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流産の自助グループ・ピアサポート一覧

2026/4/19

流産の自助グループ・ピアサポート一覧

流産後のピアサポート・自助グループとは

流産を経験したとき、家族や友人に気持ちを打ち明けられず、ひとりで悲しみを抱え込む方が少なくありません。ピアサポートとは「同じ経験をした仲間(peer)による支え合い」のことで、自助グループはその実践の場です。医療者ではなく当事者どうしがつながることで、孤立感の軽減・悲嘆の正常化・回復の後押しという独自の働きが期待されています。

ピアサポートが医療サポートと異なる点

医師やカウンセラーによる専門的サポートとピアサポートは補い合う関係です。専門家は診断・治療・心理療法を提供しますが、ピアサポートは「同じ痛みを知る人に話を聞いてもらえる」という共感的体験そのものを提供します。この体験は、どれだけ優秀な医療者でも代替できません。

自助グループの形態

  • 対面型:定期的に特定の場所に集まり、体験を分かち合うグループ
  • オンライン型:SNSやビデオ通話を使い、自宅から匿名で参加できるコミュニティ
  • 電話・メール相談:一対一で専門スタッフや経験者に話せる窓口

ピアサポートの心理学的効果——エビデンスから見る

ピアサポートの効果は感情論ではなく、複数の研究で実証されています。流産後の悲嘆反応に対して、ピアサポートへの参加は孤立感・抑うつ症状・PTSD症状の軽減に関連することが示されています(Sejourne et al., 2010; Hutti et al., 2018)。

3つの主要メカニズム

①共感的理解(Empathic Understanding)
「流産はよくあること」「次は大丈夫」という言葉が傷つくことがある一方、同じ経験者は「あの痛みはわかる」という共鳴を届けられます。これは一般的な社会的サポートと質的に異なる効果です。

②正常化(Normalization)
流産後の怒り・罪悪感・赤ちゃんへの執着・再妊娠への恐怖は、程度の差こそあれ多くの方が経験します。他の参加者の語りを聞くことで「自分だけがおかしいわけではない」と理解でき、自己否定が和らぎます。

③孤立感の軽減
日本では流産の話題はタブー視されやすく、「悲しみを言葉にしてはいけない」というプレッシャーを感じる方も多くいます。自助グループは「話していい場所」を提供することで、慢性的な孤立感を構造的に解消します。

参加のタイミングに制限はない

流産直後でも、数年後でも参加できます。悲嘆には個人差があり、時間が経ってから改めてつらさがぶり返す(アニバーサリー反応)ことも珍しくありません。「もう時間が経ったから行きにくい」と感じる必要はありません。

対面型の自助グループ——国内の主要団体

日本国内には、流産・死産・不育症の当事者を対象にした対面型の自助グループがいくつか活動しています。以下は代表的な団体の概要です(2026年4月時点の公開情報に基づく)。参加前に各団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。

流産・死産・新生児死を経験した親の会(JALS)

日本で活動する流産・死産経験者の自助グループのひとつ。当事者が運営し、分かち合いの会を定期開催しています。会の運営は経験者ボランティアが担い、医療者の同席なしに本音を話せる場を目指しています。

天使の親の会

死産・流産を経験した親どうしの交流を目的とした団体。各地で追悼の集いや分かち合いの場を設けており、子どもへの記念品の贈呈なども行っています。

不育症支援センター主催の患者会

不育症(習慣流産)の治療を行う一部の病院が、患者会やサポートグループを院内・院外で開催しています。主治医に「患者会の紹介はありますか」と尋ねてみることも一つの方法です。

地域の保健センター・子育て支援センター

自治体によっては、周産期の喪失を経験した親向けのグリーフサポートグループを保健センターや子育て支援センターで実施しています。無料で参加でき、保健師や助産師がファシリテーターを務めるケースが多いです。お住まいの自治体窓口や保健センターへの問い合わせを勧めます。

オンラインコミュニティ——自宅から匿名で参加する

対面グループへの参加が難しい場合や、まず匿名で話してみたいという方には、オンラインコミュニティが選択肢になります。場所・時間の制約なく参加でき、地方在住の方にとってもアクセスしやすい点が利点です。

