
「流産後の夫の気持ち」——妻が流産したとき、夫(パートナー)はどう感じているのでしょうか。「男性だから大丈夫」という思い込みから、夫の悲しみは見えにくくなりがちです。しかし、流産は夫婦両方にとっての喪失体験です。この記事では、男性のグリーフの特徴と、夫婦で乗り越えるために大切なことを解説します。
この記事のポイント
- 男性も流産で深く悲しむが、表現方法が女性と異なることが多い
- 夫が「強くいようとする」ことで悲しみを外に出せず、孤立しやすい
- 夫婦が互いの悲しみを認め合うことが、関係修復と回復の第一歩
流産後の男性のグリーフ|基本的な理解
男性の悲嘆(グリーフ)は、女性と異なる形で現れることが多いとされています。これは「男性だから悲しくない」のではなく、感情表現の社会的パターンの違いによるものです。
特徴 | 女性に多い傾向 | 男性に多い傾向 |
|---|---|---|
感情表現 | 泣く・話す・感情を外に出す | 感情を内側に抑える |
悲しみの方向 | 直接的に悲しみを表現する | 「何かしなければ」と行動で処理しようとする |
サポートの求め方 | 話し合いを求める | 一人で解決しようとする |
男性が冷静に見えても、内側では大きなショックと悲しみを抱えていることがほとんどです。
夫が感じていること
流産を経験した男性の多くが、以下のような感情を経験すると報告されています。
- 悲しみ:将来を想像していた赤ちゃんを失った喪失感
- 無力感:「何もできなかった」「守れなかった」という自責
- 妻への心配:妻の体と心が一番心配で、自分の悲しみを後回しにする
- 孤立感:「強くいなければ」という思いから悲しみを誰にも話せない
- 次の妊娠への不安:また同じことが起きるかもしれないという恐怖
夫の言葉・妻の言葉
- (夫)「妻が泣いていると、自分が泣くわけにいかないと思ってしまった。でも一人のときに泣いていた」
- (妻)「夫が普通にしているのを見て、自分だけが悲しいのかと感じて、もっとつらくなった」
- (夫)「何を言えばいいかわからなくて、ずっと黙っていた。それが妻をさらに傷つけてしまっていた」
すれ違いは悪意ではなく、「どう接すればいいかわからない」という戸惑いから生まれることが多いです。
夫婦カウンセリングの費用目安
カウンセリング種別 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
夫婦カウンセリング(民間) | 1回7,000〜2万円 | 2人で受けるため1人より高め |
医療機関内(臨床心理士) | 2,000〜5,000円程度 | 1人でも2人でも可 |
自治体相談窓口 | 無料 | 保健センター・家庭相談 |
夫婦で乗り越えるためのポイント
流産後の夫婦関係を守るために、以下を意識してみてください。
- 相手の悲しみを否定しない:「男だから大丈夫」「もっと悲しめ」は禁句
- 沈黙を共有する:何も言わなくても、一緒にいることが支えになる
- 「どうしてほしい?」と聞く:相手が何を求めているか確認する
- 男性がサポートを求めることを許す:夫も泣いてよい、悲しんでよい
- 二人で専門家に相談する:夫婦カウンセリングで第三者の場を持つ
夫が相談できる窓口
夫(男性)が流産後の気持ちを相談できる場所は、女性向けに比べてまだ少ないですが、以下を参考にしてください。
- 産婦人科の夫婦外来・カウンセリング:妻と一緒に受診できる体制を整えている医療機関もある
- 男性相談窓口(自治体):男性専用の電話相談窓口。精神的な悩みを話せる
- 産業医への相談:職場の産業医に「家族の流産を経験して精神的につらい」と相談することもできる
- 匿名の掲示板・SNSコミュニティ:男性が匿名で経験を共有できるオンライン場が存在する
夫として経験した方の声
流産を経験した男性の生の声を通じて、夫の内側で何が起きているかを伝えます。
- 「妻が泣いているのに自分が崩れるわけにいかないと思い、職場ではふだん通りに振る舞っていた。でも一人になると涙が出た」
- 「何をすれば妻の役に立てるかわからず、とにかく家事を全部やった。それが自分なりのケアの仕方だった」
- 「流産から半年後、夫婦でカウンセリングを受けて初めてお互いの気持ちを話せた。もっと早く受ければよかったと思った」
男性も深く傷ついています。「強くいなければ」という役割から一歩離れて、自分自身のグリーフを認めることが夫婦両方の回復につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 夫が「もう忘れよう」と言います。傷つきます。どうすれば?
「忘れよう」という言葉は、夫なりの「つらい状況を早く終わらせたい」という対処法のひとつです。悪意ではない場合がほとんどですが、妻の気持ちを伝えることが大切です。「忘れたくないし、そう言われると悲しい」と伝えてみましょう。
Q2. 夫が何も言ってくれません。気にしていないのでしょうか?
気にしていないのではなく、言葉にできない状態か、妻に負担をかけたくないと思っている可能性が高いです。「あなたはどう感じてる?」と聞いてみると、話してくれることがあります。
Q3. 流産後に夫婦の溝が深まった気がします。
流産後に一時的に夫婦間の摩擦が増えるのは珍しくありません。グリーフの表現方法が異なるためです。時間が経過しても改善しない場合は、夫婦カウンセリングを検討してみてください。
Q4. 夫も受診が必要なことはありますか?
男性も流産後に適応障害やうつ症状が出ることがあります。睡眠障害・食欲不振・仕事への集中困難が続く場合は、心療内科や精神科への受診を検討してください。
Q5. 男性向けのグリーフサポートはありますか?
男性専用のサポートグループは少ないですが、夫婦向けのグリーフサポートや、男女混合のピアサポートグループに参加することができます。担当医やカウンセラーに紹介を依頼してみてください。
まとめ
流産後の夫の気持ちは、妻と同じくらい深く、複雑です。ただし表現方法が異なるため、「悲しんでいない」ように見えることがあります。お互いの悲しみを認め合い、言葉にする機会を作ることが、夫婦関係を守ることにつながります。
- 男性の悲嘆は内向きに表れやすい——「強くいなければ」の呪いを解く
- 「どうしてほしいか」を互いに確認することから始める
- 必要に応じて夫婦カウンセリングを活用する
【免責事項】本記事は医療・心理情報の提供を目的としており、個々の夫婦状況への診断・アドバイスの代替ではありません。精神的なつらさが続く場合は医療機関にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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