
流産後のピル服用|必要性・開始時期・期間・副作用を産婦人科が解説
流産後に医師からピルを処方されたものの、「なぜ必要なのか」「いつまで飲めばいいのか」「副作用は大丈夫か」といった疑問を持つ方は少なくありません。流産という精神的につらい体験の後に、薬の説明を十分に受ける余裕がないまま処方されることもあります。
この記事では、流産後にピルが処方される主な理由・開始時期・服用期間・注意すべき副作用を、産婦人科的な視点でわかりやすく解説します。
【この記事のポイント】
- 流産後のピル処方には「子宮内膜の回復」「次の妊娠への準備」などの目的がある
- 服用期間・目的は個人の状態によって異なり、自己判断でのやめ方は避ける
- 副作用が強い場合は主治医に相談し、種類の変更を検討できる
流産後にピルが処方される主な理由
流産後にピル(低用量経口避妊薬または黄体ホルモン製剤)が処方される目的は、大きく分けて以下の3つです。
1. 子宮内膜・ホルモン環境の整備
流産後は、ホルモンバランスが乱れた状態が続くことがあります。ピルを一定期間服用することで月経周期を人工的に整え、子宮内膜の状態を回復させることが期待されます。
2. 次の妊娠までの期間調整
流産後すぐに妊娠すると、子宮内膜や身体的な準備が不十分な場合があります。ピルを使って次の妊娠までの期間をコントロールし、身体的な回復を待つために処方されることがあります。
3. 子宮内膜症・子宮筋腫などの基礎疾患の管理
子宮内膜症や子宮腺筋症などを持つ方の場合、流産後の月経再開に伴う痛み・進行を抑えるためにピルが使用されることがあります。
服用開始のタイミング
流産後のピル服用開始時期は、流産の種類(自然流産・手術処置)と出血の状況によって異なります。
- 自然流産・手術後:出血がおおむね落ち着いた後(1〜2週間程度)から開始することが多い
- 次の月経後から開始:月経が再開してから服用を始める場合もある
開始時期は主治医が個人の状態に応じて判断します。自己判断で早める・遅らせることは避け、指示に従いましょう。
服用期間の目安
流産後のピルの服用期間は、処方目的によって異なります。
処方目的 | 服用期間の目安 |
|---|---|
ホルモン環境・月経周期の整備 | 1〜3周期程度 |
次の妊娠への準備(期間調整) | 3〜6か月程度 |
子宮内膜症等の基礎疾患管理 | 長期(継続的) |
「何周期で一度見直す」という目安を主治医に確認しておくと安心です。自己判断での中断は避け、変更したい場合は主治医に相談してください。
飲み忘れた場合の対処法
ピルの飲み忘れは、目的(避妊 vs ホルモン管理)によって対処が異なります。
- 気づいた時点で1錠服用:当日中に気づいた場合はすぐに飲む
- 翌日以降に気づいた場合:2錠まとめて飲むのが一般的(製品・目的によって異なる)
- 複数日飲み忘れた場合:出血が起こる可能性がある。主治医に相談する
詳細は処方された薬の添付文書と主治医の指示を優先してください。
流産後のピル服用でよくある副作用
低用量ピルは比較的安全とされていますが、服用初期に以下の副作用が現れることがあります。
- 吐き気・胃部不快感:就寝前の服用や食後服用で軽減する場合がある
- 不正出血(消退出血):服用開始後に起こる出血。多くは数日で落ち着く
- 気分の変動・頭痛:ホルモン変化による一時的な症状
- 乳房の張り:プロゲステロンの影響による
服用を開始して2〜3か月で落ち着くことが多いですが、症状が強い場合や長く続く場合は主治医に相談してください。ピルの種類を変えることで改善する場合もあります。
服用前に確認すべき注意事項
以下に該当する場合はピルの服用前に必ず主治医に伝えてください。
- 喫煙習慣がある(35歳以上の喫煙者は血栓リスクが上昇する可能性)
- 片頭痛(特に前兆のある片頭痛)がある
- 血栓症・高血圧・糖尿病などの既往がある
- 授乳中である
- 次の妊娠を急いでいる
よくある質問(FAQ)
Q. 流産後のピルを飲まないとどうなりますか?
A. 処方目的によります。月経周期の整備が目的の場合、飲まなくても自然に回復する方もいます。ただし医師が処方した理由がある場合は、自己判断で中断せず相談することをお勧めします。
Q. ピルを飲んでいる間は妊娠できませんか?
A. ピル服用中は排卵が抑制されるため、妊娠の可能性は大幅に低下します。次の妊娠を急ぐ場合は主治医と服用期間について相談してください。
Q. ピルをやめてすぐに妊娠しようとしても大丈夫ですか?
A. ピルをやめると1〜2周期で排卵が再開するとされています。主治医が指示した服用期間終了後であれば、妊娠を試みることが可能です。
Q. 流産後のピルは精神的な影響を与えますか?
A. 一部の方でホルモン変化に伴う気分の落ち込みが報告されています。流産後のうつ状態と区別が難しい場合もあるため、気になる症状があれば主治医に伝えましょう。
Q. 市販のピルと処方ピルは違いますか?
A. 日本では低用量ピルは医師の処方が必要です(OTC品は超低用量の緊急避妊薬のみ)。処方薬は医師が目的・状態に合わせて選択するため、市販薬で代替しないでください。
まとめ
流産後のピル処方には、ホルモン環境の整備・次の妊娠への準備・基礎疾患の管理など複数の目的があります。服用期間・開始時期は個人の状態によって異なるため、主治医の指示に従いましょう。副作用が気になる場合や疑問がある場合は、自己判断で中断せず主治医に相談することが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談に替わるものではありません。ピルの服用については必ず担当医の指示に従ってください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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