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採卵後の出血が止まらない場合の対応|正常な出血と受診が必要な症状

2026/4/19

採卵後の出血が止まらない場合の対応|正常な出血と受診が必要な症状

採卵後の出血が止まらない場合の対応|正常な出血と受診が必要な症状

採卵後の出血が続いているとき、「これは正常な範囲?」「すぐ病院に行くべき?」と判断に迷うことは少なくありません。採卵後の出血は多くの場合、処置に伴う一時的なものです。しかし一部では内出血や卵巣損傷を示すサインである場合もあり、症状のパターンで早期に見極めることが重要です。

この記事では、正常な出血と受診が必要な出血の違いを量・色・持続時間・随伴症状の4軸で解説し、今すぐ取るべき行動をフローチャートで示します。深夜・休日でも使える相談窓口の情報も掲載しています。

【この記事のポイント】

  • 採卵後に少量の出血(生理2日目以下)が1〜3日続くのは、ほぼ正常な範囲。
  • 多量出血・強い腹痛・立ちくらみが重なる場合は、内腹膜出血の可能性があり当日受診が必要
  • 「血の塊が出る」「熱・悪臭を伴う」は感染や器質的問題のサイン。72時間以内に受診する。

【今すぐ確認】採卵後の出血:3ステップ判断フローチャート

採卵後の出血で最初にすべきことは、量・痛み・全身症状の3つを同時に確認することです。どれか1つでも「赤信号」に当てはまれば、即日クリニックまたは救急に連絡してください。以下のフローチャートで30秒で判断できます。

STEP 1:出血量を確認する

出血の量

目安

判定

少量〜中等量

ナプキンの交換が1〜2時間に1回以下

経過観察でよい可能性あり

多量

1時間でナプキン1枚以上ひたひたになる

→ STEP 2へ(要注意)

超多量または血塊

500円硬貨より大きい血の塊が出る

今すぐ連絡

STEP 2:痛みと全身症状を確認する

出血量が「多量」以上の場合、または量が少なくても以下に1つでも当てはまる場合は今すぐ担当クリニックまたは救急へ連絡してください。

  • 下腹部に刺すような強い痛みがある(鎮痛剤が効かない)
  • 立ち上がると立ちくらみ・ふらつきがある
  • 顔色が青白い、冷や汗が出る
  • 体温38.0℃以上の発熱がある
  • 出血に強い悪臭がある

STEP 3:夜間・休日の場合

  • クリニックに緊急連絡先が記載された書類がある場合:まずその番号に電話。採卵後24時間は担当医が対応できる体制を取っているクリニックが多い。
  • 書類がない・つながらない場合:救急相談窓口(下記)を利用する。
  • 意識が朦朧とする・激しい腹痛で動けない場合:119番に迷わず電話する。

24時間対応の相談窓口

  • #7119(救急安心センター):全国対応、24時間。「採卵後に出血が続いている」と伝えると緊急度を判断してもらえる。
  • ♯8000(子ども医療電話相談):女性の体の相談にも対応(夜間・休日)。
  • 担当クリニックの緊急連絡先:採卵同意書または退室時に配布された書類に記載されていることが多い。

やってはいけない!採卵後の出血で絶対NGな4つの行動

採卵後の出血への誤った対応が、内腹膜出血の悪化や感染のリスクを高める場合があります。以下の4つは状況にかかわらず避けてください。

NG1:「少し様子を見よう」で12時間以上放置する(多量出血時)

多量出血が続く状態で自己判断で数時間我慢することは危険です。卵巣から腹腔内への出血(腹腔内血腫)は急速に進行する場合があり、血圧低下→ショック状態に至るリスクがあります。「出血が止まりそう」に見えても、腹腔内に血液が貯留しつつある可能性があります。

NG2:市販の鎮痛剤(NSAIDs)を服用する

ロキソプロフェン・イブプロフェンなどNSAIDs系の鎮痛剤は血小板機能を抑制し、出血を助長する可能性があります。「痛みを和らげようと」服用するのは逆効果になりかねません。クリニックで処方された鎮痛剤以外は服用しないことが原則です。

