男性不妊で人工授精(IUI)を検討するとき、精子濃度や運動率の一つの値だけで「できる・できない」を決めるものではありません。精液量や動く精子の数、処理前後の所見、パートナーの条件と治療歴を合わせて相談します。
結果票では、どの項目と単位かを確認します
| 項目 | 区別するポイント |
|---|---|
| 精子濃度 | 精液1mLあたりの精子数。射精された全体の数とは異なる |
| 総精子数 | 精液全体の精子数。運動率の百分率と混同しない |
| 運動率 | 精子が動く割合。総運動率と前進運動率の違いも確認する |
| 総運動精子数 | 動く精子の数を評価する情報。処理前か、人工授精に用いる処理後かを確認する |
精液検査の参考値は、人工授精の可否を一律に判定する合格線ではありません。数値だけをインターネットの表へ当てはめず、本人の検査方法と採取条件、複数回の結果を確認してください。
人工授精は、精液を処理して子宮内へ入れる治療です
IUIは、精液を処理して得た精子を排卵の時期に合わせて子宮内へ注入する治療です。卵子へ直接精子を注入する顕微授精とは異なります。人工授精をすれば、精子の問題がすべて解消するという意味ではありません。
AUA/ASRMのPart IIは、繰り返しの精液検査で総運動精子数が低い場合にはIUIの成功率が低くなる可能性を説明し、体外受精・顕微授精なども検討するとしています。処理後の動く精子の数と、本人たちの条件でどの程度の見通しがあるかを聞きます。AUA/ASRM:IUIと総運動精子数の考え方
結果が悪い場合も、検査だけで原因は確定しません
精液所見は同じ人でも変動することがあります。国内2024年ガイドラインは、複数回の精液検査の結果で判断し、病歴や診察、必要に応じた血液・画像検査などで評価する考え方を示しています。
採取できなかった分がある、持参までの時間が長くなった、体調や薬の変化があるなどは、検査施設へ伝えてください。再検査の条件は施設から確認し、検査のために一律に生活改善の数か月を待つと決めないでください。男性不妊症診療ガイドライン2024年版:診察と精液検査
続けるか、別の治療を検討するか
男性側の原因への治療が可能か、パートナーの年齢や卵管・排卵などの状態、これまでのIUIの経過を確認します。IUIを全員同じ回数続けたり、一つの濃度だけで顕微授精へ進めたりするものではありません。
提案された方法について、妊娠・出生の見通し、費用・通院・身体的負担、うまくいかない場合の見直し時点を聞きます。成績の分母が治療1回か治療を受けた人の数か、妊娠か出生かも確認してください。
次の診察で聞きたいこと
- 今回の結果は処理前か処理後か、動く精子の数をどう評価しているか
- 男性側で原因を調べる診察や、治療できる問題はあるか
- 本人たちにIUIを提案する理由と、別の選択肢は何か
- 次の結果を踏まえ、どの時点で治療計画を見直すか
参考資料と確認日
2026年10月29日に採用したページ・節を確認しました。精液所見の一律の下限や個人の妊娠率を指定する記事ではなく、本記事の個別の医師監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。