不妊治療の血液検査は、全員が同じ項目を同じ日に受けるものではありません。月経や排卵の確認、卵巣刺激への反応の見通し、治療中の経過、妊娠の判定など、目的によって項目と採血日が変わります。まず「今回、何を調べるための採血か」を確認しましょう。
代表的な項目と、結果を見るときの注意
| 項目 | 目的と限界 |
|---|---|
| FSH・E2など | 月経や排卵の問題、卵巣の状態の評価などに使う。月経周期・薬・ほかの結果と合わせる |
| プロゲステロン | 適切な時期の値は排卵の確認に役立つ。単回の値で黄体期の質を判定しない |
| プロラクチン・TSHなど | 月経や乳汁分泌、甲状腺に関わる症状などから必要性を判断する。全員必須ではない |
| AMH | 卵巣に残る卵子の数の目安や、刺激への反応を考える材料。質や妊娠の可否は判定できない |
| 血中hCG | 妊娠反応・経過の確認に使う。値だけで妊娠の場所や継続を確定しない |
表は検査を全部受けるための一覧ではありません。病歴や診察、すでに受けた検査、治療の段階を踏まえて選びます。血液検査だけで卵管の通り、子宮内の形、精液の状態を直接調べることはできません。
採血日は、項目と調べたいことに合わせます
基礎のホルモンを確認する採血と、排卵後・薬を使用中の採血では、結果を読む条件が違います。FSHやE2を月経の早い時期に測る場合もありますが、無月経などでは目的に応じて別に計画します。すべての採血を月経2〜5日目にまとめればよい、というものではありません。
ASRM2026は、排卵確認のためのプロゲステロン測定を、特定の周期日で固定せず、次の月経予定のおよそ1週間前に行うことを説明しています。値は短時間でも変動するため、単回の値で黄体期の質を評価できません。「一定値以上なら黄体機能は正常」と採点するものではありません。
月経開始日の数え方や検査日が分からない場合、指定日に来られない場合は、施設へ連絡して予定を決めます。ASRM2026:排卵・ホルモンの評価
プロラクチン・TSHも、必要な状況で調べます
ASRM2026は、プロラクチンを不妊評価の全員必須にはせず、乳汁分泌、月経が少ない・来ないなどの場合に調べるとしています。TSHも排卵や甲状腺に関わる症状などを踏まえて考えます。
検査が多いほど必ず原因が見つかるわけではありません。追加の採血を提案されたら、どの症状や所見から必要と考えるのか、結果が治療をどう変えるかを確認してください。高い・低いだけで、薬を使う・不妊の原因が確定したとは決められません。
AMHは、卵子の質や妊娠の合否を測る検査ではありません
AMHや超音波で見るAFCは、卵巣を刺激した際の反応や採卵数の見通しに役立つことがあります。一方、自然妊娠できるか、卵子の質がどうか、将来いつ閉経するかを、AMHの値だけで判定するものではありません。
同じ年齢でも幅があり、測定法や薬の影響も考慮します。全員共通の正常範囲を示して、範囲外ならすぐ体外受精と結論づけません。低い値だけで治療を受けられないと考える必要もありません。ASRM2020:卵巣予備能の検査と解釈
採血前の食事と薬は、自己判断で変更しません
絶食が必要か、何時に受けるか、運動やサプリメントの扱いなどは検査によって異なります。処方薬・市販薬・サプリメントを伝え、検査のために薬を止める必要があるかは医師に確認してください。指示通りに準備できなかった場合も、隠さず伝えて相談します。MedlinePlus:検査前の準備
採血で気分が悪くなった経験、血が止まりにくいこと、発熱などの体調変化、月経開始日や妊娠の可能性も伝えます。採血後は施設の指示で圧迫し、気分の不良や出血が続く場合はスタッフへ声をかけてください。
結果説明では、次に何を確認するかまで聞きます
- 項目名・値・単位・検査機関の基準範囲。採血日と周期・薬との関係。
- 今回分かったことと分からないこと。再検査が必要な理由と時期。
- 画像やパートナーの評価など、採血以外に必要な確認。
- 選べる治療と、変更する場合の理由・負担・費用。
hCGを測定している場合は、治療薬の使用も共有し、必要な超音波や経過確認を受けます。NICEは、妊娠の場所が未確定の場合、hCGだけで場所を決めず症状を重視すると説明しています。痛み・出血などが変わったときの連絡先も確認してください。NICE:妊娠の場所が未確定の場合の評価
結果が出る日、保険と自費の扱い、診察・追加検査を含む費用は項目と条件で違います。全員同じ一式料金や完了周期は示していません。検査結果から治療法を一つに決めず、全体の評価と本人の希望を合わせて相談しましょう。
出典と確認日
2026年10月26日に、ASRM2026の排卵・内分泌評価、ASRM2020の卵巣予備能、MedlinePlusの準備、NICEのhCGの採用節を確認しました。全検査の正常値一覧や、個々の治療を決める指示ではありません。医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。