NG3:入浴・サウナで体を温める

採卵当日〜翌日の入浴(湯船への浸かり)は、血管拡張により出血量が増える可能性があります。シャワーのみとし、長時間の温浴や岩盤浴・サウナは少なくとも出血が落ち着くまで避けてください。クリニックの指示を優先します。

NG4:性行為・タンポンの使用

採卵後は腟壁・子宮頸部に微細な傷がついている状態です。腟内に異物を挿入すると感染リスクが高まります。出血が完全に治まったとクリニックから確認されるまで、タンポン・月経カップも使用しないでください。

採卵後の「正常な出血」とは?量・色・期間の目安

採卵後の出血のほとんどは、膣壁穿刺(経腟超音波ガイド下採卵針の刺入)に伴う一時的なもので、1〜3日以内に自然に治まります。正常範囲を理解しておくと、過度な不安を防ぐことができます。

量の目安

  • 生理1〜2日目程度の出血量が数時間〜1日続く場合:正常の範囲内と考えられます。
  • 茶色いおりもの程度の少量が2〜3日続く場合:古い血液が排出されているもので問題ないことが多い。
  • 生理3日目以降のような出血が3日以上続く場合:クリニックへ連絡して確認を。

色の目安

出血の色

考えられる状態

対応

鮮紅色(明るい赤)

新鮮な出血。少量なら正常範囲のことが多い

量が増えたら連絡

暗赤色・茶色

古い血液。採卵後2〜3日目に多い

経過観察で問題ないことが多い

黄色〜緑がかった分泌物

感染の可能性

72時間以内に受診

大量の鮮血が持続

血管損傷・腹腔内出血の可能性

今すぐ連絡

「いつまで出血が続くか」の目安

日本産科婦人科学会の資料および国内主要クリニックの患者向け説明資料では、採卵後の腟出血は通常24〜72時間以内に収束するとされています。4日以上続く出血は、クリニックに連絡して指示を仰ぐことが望まれます。

今すぐ受診すべき「危険サイン」チェックリスト

以下のいずれか1つでも当てはまる場合は、経過観察ではなく当日または翌日中の受診が必要です。複数当てはまる場合は救急搬送も選択肢に入れてください。

即日受診・救急レベル

  • 出血量が急増している、または1時間でナプキン1枚以上
  • 強い腹痛(動くのがつらい、横になっても治まらない)
  • 立ち上がった際の立ちくらみ・意識が遠のく感覚
  • 血圧が普段より大幅に低い(自宅に血圧計がある場合)
  • 顔色が蒼白で冷汗が止まらない

72時間以内に受診

  • 38.0℃以上の発熱が続いている
  • 出血に悪臭・膿のような変色がある
  • 4日以上、生理2日目以上の出血が続いている
  • 腹部の張り・圧痛が増している

【独自視点】見落とされがちな危険サイン:卵巣静脈血栓症

採卵後に比較的まれではあるものの報告されているのが、卵巣静脈血栓症(OVT)です。出血量は多くない、あるいはほとんどないにもかかわらず、右側または左側の腹部から腰にかけての持続的な鈍痛・発熱が続く場合に疑われます。OVTは一般的な出血のスクリーニング(超音波)では見落とされやすく、CTやドプラ超音波が必要なことがあります。

「出血は少ないが腹痛と発熱が3日以上続く」というパターンは、担当医にOVTの可能性を具体的に伝えて検査を依頼することが適切です。これは他の一般的なサイト情報ではほぼ触れられていない重要なポイントです。

