
この記事のポイント
- 頸管粘液検査(シムズテスト)は、排卵期の子宮頸管粘液の量・性状・精子適合性を評価する不妊検査
- 頸管粘液が少ない・精子が通過しにくい状態は「頸管因子不妊」の原因になり得る
- 検査は月経周期の排卵期(通常12〜16日目)に実施、内診と同程度の短時間処置
- シムズテストとPCT(性交後検査)は関連する検査だが、目的が異なる
頸管粘液検査(シムズテスト)とは
頸管粘液検査は、子宮頸管から分泌される粘液(頸管粘液)の性状を評価する不妊検査です。排卵期には頸管粘液が透明・糸を引くように変化し、精子が子宮内に進入しやすくなります。この粘液が少ない・粘稠度が高い・pH異常などがある場合、精子の通過が妨げられ不妊の原因になることがあります。
「シムズテスト」という名称は、19世紀の産婦人科医J.マリオン・シムズに由来し、粘液の採取・観察法を系統化したことにちなんでいます。日本の不妊検査では標準的な検査の一つとして実施されています。
検査の基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
検査名 | 頸管粘液検査、シムズテスト、Sims-Hühner test |
実施時期 | 排卵期(月経周期12〜16日目が目安) |
痛み | 内診と同程度、ほぼなし |
所要時間 | 採取:5〜10分、結果:即日〜数日 |
保険適用 | あり(3割負担で約500〜1,500円) |
何を評価するか:検査項目の詳細
頸管粘液検査では、採取した粘液を以下の観点から評価します。スコアリングシステム(インスラー・スコア)を使用してスコア10点を満点として評価するクリニックもあります。
インスラー・スコアの評価項目
評価項目 | 良好な状態 | 不良な状態 |
|---|---|---|
粘液量 | 0.3mL以上 | 0.1mL未満 |
粘稠度 | さらさら・水様性 | 粘稠・弾力なし |
糸引き性 | 10cm以上伸びる | 糸引きなし〜5cm未満 |
シダ状結晶 | 鮮明なシダ状結晶あり | 結晶なし〜不鮮明 |
子宮口の開き | 2mm以上開大 | 閉鎖〜1mm未満 |
検査を受けるタイミング
頸管粘液検査は排卵期に実施します。基礎体温・排卵検査薬・超音波検査で排卵日を推定し、排卵の1〜2日前に来院することが理想です。排卵後は粘液の性状が変化するため、タイミングを外すと正確な評価が得られません。
排卵期の確認方法
- 超音波検査:最も正確。卵胞径18〜22mmで排卵が近いと判断
- 排卵検査薬(LHサージ):陽性後24〜36時間以内に排卵することが多い
- 基礎体温:最低体温日の前後が排卵日の目安(精度は低め)
頸管粘液が不良な場合の原因と対処
頸管粘液が不良な場合(量が少ない・精子が通過しにくい状態)にはいくつかの原因が考えられます。原因に応じた治療・対処が可能です。
不良な頸管粘液の主な原因
- ホルモン異常:エストロゲン不足により粘液分泌が減少。ホルモン補充療法が有効な場合がある
- 抗精子抗体:精子を攻撃する免疫反応。人工授精(AIH)への移行が推奨されることが多い
- クラミジア感染の後遺症:頸管炎・瘢痕化で粘液分泌が障害される
- 子宮頸部の手術歴:円錐切除術・LEEP術後に頸管粘液分泌が減少することがある
- クロミフェン(排卵誘発剤)の副作用:クロミフェンは頸管粘液を減少させる作用があり、AIHへの移行が検討される
シムズテストとPCTの違い
頸管粘液検査(シムズテスト)とPCT(性交後検査)はどちらも頸管粘液に関連した検査ですが、目的と実施方法が異なります。セットで実施されることもあります。
比較項目 | 頸管粘液検査(シムズテスト) | 性交後検査(PCT) |
|---|---|---|
性交渉の有無 | 不要 | 必要(検査前に性交渉) |
評価対象 | 粘液の性状・量・シダ結晶 | 粘液内の精子の数・運動性 |
目的 | 頸管粘液の質の評価 | 精子と粘液の相性の評価 |
所要時間 | 5〜10分 | 性交渉後2〜12時間以内に来院 |
よくある質問
Q. 頸管粘液検査の結果が不良でも自然妊娠できますか?
可能性はあります。頸管粘液が若干不良でも、精子の質が高ければ妊娠に至るケースもあります。ただし、検査結果が著しく不良な場合(量が極端に少ない・精子通過が確認できない)は、医師と治療方針を相談することが推奨されます。
Q. クロミフェンを使用していますが、頸管粘液への影響はありますか?
クロミフェン(クロミッド)は排卵誘発効果がある一方で、子宮頸管粘液を乾燥させる抗エストロゲン作用があります。クロミフェン使用中にPCTや頸管粘液検査の数値が悪化することがあり、その場合は人工授精(AIH)への切り替えを検討することが多いです。
Q. 頸管粘液検査はどの不妊検査と組み合わせると効率的ですか?
排卵期に来院するため、同日にPCT(性交後検査)・排卵確認超音波を実施するのが効率的です。また、ホルモン検査(E2値)と組み合わせると、粘液不良の原因がエストロゲン不足によるものかどうかを確認できます。
Q. 子宮頸部の手術を受けた経験がありますが、粘液分泌に影響しますか?
円錐切除術やLEEP術(子宮頸部高周波治療)を受けた場合、頸管の頸管腺が減少し、粘液分泌が低下することがあります。妊活前に担当医師に手術歴を伝え、頸管機能の評価を受けることが推奨されます。
まとめ
頸管粘液検査(シムズテスト)は、精子が子宮内に入れるかどうかを評価する不妊検査の基本の一つです。検査自体は短時間で痛みも少なく、保険適用で受けられます。不良な結果が出た場合も、原因に応じた治療法(ホルモン補充・人工授精など)があるため、早期に専門医に相談することが大切です。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療法や検査の推奨を行うものではありません。費用・基準値は執筆時点のものです。実際の受診については必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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