査することで、最適な治療方針が決まります。
まとめ
男性不妊は原因特定・適切な治療で多くの方が妊娠に至る疾患です。早期の検査と生殖医療専門医での治療がポイントになります。「諦めない」姿勢で取り組むことが、最終的な妊娠成立に繋がります。
次のステップ
免責事項: 個別治療は医師にご相談ください。 監修: PLACEHOLDER(生殖医療専門医・泌尿器科専門医) 最終更新日: 2026-05-15 参考文献: 日本生殖医学会、日本泌尿器科学会、EAU男性不妊診療ガイドライン
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EggLink編集部
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