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男性ホルモン検査の詳細|遊離テストステロン

2026/4/19

男性ホルモン検査の詳細|遊離テストステロン

男性不妊の精密検査で重要な位置を占めるのが、テストステロン(男性ホルモン)の血中濃度測定です。とくに「遊離テストステロン」は、体内で実際に作用しているホルモン量を反映するため、精子形成能力の評価に欠かせない指標とされています。本記事では、総テストステロンと遊離テストステロンの違い、採血のタイミングや基準値の読み方、LH・FSHとの組み合わせ評価まで、泌尿器科・生殖医療の知見にもとづいて詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 総テストステロンと遊離テストステロンの違いと測定意義
  • 採血に適した時間帯と検査前の注意点
  • 年齢別の基準値と結果の解釈方法
  • LH・FSHとの組み合わせで何がわかるか
  • 低テストステロンが精子形成に与える影響と対応策

テストステロンとは何か――精子形成を支える男性ホルモンの役割

テストステロンは精巣のライディッヒ細胞で産生される男性ホルモンであり、精子形成・性機能・筋骨格系の維持に深く関与しています。脳の視床下部から分泌されるGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が下垂体を刺激し、LH(黄体形成ホルモン)が精巣に働きかけることでテストステロンが合成されます。

精巣内のテストステロン濃度は血中の50〜100倍に達し、この高濃度環境がセルトリ細胞を介した精子形成を支えています。血中テストステロンが低下すると、精子の産生量や運動率が低下する可能性があるため、男性不妊の原因検索において重要な検査項目となっています。

総テストステロンと遊離テストステロン――2つの測定値が示す意味の違い

血中テストステロンの約98%はタンパク質と結合した状態で存在しており、そのうちSHBG(性ホルモン結合グロブリン)結合が約60%、アルブミン結合が約38%です。残りの約2%が「遊離テストステロン」として、結合せずに血中を循環しています。

総テストステロンは結合型と遊離型の合計値であり、全体量の把握に適しています。一方、遊離テストステロンは標的細胞に直接作用できる活性型であるため、実際のホルモン作用を反映する指標として臨床的に重視されます。

肥満や加齢によりSHBGが変動すると、総テストステロンが正常範囲でも遊離テストステロンが低下しているケースがあります。このため、男性不妊の評価では両方を測定することが推奨されています。

検査方法と採血タイミング――正確な結果を得るための条件

テストステロンには日内変動があり、早朝に最も高く午後にかけて低下するパターンを示します。正確な評価のためには、午前中(おおむね10時まで)の空腹時に採血することが推奨されます。

測定法には以下の種類があります。

  • ECLIA法・CLIA法(総テストステロン):自動分析装置で測定でき、多くの医療機関で採用されている方法です
  • RIA法(遊離テストステロン):放射性同位元素を用いる測定法で、日本では広く使われています
  • 計算法(Free Testosterone):総テストステロン・SHBG・アルブミンの値から算出する方法で、海外のガイドラインで推奨される場合があります

1回の採血結果だけでは判断が難しい場合もあるため、低値が出た際には日を改めて再検査を行い、再現性を確認することが一般的です。前日の激しい運動や極度の睡眠不足は測定値に影響を及ぼす可能性があるため、検査前は通常の生活を心がけてください。

基準値の解釈――年齢と個人差を考慮した読み方

日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会の「LOH症候群診療ガイドライン」で示されている参考値は以下のとおりです。

  • 総テストステロン:2.5 ng/mL未満で低テストステロンを疑う(境界域は2.5〜3.5 ng/mL)
  • 遊離テストステロン:8.5 pg/mL未満で低値と判定(RIA法による測定の場合)

テストステロン値は20代をピークに緩やかに低下し、40代以降は年間約1〜2%ずつ減少する傾向があります。ただし、低下の速度には個人差が大きく、同年齢でも2倍以上の差が生じることもあります。

基準値はあくまで集団データに基づく目安です。数値が基準範囲内であっても、自覚症状(性欲低下・疲労感・集中力低下など)がある場合には、総合的な判断が必要になります。逆に、基準をわずかに下回っていても症状がなければ経過観察とすることもあり、数値だけで治療方針が決まるわけではありません。

LH・FSHとの組み合わせ評価――低下の原因を特定する

テストステロンが低い場合、その原因が精巣側にあるのか、脳の視床下部・下垂体側にあるのかを鑑別する必要があります。LH・FSHの同時測定がこの判断に不可欠です。

  • テストステロン低値+LH・FSH高値(原発性性腺機能低下症):精巣そのものの機能低下が原因と考えられます。クラインフェルター症候群、精巣炎後遺症、精索静脈瘤などが代表的な疾患です
  • テストステロン低値+LH・FSH低値〜正常(続発性性腺機能低下症):視床下部や下垂体の異常が疑われます。下垂体腫瘍、高プロラクチン血症、過度のストレスや肥満が原因となる場合があります
  • テストステロン正常+FSH高値:精子形成障害が存在する可能性があり、精巣のセルトリ細胞機能低下を示唆します