SNS・クローズドコミュニティ

FacebookやInstagramには、流産・死産の経験者がつながるクローズドグループが複数存在します。参加申請と簡単な承認プロセスを経ることで、外部に公開されない場で気持ちを書き込めます。

  • 参加前にグループの運営ルール・管理者の有無を確認する
  • 匿名アカウントでの参加が可能かどうかを確認する
  • 投稿内容が外部に流出しないか(非公開設定)を確認する

掲示板・フォーラム型コミュニティ

医療系サイトや育児サイトに設けられた掲示板で、流産の体験談やサポートに特化したスレッドが立てられているケースがあります。リアルタイムのやりとりではなく、自分のペースで書き込み・読み返しができる点が利点です。

オンライングリーフサポートプログラム

一部のNPO法人や病院が、ビデオ通話を使ったオンライングループカウンセリングを有料・無料で提供しています。専門家(臨床心理士・助産師など)がファシリテーターを務め、構造化されたセッションのなかで体験を共有します。

電話・メール相談窓口——まず一歩を踏み出したいときに

グループへの参加に抵抗がある場合、まず一対一の電話・メール相談から始めるという方法があります。匿名で話せる窓口がいくつかあります。

よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)

24時間365日無料で利用できる電話相談窓口。流産に限らず様々な悩みに対応しており、「誰かに話を聞いてほしい」という段階から利用できます。

  • 電話番号:0120-279-338(無料)
  • 24時間対応

こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省)

精神的な苦しさについて相談できる公的窓口。各都道府県の精神保健福祉センターにつながります。

  • 電話番号:0570-064-556
  • 受付時間は都道府県によって異なります

産後うつ・周産期メンタルヘルス相談(自治体・産院)

流産後のメンタルヘルスに対応する相談窓口を設けている自治体・産婦人科があります。かかりつけの産婦人科や分娩した病院に「流産後のこころのサポートについて相談できますか」と問い合わせることで、院内の相談室や紹介先を教えてもらえる場合があります。

助産師による電話相談

都道府県の助産師会が電話相談窓口を設けているケースがあります。日本助産師会(https://www.midwife.or.jp/)の公式サイトから都道府県別の相談窓口を確認できます。

自助グループの選び方——参加前に確認すべきチェックポイント

すべての自助グループが自分に合うとは限りません。参加前に以下の観点で確認することで、安心・安全な場を選べます。

安全性・運営体制の確認

確認項目

確認方法・判断基準

運営主体が明確か

NPO法人・医療機関・任意団体など運営者が公開されているか

守秘義務の取り決めがあるか

「グループ内の話は外に持ち出さない」というルールがあるか

ファシリテーターの有無

進行役が存在し、発言が偏らないよう配慮されているか

強制的な発言を求めないか

「聴くだけでも可」と明記されているか

商業的な勧誘がないか

サプリ・サービスの販売を目的としていないか

参加費用が明確か

無料か有料かが事前に明示されているか

匿名性の確認

オンライングループの場合、参加者の個人情報(本名・顔・居住地)がどの程度公開されるかを確認します。ニックネーム参加が可能で、顔出し不要のグループを選ぶと安心です。

グループの雰囲気を事前に把握する

見学・傍聴が可能なグループであれば、まず様子を見てから参加するかどうかを決めることができます。見学が難しい場合は、主催者に事前にメールや電話で雰囲気を聞いてみることをお勧めします。

自助グループに参加する際の心構え

はじめて参加するときは緊張するのが自然です。いくつかの心構えを知っておくと、より安心して場に参加できます。

話さなくていい

グループへの参加は「話すこと」が義務ではありません。ほかの人の体験を聴くだけで、「ひとりではない」という感覚を得られることがあります。初回は聴き手に徹するというスタンスで参加しても構いません。

比べなくていい

流産の週数・回数・状況は人によって異なります。「自分より大変な人がいるから我慢しなければ」という考えは不要です。どの経験も等しく語られる権利があります。

合わなければ離れていい

参加してみて「この場は自分には合わない」と感じたら、次回から行かなくて構いません。一度参加したからといって継続する義務はなく、自分に合う場を探し続けることが大切です。

