
「流産の確率はどのくらいですか?」は、妊娠を考えるすべての方が気になる問いです。年齢・妊娠週数・既往流産回数によって確率は大きく変わります。この記事では、日本産科婦人科学会や国際的な研究データに基づき、流産リスクを正確に解説します。
この記事のポイント
- 流産の全体確率は妊娠全体の約15〜20%。そのうち90%以上は妊娠12週未満で発生
- 35歳以上で流産率は急上昇し、40歳では約40〜50%に達する
- 心拍確認後の流産率は急激に低下し、10週以降は約1〜2%
流産の全体的な確率
臨床的に確認された妊娠のうち、約15〜20%が流産に終わります。さらに着床後に本人が気づかず終わる「化学的流産」を含めると、受精卵の約50〜70%が流産するとも言われています。
分類 | 確率 |
|---|---|
臨床的妊娠全体の流産率 | 約15〜20% |
化学的流産を含む場合 | 受精卵の約50〜70% |
12週未満の早期流産 | 流産全体の90%以上 |
年齢別の流産確率
母体年齢は流産リスクに最も大きな影響を与える因子です。加齢による卵子の染色体異常率の上昇が主な原因とされています。
年齢 | 流産率(概算) |
|---|---|
20〜24歳 | 約9〜11% |
25〜29歳 | 約10〜12% |
30〜34歳 | 約15〜17% |
35〜39歳 | 約25〜30% |
40〜44歳 | 約40〜50% |
45歳以上 | 約50〜60%以上 |
※数値はN Engl J Med, ACOG, 日本産科婦人科学会等の複数データより算出した概算値
妊娠週数別の流産確率
妊娠週数が進むにつれて流産リスクは急速に低下します。特に心拍確認後は流産率が大幅に下がります。
妊娠週数 | その後の流産率 |
|---|---|
心拍確認前(5〜6週) | 約20〜25% |
心拍確認後(7〜8週) | 約5〜8% |
9〜10週 | 約2〜4% |
11〜12週 | 約1〜2% |
12週以降 | 約1%未満 |
流産の主な原因と分類
流産の原因を把握することは、次の妊娠への準備において重要です。特に繰り返す場合は、原因の特定が治療方針の決定につながります。
流産原因の内訳(おおよその割合)
原因 | 割合 | 主な対策 |
|---|---|---|
胎児染色体異常 | 約60〜70% | 根本的な予防は難しい。PGT-Aが選択肢 |
子宮形態異常(中隔子宮等) | 約10〜15% | 手術療法で改善可能な場合あり |
抗リン脂質抗体症候群 | 約10〜20% | アスピリン+ヘパリン療法 |
内分泌異常(甲状腺等) | 約5〜10% | 薬物療法で管理可能 |
その他・不明 | 約10〜20% | 精神的サポート+厳重管理 |
流産の原因と予防できること・できないこと
流産の約60〜70%は胎児染色体異常が原因であり、基本的に防ぐことができません。「ストレスで流産した」「激しく動いたから」という考えは多くの場合根拠がありません。
流産に影響しない(一般的に)こと
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
- 精神的ストレス(通常の生活ストレス)
- 性交渉(特別な禁忌がある場合を除く)
- 一般的な仕事(重労働を除く)
流産リスクを高める可能性があること
- 喫煙(リスク1.2〜2倍)
- 過度のアルコール摂取
- 高度な肥満またはBMI極端な低下
- 抗リン脂質抗体症候群などの基礎疾患(未治療)
繰り返す流産(不育症)の確率
1回の流産後に次回も流産する確率は約20〜25%で、一般妊娠とほぼ同じです。しかし2回以上繰り返すと専門的な検査が推奨されます。
流産歴 | 次回流産確率 |
|---|---|
流産歴なし | 約15〜20% |
1回の流産後 | 約20〜25% |
2回の流産後 | 約25〜30% |
3回以上の流産後 | 約30〜45% |
流産後の精神的ケア
流産は身体的な回復だけでなく、精神的な回復も必要です。以下の点を心がけてください。
- 悲しみ・怒り・罪悪感はすべて正常な反応であることを認識する
- パートナーと感情を共有し、一人で抱え込まない
- 都道府県の不妊専門相談センター(無料)を積極的に活用する
- 症状が重い場合(強い抑うつ・不眠が続く)は精神科・心療内科への相談も選択肢
受診のポイント
- 35歳以上または2回以上の流産経験がある場合、妊娠前から専門医への相談を検討する
- 心拍確認前後の不安は産婦人科医に相談し、経過観察のスケジュールを確認する
- 「流産したのは自分のせい」と自分を責めないことが精神的健康のために重要
アクセス・受診先
流産後の経過観察や不育症検査は、かかりつけの産婦人科やレディースクリニックで相談できます。繰り返す流産については、不育症専門外来を設ける大学病院・総合病院を受診することをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 心拍が確認されれば流産しないですか?
心拍確認後の流産率は5〜8%(7〜8週時点)まで低下しますが、ゼロではありません。10週以降は約1〜2%となります。
Q2. 流産は防げますか?
原因の多くは染色体異常であり、予防は難しいとされています。ただし禁煙・適正体重の維持・基礎疾患の管理はリスク軽減に有効です。
Q3. 年齢以外で流産リスクを高める要因は何ですか?
抗リン脂質抗体症候群・甲状腺機能異常・子宮形態異常・夫婦染色体異常などが挙げられます。繰り返す場合は不育症検査を受けることが推奨されます。
Q4. 流産後すぐに次の妊娠を試みてもいいですか?
身体的には流産後1〜2回の生理を経てからが推奨されますが、精神的な準備も考慮して医師と相談してください。
Q5. 40代での妊娠は流産率が高すぎてあきらめるべきですか?
40代での流産率は確かに高いですが、実際に出産されている方も多くいます。PGT-A(着床前遺伝子検査)との組み合わせで生児獲得率が向上する場合もあります。諦めず専門医に相談してください。
Q6. 流産後に不育症の検査を受けるべきですか?
2回以上の流産(または1回でも心拍確認後の流産)があった場合は、不育症専門外来で原因検索を受けることを検討してください。適切な治療により次回妊娠での生児獲得率は向上します。
まとめ
流産の確率は年齢・妊娠週数・健康状態によって大きく異なります。35歳未満であれば約15〜20%、40歳では約40〜50%が目安です。原因の多くは染色体異常で予防が難しいですが、自分を責める必要はありません。2回以上流産が続く場合は不育症専門外来で原因を調べることで、多くの場合、次の妊娠・出産につながります。
【免責事項】本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。個々の状況については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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