このように、テストステロン単独ではなくLH・FSHと組み合わせて評価することで、治療のターゲットが明確になります。原発性か続発性かによって治療アプローチは大きく異なるため、初回の血液検査でこれらを同時に測定する医療機関が多くなっています。

低テストステロンと精子形成の関連――なぜ精子の質に影響するのか

精子が正常に作られるためには、精巣内のテストステロン濃度が十分に保たれていることが前提条件です。テストステロンはセルトリ細胞に作用し、精子細胞の成熟過程を調節しています。血中テストステロンが低下している状態は、精巣内の濃度もある程度低下している可能性を示唆します。

ただし、注意すべき点があります。外部からテストステロン製剤を補充すると、フィードバック機構によりLH分泌が抑制され、かえって精巣内のテストステロン産生と精子形成が低下することが知られています。男性不妊の患者さんに対しては、テストステロン補充療法(TRT)ではなく、クロミフェンやhCG製剤など精巣自体のテストステロン産生を促す治療が選択されることがあります。

治療方針は個々の病態に応じて異なるため、必ず生殖医療に精通した医師の判断のもとで進めることが重要です。

検査を受ける際の実際の流れと費用の目安

男性ホルモン検査は、泌尿器科や不妊治療を行う産婦人科・生殖医療クリニックで受けることができます。一般的な流れは以下のとおりです。

  • 予約・問診:症状や既往歴、生活習慣についての確認が行われます
  • 採血:午前中の来院が推奨されます。テストステロンに加え、LH・FSH・プロラクチンなどを同時に測定するのが一般的です
  • 結果説明:通常1〜2週間後に結果が出ます。精液検査の結果と合わせて総合的に評価されます

保険適用の場合、血液検査の自己負担額は3割負担でおおむね3,000〜5,000円程度です。ただし、検査項目の数や医療機関によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。2022年4月の不妊治療保険適用拡大により、医師が必要と判断した場合はホルモン検査も保険の対象となります。

よくある質問

テストステロン検査は何科で受けられますか?

泌尿器科、不妊治療専門クリニック、一部の産婦人科(男性不妊外来併設)で受けることができます。男性不妊の精密検査として受ける場合は、生殖医療を専門とする泌尿器科が適しています。

採血は空腹で行う必要がありますか?

厳密な絶食は必須ではありませんが、食事の影響を避けるために空腹時の採血が推奨されます。テストステロンの日内変動を考慮し、午前中(10時頃まで)の採血が望ましいとされています。

遊離テストステロンが低いと必ず不妊になりますか?

遊離テストステロンが低値でも、精液検査で問題がなければ自然妊娠は十分に可能です。テストステロン値はあくまで精子形成能を評価する指標の一つであり、低値が直ちに不妊を意味するわけではありません。精液検査やその他のホルモン検査と合わせて総合的に判断します。

サプリメントや食事でテストステロンは上がりますか?

十分な睡眠、適度な運動(とくに筋力トレーニング)、バランスのよい食事、ストレス管理といった生活習慣の改善により、テストステロン値が改善するケースは報告されています。一方、市販サプリメントについては科学的根拠が十分でないものも多く、効果を断定することは困難です。まずは生活習慣の見直しを行い、必要に応じて医師に相談することをおすすめします。

テストステロン補充療法を受けると精子はどうなりますか?

外部からテストステロンを補充すると、脳からのLH・FSH分泌が抑制され、精巣内でのテストステロン産生と精子形成がともに低下する可能性があります。妊娠を希望する場合には、テストステロン補充療法ではなく、精巣自体のホルモン産生を促す別の治療法が検討されます。自己判断での使用は避けてください。

検査結果が基準値ぎりぎりの場合はどうすればよいですか?

境界域の場合は、日を改めて再検査を行い再現性を確認するのが一般的です。また、症状の有無やLH・FSHの値、精液検査の結果を総合的に評価して方針を決定します。数値が境界域でも症状がなく精液所見に問題がなければ、経過観察とすることもあります。

精索静脈瘤があるとテストステロンは下がりますか?

精索静脈瘤は精巣の温度上昇や血流異常を引き起こし、テストステロン産生に悪影響を及ぼす場合があります。精索静脈瘤の手術(精索静脈瘤手術)後にテストステロン値が改善したとする報告も複数あり、治療による回復が期待できるケースも存在します。

まとめ

男性ホルモン検査は、精子形成能力を評価するうえで重要な検査です。総テストステロンで全体量を把握し、遊離テストステロンで実際の活性型ホルモン量を確認します。LH・FSHとの組み合わせ評価により、低下の原因が精巣側か脳側かを鑑別でき、適切な治療方針の決定につながります。

採血は午前中に行うこと、1回の結果で判断せず再検査で確認すること、基準値だけでなく症状や他の検査結果と合わせて解釈することが大切です。テストステロンの低下が疑われる場合は、生殖医療を専門とする医療機関で検査を受けることをおすすめします。

当院では男性不妊に関するホルモン検査を実施しています。精液検査との同時評価も可能ですので、気になる方はお気軽にご相談ください。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28