
EMMA・ALICE同時検査のメリット|子宮内フローラ最適化で着床率を高める
EMMA検査(子宮内膜マイクロバイオーム検査)とALICE検査(慢性子宮内膜炎検査)は、近年の生殖医療で注目度が高まっている子宮内環境の評価ツールです。同時検査を選ぶメリットと、それぞれの意義について最新のエビデンスをもとに解説します。
この記事のポイント
- EMMA・ALICEとは何か|目的と検査内容の違い
- 同時検査を選ぶ科学的根拠と臨床上のメリット
- 受けるべきタイミングと候補となる患者像
- 検査費用・保険適用の現状と結果の見方
EMMA・ALICEとはどんな検査か
どちらも子宮内膜組織の採取と次世代シーケンシング(NGS)技術を用いた細菌叢(マイクロバイオーム)解析検査です。
検査名 | 正式名称 | 検査対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
EMMA | Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis | 子宮内膜のマイクロバイオーム全体 | 乳酸菌(Lactobacillus)優位かどうかを評価 |
ALICE | Analysis of Infectious Chronic Endometritis | 慢性子宮内膜炎の原因菌 | 慢性子宮内膜炎の原因となる病原菌の特定 |
EMMAは「有益な菌がいるか」、ALICEは「有害な菌がいるか」を調べる、いわば子宮内環境の表裏一体の評価です。スペインのIgenomix社(現Vitrolife)が開発し、現在は世界各国の生殖医療施設で使用されています。
EMMA検査:乳酸菌が主役の「子宮内フローラ」評価
健康な子宮内膜には、腸内フローラと同様に「マイクロバイオーム」が存在します。着床に適した子宮内環境では、Lactobacillus(乳酸菌)が90%以上を占めることが研究で示されています。
EMMAで確認できること:
- Lactobacillus優位比率(90%以上が着床に有利とされる)
- Gardnerella・Streptococcus等の雑菌の割合
- マイクロバイオームの多様性スコア
Lactobacillus比率が低い場合は、プロバイオティクス(乳酸菌サプリメント)投与による改善を試みる場合があります。
ALICE検査:慢性子宮内膜炎の「隠れた炎症」を検出
慢性子宮内膜炎(CE)は通常の婦人科検査では発見されにくく、「サイレント疾患」とも呼ばれます。超音波や内診で異常が見つからなくても、着床不全・反復流産の一因になっていることがあります。
主な原因菌:Enterococcus、Streptococcus、Escherichia coli、Staphylococcus、Mycoplasmaなど
ALICEで陽性の場合、原因菌に対応した抗生剤治療(1〜2週間)を行い、治療後に再検査で確認します。慢性子宮内膜炎を治療後の体外受精成功率改善を示す研究が複数報告されています(ただし小規模研究が多く、エビデンスレベルはまだ発展途上です)。
EMMA・ALICE同時検査のメリット
同時検査を選ぶ主なメリットは以下の3点です。
1. 1回の内膜採取で両方を評価できる
内膜採取は不快感を伴う処置です。EMMA・ALICEは同じ採取検体で同時解析が可能なため、患者への身体的負担が単純に半減します。採取は超音波ガイド下で行われ、所要時間は5〜15分程度です。
2. 子宮内環境の「陽性・陰性」を同時に評価できる
良い環境があるかどうか(EMMA)と悪い環境があるかどうか(ALICE)を同時に把握することで、治療介入の方向性が一度に決まります。「有益菌が足りない+有害菌がいる」という複合的な状態も発見できます。
3. ERA検査との組み合わせで「ERA+EMMA+ALICE」の包括評価が可能
着床の窓(ERA)・子宮内フローラ(EMMA)・慢性炎症(ALICE)は、着床の三大環境要素です。反復着床不全の方では、この3検査を同時に実施する「TrioTest(トリオテスト)」という統合検査も選択肢になります。
どんな人がEMMA・ALICE検査を検討すべきか
以下に当てはまる場合は、担当医への相談を推奨します。
- 体外受精で良好胚を移植したにも関わらず着床しなかった(反復着床不全:2〜3回以上)
- 原因不明の初期流産を繰り返している
- 慢性子宮内膜炎の既往がある
- 子宮鏡検査で異常が疑われたが確定診断に至らなかった
- 過去に骨盤腹膜炎や性感染症を経験したことがある
初回の体外受精前にルーティンで実施するかどうかは、現状では施設・医師によって方針が異なります。
費用・保険適用の現状
2025年現在、EMMA・ALICE検査は原則として保険適用外(自由診療)です。
検査 | 費用の目安(自費) | 備考 |
|---|---|---|
EMMA単独 | 3万〜5万円 | 施設により異なる |
ALICE単独 | 3万〜5万円 | 施設により異なる |
EMMA+ALICE同時 | 5万〜8万円 | 単独2件合計より安くなる場合が多い |
ERA+EMMA+ALICE(TrioTest) | 10万〜15万円 | 採取1回で3検査が可能 |
費用は施設によって大きく異なります。事前に担当医・クリニックに確認してください。
よくある質問
Q1. EMMA・ALICEはどのクリニックでも受けられますか?
すべてのクリニックで実施しているわけではありません。検体をIgenomix(現Vitrolife)等の外部検査機関に送付する必要があるため、提携施設である必要があります。希望する場合はクリニックに確認してください。
Q2. ALICE陽性の場合、移植は延期になりますか?
原則として、抗生剤治療後に再検査で陰性を確認してから移植を行います。治療期間は原因菌によって1〜4週間程度です。
Q3. EMMA・ALICE検査は1回だけで十分ですか?
ALICE陽性で治療を行った場合は再検査が必要です。EMMAの結果が境界域(Lactobacillus比率が低いが正常範囲内)の場合は、プロバイオティクス投与後の再確認を行う場合があります。
Q4. 検査の結果で必ず妊娠率が上がりますか?
EMMA・ALICEの結果に基づく治療介入で妊娠率が改善したという研究はありますが、効果には個人差があります。「必ず上がる」とは言えず、治療効果の保証はできません。担当医と十分に相談した上で判断してください。
Q5. 内膜採取は痛いですか?
月経痛に似た軽〜中程度の不快感が伴うことが多いです。痛みの感じ方には個人差があります。必要に応じて鎮痛剤の事前服用を検討できます(担当医に相談)。
まとめ|EMMA・ALICE同時検査は着床不全を多角的に評価する手段
反復着床不全や原因不明の流産でお悩みの場合、子宮内環境の評価は治療の次のステップを見つける重要な手がかりになります。
- EMMA(子宮内フローラ)とALICE(慢性子宮内膜炎)は同時検査で身体的・経済的負担を軽減できる
- ERA検査との組み合わせでより包括的な評価が可能になる
- 自費診療のため費用は5万〜8万円程度。施設によって異なるため事前確認が必要
これらの検査が自分に必要かどうかは、治療歴や現在の状況に応じて担当医と相談しながら決定してください。
免責事項
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断や治療を推奨するものではありません。検査・治療の適応については、必ず担当の生殖専門医にご相談ください。記載の費用は目安であり、実際の費用は施設によって異なります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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