採卵後に出血が起きる原因と、次回採卵時への対策

採卵後の出血が生じるメカニズムを理解しておくと、「なぜ自分だけ出血が続くのか」という不安が軽減されます。また次回採卵に向けた改善点の相談材料にもなります。

主な原因

原因

詳細

頻度

腟壁穿刺部位からの出血

採卵針の刺入口から少量出血。ほぼ全例で起きるが自然止血する

非常に多い

卵巣からの出血

採卵針が卵胞を穿刺した際に卵巣表面の血管を傷つける

比較的多い

腹腔内出血

卵巣や骨盤内血管が傷つき腹腔内に出血が広がる

0.1〜0.5%程度

子宮内膜への影響

過排卵刺激による内膜の変化、黄体ホルモン変動による不正出血

まれ

子宮内感染(子宮内膜炎)

採卵処置を契機とした細菌感染

0.1%未満

次回採卵時に担当医へ伝えるべきこと

  • 今回の出血の持続期間・量・色を記録しておく(スマートフォンのメモで可)
  • 抗凝固薬・抗血小板薬を服用している場合は必ず申告する
  • 以前の採卵でも同様の出血があった場合はその旨を伝える
  • 採卵数が多かった(10個以上)場合は卵巣腫大のリスクがあるため観察期間延長を相談する

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と出血の関係を知っておく

採卵後の出血が続く場合、OHSSが同時に進行していることがあります。OHSSは腹水貯留・卵巣腫大を伴う合併症で、採卵後3〜7日をピークに症状が現れることが多いとされています。

OHSSと出血が重なるときの判断ポイント

  • 出血とともに腹部の張り・膨満感が急増している
  • 尿量が著しく減っている(半日以上ほとんど尿が出ない)
  • 体重が採卵後2〜3日で2kg以上急増している
  • 息苦しさ・呼吸困難感がある

OHSSが中等度以上に進行している状態で腹腔内出血が重なると、血圧・循環状態が不安定になるリスクがあります。「出血+お腹の張り」が同時にある場合は、出血の量にかかわらず早めにクリニックへ連絡してください

OHSS予防のために採卵前に確認できること

AMH値が高い・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断がある・前回の採卵でOHSSになったことがある方は、担当医にOHSSリスクを事前に相談することが大切です。プロトコルの変更(GnRHアゴニストトリガーへの切り替えなど)により、リスクを下げられる場合があります。

採卵後に不安が続くときの心がまえと情報の取り方

採卵後は身体的な不調と並行して、精神的な緊張・不安が強くなりやすい時期です。「出血が続いている」という事実が気になって、次の移植に向けた準備に集中しにくいと感じる方も少なくありません。

担当医への正確な状態報告の方法

電話で状況を伝える際は、以下の情報を事前にメモしておくと担当医が緊急度を判断しやすくなります。

  • 採卵日(何日前か)
  • 現在の出血量(ナプキン交換の頻度)
  • 出血の色(鮮血・茶色・混濁)
  • 痛みの有無と部位(右腹部・左腹部・下腹部全体など)
  • 体温(計測している場合)
  • OHSSの既往・採卵数(わかる場合)

「大丈夫かな」という不安への対処

症状が経過観察の範囲内と判断できても、不安が続く場合はクリニックへ電話で確認を取ることをためらわないでください。医療機関は「気になること」への相談を歓迎しています。一方で、深夜に症状がない状態で過度に検索を繰り返すことは不安を増幅させることが多いため、まず担当医の連絡先を手元に置いておくことが最も安心に近道です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 採卵後、何日間出血が続くと異常ですか?

一般的には採卵後24〜72時間以内に出血が落ち着くことが多いとされています。4日以上、生理2日目以上の出血量が続く場合は担当クリニックへ連絡し、確認を取ることが適切です。少量の茶色いおりものであれば、1週間程度続くことがある場合もありますが、症状が変化した際は迷わず相談してください。

Q2. 採卵後の出血に腹痛が伴っていますが、様子を見ても良いですか?

出血+腹痛の組み合わせは、腹腔内出血の可能性を考慮する必要があります。痛みが我慢できる程度で出血量が少量であれば数時間経過を見ることも考えられますが、痛みが強くなる・立ちくらみが出る・出血が増えるなど症状が悪化する場合は当日中に連絡してください。

Q3. 採卵後に茶色いおりものが出ています。これは正常ですか?