専門家のサポートと組み合わせる

自助グループは専門的な心理療法の代替ではありません。悲嘆が日常生活に大きな支障をきたしている場合は、臨床心理士・精神科医・産婦人科医への相談も並行して検討してください。ピアサポートと専門的サポートは対立するものではなく、相互補完的な関係です。

よくある質問(FAQ)

Q. 流産後どのくらいの時期から自助グループに参加できますか?

参加時期に医学的な制限はありません。流産直後の急性期は体の回復を優先する必要がありますが、気持ちの整理や情報収集を目的とした相談窓口への連絡はいつでも可能です。グループへの参加も、本人が「話してみたい」と感じたタイミングが適切な時期です。

Q. パートナーも一緒に参加できますか?

グループによって異なります。女性(母親)限定のグループが多い一方、カップルや父親向けのプログラムを設けている団体もあります。事前に問い合わせて確認することをお勧めします。

Q. 参加費用はかかりますか?

無料のグループと有料のグループがあります。NPO法人や自治体が運営する場合は無料または実費(資料代・会場費など数百円程度)のことが多いです。オンラインプログラムは1回あたり1,000〜3,000円程度の参加費を設定しているケースがあります。

Q. 流産を何度も繰り返している(不育症)場合でも参加できますか?

参加できます。流産の回数を問わないグループがほとんどです。繰り返す流産(不育症)特有の悩み——治療の継続判断・次の妊娠への不安・周囲への説明——に共感できる参加者がいる場合も多いです。

Q. 匿名で参加できますか?

多くのグループでニックネームや仮名での参加が認められています。オンラインの場合はカメラオフの参加を認めているグループもあります。参加申し込み前に主催者へ確認するとよいでしょう。

Q. 自助グループで話した内容が外に漏れることはありますか?

信頼できるグループでは「守秘義務(話した内容は外に持ち出さない)」がルールとして明文化されています。ただし、インターネット上のオープンコミュニティではスクリーンショット等によって情報が流出するリスクがゼロではありません。クローズドグループの規則を事前に確認し、個人情報の記載は最小限にすることをお勧めします。

Q. グループに参加しても気持ちが楽にならなかった場合はどうすればよいですか?

グループが合わなかった、あるいは悲嘆の程度が重い場合は、臨床心理士や精神科医によるグリーフカウンセリングや認知行動療法が選択肢になります。かかりつけの産婦人科医に「心理士の紹介を受けたい」と伝えることで、専門家へのアクセスが得やすくなります。

Q. 流産後の悲嘆はどのくらい続きますか?

個人差が大きく、数週間で和らぐ方から数年にわたって続く方まで幅広い経過をたどります。一般的に、アニバーサリー反応(予定日や流産の時期に気持ちが揺れる)は喪失後数年間みられることがあります。悲嘆の長さは愛情の大きさを反映しており、「いつまでも悲しんでいる自分はおかしい」と感じる必要はありません。

まとめ

流産後の悲嘆を乗り越えるにあたって、同じ経験をした仲間とつながるピアサポートは、医療サポートを補う重要な回復の手段です。孤立感の軽減・悲嘆の正常化・共感的理解という3つの効果は研究でも支持されています。

参加の形は対面・オンライン・電話相談と多様で、匿名参加や聴くだけの参加も可能なグループが多くあります。大切なのは、「話してみたい」と感じたタイミングで一歩を踏み出すことです。

まず電話相談(よりそいホットライン:0120-279-338)や自治体の保健センターへの問い合わせから始めることができます。自分に合う場を探しながら、回復のペースを大切にしてください。

気持ちの落ち込みが強く日常生活に影響が出ている場合は、産婦人科や精神科・心療内科への受診も並行して検討してください。

この記事に関するご相談は産婦人科へ

流産後の心身のケアについて、かかりつけの産婦人科医やMedRootに掲載されているクリニックへご相談ください。ひとりで抱え込まず、専門家とピアサポートの両方を上手に活用することが、回復への近道です。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

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この記事を書いた人

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28