流産を経験した人に、どんな言葉をかければよいか迷うことがあります。全員を楽にする決まった言葉はありません。話したいか、連絡を受けたいか、手伝ってほしいことがあるかを、本人の希望に合わせて確認することから始めましょう。
最初の一言は、短くてもよい
無理に励ます言葉を探すより、気にかけていることと、返事を急がないことを伝える方法があります。次は編集部が作成した文例で、実際の患者さんの発言や、効果が保証された定型文ではありません。普段の関係に合う表現へ変えてください。
- 「うまく言葉にできないけれど、気にかけています。返事は気にしないでね」
- 「話したくなったら聞くよ。今は話したくなくても大丈夫」
- 「買い物に行くので、必要なものがあれば一緒に買えるよ。今回は断っても大丈夫」
話し始めたときは、原因の推測や自分の経験との比較を急がず、本人が使う言葉で聞きます。話したくない、普段どおり接してほしいという希望も尊重してください。
「また妊娠できる」「早く元気に」には注意する
次の妊娠や、すでにいる子どもを理由に今の喪失を埋めようとする言葉は、つらく感じられることがあります。原因を本人の行動やストレスのせいにする、前向きになるよう求めることも避けましょう。
同じ言葉でも受け止め方は人により異なります。「これは絶対に傷つく言葉、こちらなら必ず安心する」という採点表ではなく、相手の反応や希望を確かめながら関わるための目安です。
手伝いは、本人が選べる具体案にする
| 場面 | 確認してからできること |
|---|---|
| 家事や食事が負担 | 買い物・食事の用意など、できることを一つ提案する。訪問や差し入れは了承を得る |
| 受診が不安 | 希望があれば同行や移動を手伝う。診察への同席は本人が決める |
| 連絡が負担 | 返事の必要がない連絡にする。頻度や連絡方法の希望を聞く |
| 情報を探したい | 本人が望めば、自治体の窓口や相談先を一緒に確認する |
突然の訪問、サービスの手配、周囲への連絡を善意で先に進めないでください。断られた場合も理由を求めず、選択を受け止めます。
職場では、伝える範囲と勤務上の配慮を分ける
流産したことを誰にどこまで伝えるかは、本人の意向を確認します。同僚として知った場合は、上司や他の人へ勝手に広めないでください。上司・人事は、休業や通院、業務調整の相談に必要な範囲を説明し、必要な手続きを支援します。
日本では、妊娠4か月以降の流産・死産は原則8週間の産後休業の対象で、本人の請求と医師が認めた業務についての6週間後の例外があります。また、週数を問わず流産・死産後1年以内は母性健康管理措置の対象です。
心理的に「もう大丈夫そう」と見えることだけで復帰や負荷を決めないでください。具体的には流産後の休暇と勤務調整で説明しています。
悲しみの回復に締め切りをつくらない
直後につらさが強い人、後から実感が湧く人、感情が行き来する人もいます。「2週間は急性期、2か月で日常へ」と一律には区切れません。予定日や記念日が気になる人も、話題にしたくない人もいます。いつも同じ頻度で声をかけ続けることより、そのときの希望を確かめることを大切にします。
パートナーや支える側にも、悲しみや負担が生じることがあります。本人の経験を他人に広めることとは分けて、自分自身の相談や休息の機会も持てます。
専門的な支援につながりたいとき
眠れない、日常生活が難しい、誰かに話したいなどの困りごとがあれば、治療を受けた医療機関、自治体の相談窓口、心理職などにつながる方法があります。こども家庭庁のページには都道府県等の窓口一覧が掲載されています。相談できる対象、方法、受付時間は各窓口の現在の案内で確認してください。
支援を紹介するときも、本人に利用を強制せず、「一緒に探すこともできる」と選べる形で伝えます。支える人だけで診断したり、悲しみを早く終わらせようとしたりする必要はありません。
参考にした情報
編集部が2026年10月23日に出典と本文を照合しました。海外の休業制度や、当事者の引用を自社の制度・体験として掲載していません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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