茶色いおりものは古い血液が排出されているサインで、採卵後2〜4日目によく見られます。悪臭がなく、出血量の増加もなければ経過観察でよいことがほとんどです。ただし5日以上続く場合や、黄緑色に変化した場合は感染の可能性があるため受診を検討してください。

Q4. 採卵後の出血で入浴はできますか?

採卵当日〜翌日は湯船への入浴は避け、シャワーのみとするよう指示しているクリニックが多いとされています。出血が完全に止まり、担当医からOKが出てから湯船に入るようにしてください。温度の高いお風呂は血管を広げ、出血量の増加につながる場合があります。

Q5. 採卵後の出血で、仕事や日常生活はどの程度制限されますか?

出血が少量で痛みがない場合、採卵翌日から軽い事務作業程度は可能なことが多いとされています。一方で、長時間の立ち仕事・重い荷物を持つ作業・激しい運動は出血が落ち着くまで避けることが推奨されます。具体的な復帰時期については担当医の指示を優先してください。

Q6. 採卵後に出血以外に発熱も出ています。どうすれば良いですか?

採卵後の発熱(38.0℃以上)は感染・炎症のサインである可能性があります。出血を伴う場合は特に注意が必要で、発症から72時間以内に担当クリニックへ連絡・受診することが適切です。休日・夜間で連絡が取れない場合は#7119(救急安心センター)に電話して指示を仰いでください。

Q7. 採卵後に血の塊が出ました。すぐに救急に行くべきですか?

500円硬貨より大きい血の塊が出た場合、または複数の塊が連続して出る場合は、当日中に担当クリニックへ連絡することが推奨されます。腹痛・立ちくらみが同時にある場合は救急受診が適切です。塊の大きさと痛みの程度を合わせて判断してください。

まとめ:採卵後の出血、判断のキーポイント

採卵後の出血は処置に伴う自然な反応であることがほとんどですが、「多量・強い痛み・全身症状」が重なる場合は迅速な対応が必要です。

  • 1〜3日以内に収まる少量の出血→正常範囲として経過観察が考えられる。
  • 多量出血・腹痛・立ちくらみの三徴が揃う→当日中に担当医または救急へ連絡する。
  • 発熱・悪臭・血塊→72時間以内の受診を検討する。
  • 出血量は少なくても右腹部の持続痛+発熱→卵巣静脈血栓症を念頭に検査を依頼する。

判断に迷う場合は「まず#7119または担当クリニックの緊急連絡先に電話する」が最も安全な行動です。一人で抱え込まず、専門家への確認を積極的に活用してください。

採卵後の出血が心配なら、まず担当クリニックへ

症状が経過観察の範囲内かどうか、最終的に判断できるのは担当医だけです。「大げさかな」と思わず、迷ったら連絡することが最善です。

  • 夜間・休日の緊急相談:#7119(救急安心センター)
  • 担当クリニックの緊急連絡先を今すぐ手元に用意する
  • 次回の診察で「今回の出血について詳しく聞きたい」と伝える

【免責事項】
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。記載内容はあくまで参考情報であり、個々の症状に対する判断は必ず担当医師にご相談ください。採卵後の症状については、治療を受けているクリニックの指示を最優先としてください。記事内の情報は執筆時点(2026年4月)の知見に基づいていますが、医学的知見は更新されることがあります。

【参考文献・出典】

  • 日本産科婦人科学会「生殖補助医療の安全な実施に関するガイドライン」
  • Humaidan P, et al. "Ovarian hyperstimulation syndrome: pathophysiology, management and prevention." J Assist Reprod Genet. 2016.
  • ESHRE(欧州ヒト生殖学会)「Ovarian stimulation for IVF/ICSI: guideline」2020年版
  • Bergh C, et al. "Complications of IVF." Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2012.

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28